FX取引:中上級レベル

中上級
Trading101
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Lectures 20 レッスン
Duration 20 時間

通貨取引で重要となる雇用データ

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経済状況は複数の要素によって決まります。その中には、今後の変化をほのめかすだけのものもあります。

経済が景気後退か不況に向かうかどうかを始めから教えてくれる別の要素もあります。雇用データは、このようなデータの一つです。 決して嘘はつかないデータであり、間違った解釈をすると、それが示すものを無視するトレーダーに壊滅的な影響を及ぼします。

理論上、機能するにちがいない社会を考えてください。子供、現役の労働者、退職者がいます。

その間に、仕事をしたくない人、自分の能力に見合った仕事を見つけるのが難しいため仕事探しを諦めた人もいます。

いずれにせよ、現役労働者は子供と高齢者世代のニーズを埋め合わせる必要があります。したがって、雇用率が低いと、社会不安が発生し、就業率が高いと社会的利益がもたらされます。

このため、経済を研究する際に、雇用は見るべき優れた指標です。この取引アカデミーの他の記事で説明した通り、FX取引の一部は通貨ペアを構成する2つの経済を解釈することです。

雇用レベル、労働力構成、労働力参加などの変化は、トレーダーが経済状態に対する態度を固める助けとでしょう。その情報を使って、ポートフォリオを新たな現実に合わせて調整し、個々の中央銀行が下す新たな金利の決定に備えて準備をします。

米国の雇用データ

これまでのところ、FX取引に最も関連性の高い雇用データは米国から発表されています。こうなる理由は3つあります。

第一に、米国経済は世界最大です。世界の様々な経済国の相互依存を考えると、世界最大の経済大国の国際貿易、グローバル化、雇用レベルの変更は無視できないものです。

第2に、米国の連邦準備制度(Fed)は二重の義務を負っています。フェデラルファンド金利(FF金利)の引き上げ/引き下げ、または金融政策変更前に、Fedはインフレと雇用データを検討します。

正確にいうと、Fedにはインフレターゲットと、雇用創出を含む委任を受けています。両方に変化があれば、Fedは金利を動かします。そして、それこそがFXで考慮すべきすべてなのです。

最後に、米ドルは世界の基軸通貨です。金融システムは、中心通貨としてドルに基づいています。

すべてをまとめれば、米国の雇用データは、経済状態を示し、この情報に基づき、Fedは世界の基軸通貨である米ドル(USD)の金利を調整します。従って、FX取引において正確に先手を打つため、世界中のトレーダーが米国雇用データに注目します。

非農業部門雇用者数(NFP)の発表

毎月第一金曜に労働省が発表する非農業部門雇用者数(NFP)には、農業労働者、家族従業員、または非営利団体の在職者は含まれません。

NFPはまちがいなく、中心となる経済指標であり、FX取引に例外的な乱高下のレベルを生むことになるものです。その重要な情報をつかむため、金曜がきて数字が発表されるまで、NFPが発表される週の値動きは小康状態です。

USDの力とNFPの発表の間には強い相関関係があります。最初の反応は常に、同じ方向です。

とはいえ、時には、悪魔は細部に宿ります。たとえば、NFP報告が堅調でいても、最初に高い反応がでた後にUSDの暴落はありえます。

過去の発表に対して、修正が行われたかどうかが、答えとなります。言い換えると、NFPで、米国経済が20万の雇用増と示されたものの、直前の2回の発表が10万と13万に下方修正されていれば、すばらしいニュースは突然、おそろしいものとなります。

従って、当初の市場の反応はすぐに薄れていき、USD売りの波が始まります。このような例はFX取引ではよくあるもので、トレーダーは、どんなものであっても、NFP発表を巡る事態に備える必要があります。

失業率

NFPの数字と同時に発表される失業率は、FX取引参加者にとってもう一つの重要な指標です。仕事についていない人の数を示しており、経済状況を示すすぐれた指標です。

ここで、指標の意味をつかめるように、ロジカルなゲームをやりましょう。失業率が5%未満であると、通貨は強気となると考えられます。なぜでしょうか?

これが当てはまる時には、通常、インフレが上昇し始めます。企業は適格な労働者を見つけるのが前よりも難しくなるため、現在の労働者の維持、新たな従業員の雇用いう二つの目標を満たそうと、賃金を上げます。

インフレが上昇すると、Fedはタカ派となり、早めに金利を引き上げます。また、FX取引で問題となるのは、金利水準だけであり、ここで説明するロジカルなプロセスは、意思決定プロセスにおいて各情報がどのように役割を果たすかを示します。

ADP雇用統計の発表

ADP雇用統計は、全米の非農業部門雇用者数を示します。多くのトレーダーに取って、米国GDPにおける米国民間企業の生産規模のため、NFPよりも適合性が高いものです。

ADPは、ADP顧客である40万社のデータをまとめているオートマティック・データ・プロセッシング(ADP)社より発表されます。発表があるのはNFPと同じ週ですが、2日早い水曜です。

多くの人が、ADPとNFPの相関モデルを構築しようとしました。ADPの発表のほうが早いため、NFPでは何を示すのかについて意見を形成することが狙いでした。

しかし、ありえそうな相関関係はランダムに見えるため、この記事ではあつかいません。

また、トレーダーはISM製造業指数と非製造業指数の雇用部分も見て、NFP数に関するアイデアを作りあげます。一般に、労働市場の状況の改善を示す経済上の証拠があれば、それに応じて、FX取引計画を変更することになります。

世界の他の地域の雇用データ

他の重要な経済国の雇用データでは、ほとんどが失業率を参照します。英国とカナダの雇用数のために、イギリスポンド(GBP)とカナダドル(CAD)の乱高下が大きくなる一方で、NFP発表中には他の雇用報告に対する市場の反応は、小さくなります。

例えばユーロ圏では、ほぼ2次データです。もちろん、失業率が経済に及ぼす影響は同じですが、欧州中央銀行(ECB)は価格の安定性とインフレに専念する義務を負っています。したがって、失業率の発表では、FX取引に乱高下は起こりません。

カナダでは、雇用数と失業率はNFPとまったく同じ時間に発表されます。それも、同じ日です!

おかげで、USDCADペアのポジションの対処は極めて難しくなります。両国からの経済データがこの通貨ペアを大きく変動させます。したがって、NFPとカナダの雇用が発表されるまで、USDCADでオープンポジションをとるのは回避することをお勧めします。

結論

雇用レベルと経済の雇用創出力は、FX取引に大きな違いをもたらす重要な経済面です。個人トレーダーの多くは、短期から中期の市場の解釈に焦点を置きますが、そのような取引スタイルであっても、取引結果は雇用関連の経済事象が作り出す乱高下によって決まります。

全体を見ると、インフレやPMIと共に、雇用データによって経済動向が完全なものとなり、トレーダーに通貨/通貨ペアの売買理由を提供します。

発表内容を理解するため、エコノミストとなる必要はありません。とはいえ、基本的な理解があれば、FX取引における影響について意見を形成する助けになるでしょう。