世界9つの中央銀行がシェアする、ビットコインへの思い
by Andrew McGuinness 7月 16, 2019
サトシ・ナカモトの有名なホワイトペーパー(仮想通貨を世に広めるための白書)が、仮想通貨経済と文化の革命を起こしてからすでに10年近くが経ちます。世界の中央銀行が、ビットコインや他の中央銀行が発行しないデジタル通貨である仮想通貨という存在がもつ真の可能性(そして脅威)を、ついに目の当たりにしているのです。銀行支持派にも、権利分散支持派にも、Trading 101はいつも投資についてお教えします。それでは、中央銀行の洞察とビットコインについての思いに耳を傾けましょう。
1)中国 ― 受容するが、管理体制は継続
他国に比べて、予想どおり中国は仮想通貨にかなり厳しい姿勢を取っています。とはいえ、ブロックチェーン技術の価値に気づき初めています。ですが、政府はこのパワーを手中におさめ続けようとしています。中国は自国が管理する仮想通貨を2014年に開発し始めました。中国人民銀行は自国の公式仮想通貨の公開ついてまだ発表していませんが、当局は仮想通貨が中国全土の効率を上げると強く主張しています。
2)英国 -「革命である」
イングランド銀行総裁のマーク・カーニーは、ビットコインが経済の「革命」となる可能性があると主張しました。ハッカーやその他のサイバー攻撃に対して銀行の安全を強化する「すばらしい約束」であると主張し、ブロックチェーン技術という考えにオープンな姿勢を示しています。イングランド銀行が独自の仮想通貨を開発するかどうかには、様々な憶測が飛び交っています。
3)インド ― 禁止
インドは仮想通貨に断固として反対し、ビットコインの主な機能が、経済テロリストへの資金提供とマネーロンダリングだと中央銀行が主張しています。インドでは仮想通貨の利用は違法行為にあたります。
4)ドイツ ―「 投機的なおもちゃ」
ドイツは、多くの人がカードや小切手よりも、現金を使用している国です。そのため、仮想通貨に対して、大半の国よりも、警戒の姿勢を表しています。ドイツ連邦銀行役員のカール・ラドウィグ・シエルはビットコインを「投機的なおもちゃ」と呼び、現在の金融ビジネスモデルをかく乱する可能性があり、世界中で問題を起こすとしています。
5)EU (欧州連合)-「チューリップバブルのよう」
ビットコインやデジタル通貨最大の否定勢力のひとつが、欧州中央銀行です。副総裁ヴィクター・コンスタンシオはビットコインを17世紀にオランダで起こったチューリップバブルと比較しました。チューリップバブルでは、価値が上がり続けるという予測のもとでチューリップが何度も売られています。欧州中央銀行の他の役員はビットコインの不安定な価値、脱税などの犯罪の引き金となる可能性があるとして、深く憂慮しています。
6)カナダ ― 通貨の真のかたちではない
カナダ銀行の上級副総裁キャロリン・ウィルキンスは、仮想通貨は「通貨の真のかたち」ではなく、むしろ「資産」であり適切に扱われるべきだと、最近、コメントしました。
7)ロシア - 無限連鎖講
ロシアの中央銀行は、ビットコインと仮想通貨に大きく反対しています。総裁のエリヴィラ・ナビウリナは、国が合法化を拒否する「無限連鎖講」であるとして、否定しています。ロシアの検事とロシア連邦中央銀行は、ビットコインと他の仮想通貨に投資できるすべてのウェブサイトをブロックしようとしています。
8)トルコ ― 将来に向け重要
トルコ中央銀行の総裁ムラット・チェティンカヤは、ビットコインや他のデジタル通貨に前向きな姿勢をとっています。分権型という特徴があるため中央銀行にリスクをもたらす一方で、キャッシュレスで経済効率の高い世界経済に向けたはじめの一歩です。
9)アメリカ ― プライバシーの問題
アメリカの中央銀行は、正確にいうと、ビットコインと他の仮想通貨の規制に関する議論をまだ開始していませんが、それに向けた検討を始めています。連邦準備理事会(FRB)の理事パウエル・ジェロームは、仮想通貨が中央銀行に「プライバシーの問題」をもたらすとしています。