ローソク足
by Andrew McGuinness 8月 17, 2019
ローソク足の略史
ローソク足チャートはテクニカル分析ツールの一つで、1700年代に日本で開発されました。そのため、このチャート技術は日本式ローソク足とも呼ばれています。
テクニカル分析が開発される前には、中世の日本は各地の大名が常に戦う戦場でした。そのため、ローソク足チャートには、三兵、塔婆のような、軍事用語が使われています。しかし日本が1600年代に統一されると、取引と商業が国中に広がり始め、経済が拡大しました。その後すぐに、全国市場が地方の市場に代わって登場しました。
1600年代、日本の景気が拡大を続けていたある時点では、通貨基準が存在しなかったため、米が交換手段となりました。また、大名に収める年貢も米で支払われました。最大かつ最重要であった米取引所は大阪の堂島米会所で、1600年代に設立されました。堂島米会所は実際の米を取引していましたが、1710年、米手形(米切手)と呼ばれる蔵預り切手を受け付ける取引が始まりました。これは実は、世界初の先物取引でした。このすべてが、テクニカル分析とローソク足チャートの発展につながりました。当時、ローソク足チャートを使うことで一番有名だったのが、日本の相場で米の先物取引を行い、巨額の富を築いた本間宗久でした。
1990年代まで、日本のローソク足チャート技術は事実上、西洋には知られていませんでした。この技術を日本人ブローカーから教わって発見し、この知識を西洋に広めたのが、当時、ニューヨークのメリルリンチのテクニカルアナリストであったスティーブ・ニソンでした。それ以来、ローソク足チャートの人気は高まり、今日では株式、先物、オプション、仮想通貨、FX市場に参入しているトレーダーほぼ全員が使う標準的なチャートとなっています。
ローソク足チャートとは何か?
ローソク足チャート は、特定証券の高値、安値、始値、 終値を示す金融チャートで、証券の動きを説明するために使われます。ローソク足チャートは西洋のバーチャートと同じデータを使います。一つだけ違った点があり、ローソク足チャートのほうが見た目が楽しく、刺激的で、パターンの見分けが簡単です。
ローソク足は実体(胴体、柱とも呼ばれる)とヒゲの2つの部分でできています。ローソク足の実体は2つの縦に伸びたヒゲの間にある四角い部分です。立会い中の始値と終値の範囲を示します。実体が緑または白(緑と白がほとんどのチャートソフトでデフォルトの色となっています。日本では赤の場合があります)になっていれば、ローソク足は強気(または陽、陽線など)と呼ばれ、始値は常に終値よりも低くなります。実体が赤または黒(日本では青が使われることもあります)になっていれば、ローソク足はbearish(弱気)(または陰、陰線など)と呼ばれ、始値は常に終値よりも高くなります。
実体の上下の縦線は、上ヒゲ と下ヒゲと呼ばれます。この線は立会いの最高値と最低値のポイントを示します。
ローソク足チャート対バーチャート
バーチャートは金融チャートの一種で、ローソク足チャートと同じチャートを使います。唯一の違いは、バーチャートにはローソク足チャートのように実体がありません。
ローソク足チャートが登場するまで、バーチャートは一番人気のチャートスタイルとして使われていきました。とはいえ、大局を見るのを好み、個々のパターンに関心がないトレーダーは、通常はバーチャートを選びます。バーチャートのほうが単純でトレーダーの気が散りません。こういったトレーダーは今でもバーチャートを使います。
バーチャートは、よく、OHLC(始値、高値、安値、終値)チャートと呼ばれます。
同時線とは何か?
立会いの始値と終値が同じであれば、ローソク足には実体がなくなります。このようなローソク足を同時線と呼びます。とはいえ、このルールには柔軟性があります。ローソク足は、始値と終値の間にティックがほとんどない場合も、同時線と考えられます。
同時線は通常、市場が様子見の状態であることを示します。とはいえ、ほとんどのトレーダーは同時線を転換点を示すシグナルとして使っています。特に、サポート(支持圏)またはレジスタンス(抵抗圏)の近くに現れたときはその傾向が強くなります。
同時線には4種類あります。
- 寄引同時線は、始値と終値が同じ価格の時に出現します。
- 足長同時線は、ヒゲが通常よりも長いときに出現します。これは市場が明らかに迷っていることを示し、価格を押し上げようとも、押し下げようともしますが結局、うまくいきません。
- トンボは、始値と終値が同じ価格の時に出現します。トンボは価格の最高点で発生し、このローソク足が下降傾向で現れれば、通常は反転パターンと考えられます。トンボは売り手が価格を新安値まで引き下げようとしたものの、続けることができず、価格は立会いの高値付近まで戻ります。
- 塔婆は、始値と終値が同じ価格の時に出現します。塔婆は価格の最低点で発生し、上昇傾向で見つかれば、通常は反転パターンと考えられます。塔婆は、買い手が価格を引き上げようとしたものの、続けることができず、価格は安値ポイントに戻ったことを示します。
コマ(スピニングトップ)とは何か?
コマ(スピニングトップ)は、小さな実体が、長い上ヒゲと下ヒゲにはさまれている1本のローソク足パターンです。色は主な属性ではなく、トレンドの中のどこに現れるかが大切です。強い上昇トレンドでは、コマが現れると、相場の反転のシグナルである可能性があり、色が弱気(陰線)であれば、さらに強いシグナルとなります。下落トレンドでは、逆になります。強気(陽線)の色の時は、コマはさらに強いシグナルになります。
とはいえ、このパターンで取引をするときは、このパターンはトレンドの真ん中にあらわれることが判明しているため、次のローソク足を確認するまで待つのが常に一番いい方法です。
丸坊主とは何か?
証券が一方向に大きく取引され、終値が立会中の高値か安値である時は、丸坊主と呼ばれます。丸坊主は剃った頭またははげ頭をさす日本語であり、ローソク足には上ヒゲも下ヒゲもない、つまり、ヒゲが剃られているという意味です。
このローソク足は、陽の丸坊主にも陰の丸坊主にもなりえます。陽の丸坊主には、長く白い(または緑の)実体があり、始値が立会の安値となり、終値は立会の高値となります。陰の丸坊主には、長く黒い(または赤い)実体があり、始値が立会の高値となり、終値は立会の安値となります。
ローソク足のヒゲは大きいか?
ローソク足のヒゲが示すのは、始値と終値を超えた取引の範囲です。支持圏と抵抗圏の優れた指標となりえます。たとえば、価格が一定のゾーンを突破しようとして失敗した場合、チャートではローソク足のヒゲのように見えます。
非常に長いヒゲはピンバーと呼ばれます。
ローソク足の反転パターン
ローソク足の反転パターンは、市場の地合いの転換がいつ起こりそうなのかを示すテクニカル分析の手がかりです。 だからといって、トレンドが突然終わるわけではありません。トレンドが突然終わることはまずなく、変化はゆっくりです。むしろ、反転パターンがでれば、トレンドが変化する可能性が高いということになります。
この市場の地合いの変化を示すことができるローソク足パターンはたくさんあります。こういったパターンには、1本のローソク足、2本のローソク足、3本のローソク足、多数のローソク足パターンがあります。パタ-ン内にローソク足が多いほど、シグナルは強くなります。とはいえ、利益の可能性を待って逃してしまうという意味もあります。
よくあるローソク足の反転パターンには次のものがあります。
ハンマーとは何か?
ハンマーは、証券が下降トレンドで、ローソク足の終値が始値付近になるか、最高値で終了します。通常、このパターンには陽線(上ヒゲ)がありません。ただし、本体に比べてごく小さいときに限り、ヒゲがあってもかまいません。陽のハンマーが現れると、あるポイントで価格は低下するものの、売り手は価格をさらに押し広げることができず、反発して、終値は安値より上となりました。これは強気反転パターン(リバーサルパターン)です。
ローソク足がハンマーににているため、この名がつきました。底をハンマーで打ちます。
実体は白または黒(緑または赤)になります。統計的には、このパターンが成功するかどうかは色に関係ありません。とはいえ、多くのトレーダーは白がでると強気の傾向が強いと受け止めます。
首つりとは何か?
首つり は、証券が寄付きに近づくか、立会の高値で終了するときのパターンです。見たところ、これはまったくハンマーと同じパターンですが、一つだけちがいがあります。首つりは上昇トレンドで表示されます(ローソク足が上から吊られます)。
首つりが示すのは、ある時点で売り手が優勢になり、価格を押し下げましたが、次第に買い手がなんとか回復し、価格を寄り付き地点までもどしました。上昇トレンドでは、この煮え切らない状態がでれば、通常、買い手は制御できなくなっており、その後、相場の反転が起こる可能性があります。
西洋にローソク足チャートを持ち込んだスティーブ・ニソンは、このパターンで相場の反転の可能性をうまく予言するには、次のローソク足が首つりの実体の下ではじまらなければならず、できれば終値は首つりの下になると主張しています。
もう一つ確認を要するのは、このパターンが証券価格の上場来高値であるか、レジスタンスにあるかです。
流れ星(シューティングスター)とは何か?
流れ星(シューティングスター)は、立会の最安値で小さな実体があり、長い上ヒゲがつく1本のローソク足パターンです。つまり、買い手は価格を新高値に押し上げようとしますが、そうできません。
流れ星の色は重要ではなく、陰線にも陽線にもなりえます。このパターンが上昇トレンドで現れると、天井をついた可能性があり、相場の反転の印となります。
逆ハンマー(トンカチ)とは何か?
逆ハンマー(トンカチ)は立会の安値で長い上ヒゲと小さな実体を伴う1本のローソクパターンです。これは基本的には流れ星のパターンですが、一つだけちがいがあります。下落トレンドで現れます。これは強気反転パターン(リバーサルパターン)です。流れ星と同様に、逆ハンマーでも色は重要ではありません。
かぶせ線(ダーク・クラウド・カバー)とは何か?
かぶせ線(ダーク・クラウド・カバー) は、上昇トレンドで表示される2本のローソク足パターンです。1本目のローソク足は常に強気の太陽線であり、2本目は常に弱気の大陰線です。2本目のローソクは1本目のローソクよりも高値寄りして、引け値は安値に近づきます。1本目のローソクへのかぶさりが大きいほど、強い反転シグナルです。2本目のローソクの終値が1本目の中心よりも下でなければ、通常一番よいのは、次のローソクを待って、トレンドが本当に終わったことを確認することです。
包み線とは何か?
包み線は、2本のローソク反転パターンで、上昇トレンドでも下落トレンドでも表示されます。上昇トレンドの場合は弱気の包み線、下降トレンドの場合は強気の包み線と呼ばれます。
包み線がうまくいくには、市場に明らかなトレンドがあり、2本のローソクの本体は別の色である必要があります。いつでも2本目のローソクは1本目のローソクよりも大きく、1本目のローソクを包みます。
このパターンが上昇トレンドで出現した場合、1本目のローソクの実体は小さく、時には同時線やコマのこともあります。一方、2本目のローソクは1本目のローソクの始値と終値に広がる大きなローソクです。これは、相場の反転の可能性の合図である 弱気の包み線です。2本目のローソクが大きいほど、強いシグナルです。
下落トレンドで、2本のローソク足の色が違うことをのぞいて、弱気の包み線とまったく同じように見えます。これは下落トレンドが終わる可能性を示す強気の包み線です。
包み線は支持圏(サポート)と抵抗線(レジスタンスゾーン)の指標としての役割も果たします。
ピアーシングパターンとは何か?
ピアーシングパターンは2本のローソク足のパターンで、1本目のローソクが長い陰線(弱気のローソク足)で、2本目のローソクは1本目のローソク足の半分以上の高さで引ける陽線(強気のローソク足)です。 基本的に、これはかぶせ線(ダーク・クラウド・カバー)の逆で、この場合は、下落トレンドに表示される強気の相場の反転シグナルです。前のローソク足とかぶさる割合が大きいほど、反転シグナルは強くなります。
ピアーシングパターンは強気の包み線とにていますが、2本目のローソク足が1本目のローソク足を完全に覆うわけではありません。
はらみ線とは何か?
はらみは2本のローソク足パターンで、下落トレンドでも上昇トレンドでも現れる可能性があるため、強気の反転または弱気の反転パターンとなりえます。1本目のローソクは常に、2本目のローソクよりも大きく、2本目のローソクは常にコマです。
強気のはらみは下落トレンドで現れます。この形では、1本目のローソクは長い陰線(弱気のローソク足)です。理想的には、2本目のローソクは1本目のローソクの実体の中央付近になるはずです。
弱気のはらみでは、1本目のローソクは長い陽線(強気のローソク)であり、2本目は陽線と陰線のどちらもありえます。このパターンは常に上昇トレンドで表示され、市場の地合いの変化と相場の反転の可能性があるというシグナルです。
もう一つの変形パターンがはらみ十字線です。はらみ十字線では、2本目のローソクはコマではなく、同時線となります。
日本語のはらみは、妊娠を意味する言葉で、そのようにパターンは見えます。1本目のローソクが母親、2本目のローソクが赤ちゃんです。
毛抜き天井・毛抜き底
ほとんどのローソク足を識別する主なポイントはローソク足の実体ですが、毛抜き天井・毛抜き底 の場合は、ヒゲが主なポイントです。
毛抜き天井は2本のローソク足で構成されており、2本の高値が連続して同値となります。毛抜き底も2本のローソク足で構成されていますが、2本の安値が連続して同値となります。理想的には、1本目のローソクが長く、2本目はそれよりも短くなります。この2本のローソクのそれぞれが、実体、ヒゲ、または同時線でできている可能性があり、いずれでも毛抜きパターンと考えられます。
毛抜きパターンは、トレンドの天井または底の見極めに使われます。価格が抵抗線(レジスタンス)または支持線(サポート)であるか、価格が史上最高値か史上最安値であり、毛抜きパターンが現れると、トレンドが反転する可能性は高くなります。毛抜きはもう一つのローソク足の反転パターンになりえます。これは強いシグナルです。
明けの明星とは何か?
明けの明星 は3本のローソク足パターンで、下降トレンドに現れます。このパターンでは、1本目のローソクは常に大きな陰線(弱気のローソク足)で、その後に小さなローソク(陰線(弱気)でも陽線(強気)でもよい)が続き、この2本目は理想的には1本目のローソクとは重ならず、その後、大きな陽線(強気のローソク足)が現れて、陰線と大きく重なります。3本目のローソクは、買い手がなんとか価格を制御し、相場の反転が続く可能性があることを示します。そのため、このパターンは強気の反転パターンと考えられます。
理想的な明けの明星パターンは、2番目のローソク足と3番目のローソク足の間にギャップ(空、窓ともいう)がありますが、空がなくても、このパターンが弱まるわけではありません。特に、FX市場のように、空がめったにみられない市場では空がなくてもかまいません。スティーブ・ニソンによると、このパターンの決め手となるのは、真ん中のローソク足で、コマとなるはずです。
このパターンの変形が明けの明星(同時)パターンで、中央のローソク足はコマでなく、同時線となります。
宵の明星とは何か?
宵の明星は明けの明星の反対です。このパターンは上昇トレンドで現れ、天井をつけ反転するというシグナルです。宵の明星は常に、3本のローソク
で構成されます。1本目は長い陽線(強気のローソク)です。2本目は実体が小さく、陽線(強気)または陰線(弱気)のどちらにもなる可能性があり、コマといってもいいようなものです。3本目のローソクは長い陰線で、1本目のローソクと大きくかぶさります。3本目のローソクがこのパターンでは一番重要で、1本目のローソクにどれほどかぶさっているかにかかっています。
このパターンの変形が宵の明星(同時)パターンで、中央のローソク足がコマでなく、同時線となります。
黒三兵(三羽がらす)とは何か?
ローソク足3本で構成される 黒三兵 は、陰線が3本連続で続き、各ローソク足の始値は前日よりも低く、安値は前日より低くなります。このパターンは上昇トレンドの強い反転がでていることを示します。
黒三兵パターンは長期トレーダーが一番よく使います。3つの立会を得て明らかになるパターンだからです。
三兵とは何か?
赤三兵は黒三兵の逆です。この場合、各ローソク足は長い陽線で、その直後の各ローソク足は前のローソク足よりも高値で寄りつき、前のローソク足の終値よりも高い終値となります。赤三兵は下降トレンドが反転する可能性を示します。
結論
ローソク足チャートはトレーダーが所有できる最も強力なツールの一つであることは疑う余地がありません。ローソク足は簡単にみつかるところに表示されることが多く、相場の反転を予想できる成功率も比較的高いものです。今日、ローソク足がチャートの標準となったのは驚くことではありません。
とはいえ、パターンが教科書通りのものではない場合は特に、以上のパターンの解釈は、主観的なものになる可能性があります。他のチャートの指標とまったく同じように、ローソク足のパターンは100%信頼できません。そのため多くのトレーダーが、テクニカル指標とローソク足を組み合わせた使い方を好んでいます。