2018年の市場暴落が、見かけよりも悪くない5つの理由
by Andrew McGuinness 7月 16, 2019
株式市場は最近になって数回暴落していて、次なる大きな景気後退は、全員を悪い状況に陥れた2008年の経済危機を想起させるだろう、と主張する識者もいます。その理由は米国と他の国々との間で緊張感の高まっている世界政治状況のせいだ、と信じている人もいますが、ニュースで見る政治のこととはほとんど関係がありません。取引の基礎講座では、調整と修正を繰り返す市場の全てを学びましたが、ここでもそれがまさに起こっているのです。
過去十年間で、経済状況は傾いています。主な修正なしにこのようなことが起こるのは極めて稀で、経済はまさにそれを経験しているのです。
なぜ、この下落が世界の終焉にならないのかに気づくべき、5つの理由を見てみましょう。
1)株価評価
株は過剰評価されています。過剰評価か過小評価かは完全にものの見方によりますし、これを決定する経済的に正確な方法はありませんが、歴史的データをもとにすれば、株価は暴騰しすぎています。株価の適切なレベルを見分けるための共通した方程式が、シラーPER(Shiller PE Ratio)で、ノーベル賞を受賞したロバート・シラー(Robert Shiller)が発明しました。この比率は、2018年2月には32でした。前回の危機の前の市場ピーク(暴落の前のインターネットバブルでは45でした)に比べると、株は高くなりすぎていると言えるでしょう。
2)変動が市場に戻ってきた
市場がどれだけ変動しているかということも、決めるには少し微妙です。変動を測る一つの方法は恐怖指数で、過去数週間で300%近く上昇しており、変動の点で市場が増加していることを示しています。変動は一般大衆の懸念レベルを測るものにすぎず、世界の社会政治的な状況による衝撃について議論する人もいるかもしれません。
3)金利が上昇している
金利は、いつでも投資家や全タイプのトレーダーの興味の対象です。金利は市場の良い指標で、株の産出に比較した債券の産出を決定します。金利が高いと、投資家は保証された利益を求めて資金を債券市場に移しますので、米国長期債券が2014年以来で最高の3%に届いたために、債券市場に資金を移す投資家がいても驚くことはありません。
4)インフレが元の構図に戻った
インフレは金利上昇とともに動き、投資家を怖がらせるのにいつも一役買っています。多くの経済学者や分析者が、その年の四半期ごとにインフレがやってくると予測しているにもかかわらず、しばらくの間、そのようなことは起こっていません。第一世界である日本、ドイツや米国のような国は、高齢化社会の結果を体験しており、消費も少なければ稼ぎも少なくなっています。インフレによって投資家が債券市場に飛びこむ、という考えでいけば、割安な価格で株を買うには、今が良い時期でしょう。
5)短期の損失は心を曇らせる
投資家は世界経済が鈍化することや、低い金利と企業の前例にないレベルの手元資金にも関わらず、米国の経済に刺激を与えようとする努力が水の泡になることを恐れています。これは、すぐそばまで来ている損失への恐怖レベルにまで広がり、多くの投資家が、遠くが見えずに理性のない決断をしてしまっています。
こうした決断は、世界中の失業者数の減少とは関係がなく、テクノロジーがビッグデータ、ブロックチェーンやAI技術を使用した、革命的な分野に進化しているのです。