FX取引:中上級レベル

中上級
Trading101
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Lectures 20 レッスン
Duration 20 時間

自動取引の長所と短所

ファンダメンタルな観点から通貨ペアを分析する際、経済データが中心的な役割を果たします。他の全ての要因を除いて、経済データが通貨ペアの評価の推進力でなければなりません。

経済情報のリリースは、通貨ペアの2つの通貨間の力のバランスを毎日のように変化させます。世界の一部の地域(例えば、中国)で週末に発表されたデータでさえも、FXダッシュボード(例えば、AUD-オーストラリアドルなど)の異なる通貨に影響を与える可能性があります。

FX取引では、経済データが変動性を提供します。市場は主に2つの非常に重要な経済事象の間で統合されているため、トレーダーは、景気指標が発表され、自分達が取引できる高値または安値への変動をもたらされるのを待っています。

ニューストレーダーは、データが発表された当初の市場反応をめったに後退させることはありません。ほとんどの場合、流れに乗り、同じ方向でピップを稼ぎ、損益がないようにするために素早くストップロスを動かすか、元のストップをトレール(移動)させようとします。

最近の取引はほとんどの場合、自動化されているため、ロボットやアルゴリズム取引が激しい急騰を引き起こし、場合によってはすぐに戻ることがあります。時には、経済ニュースが一方向を示しているにもかかわらず、市場は方向を変え、別の方向で積極的に取引が行われます。

金融界や新聞で聞いたり、読んだりする説明は、「市場はデータをどう扱うか知らなかった」とか、「買戻しが起こった」、あるいは「投資家は早期の取引で利益を上げた」などです。

現実は、アルゴリズム取引によって行われた取引をまとめて説明できないことを示しています。一つ確かなことは、一つ一つのピップをめぐる戦いは人間の行う取引では理解できないレベルで行われることです。

FX取引を行う1台のスーパーコンピューターは、毎秒数千もの取引を担当しています。高頻度取引(HFT)業界は、今日の金融市場において重要な役割を果たしており、通貨だけでなく、変動するほとんど全ての市場で取引を行っています。

しかし、実際に実施されているアルゴリズム取引を見る最適な場所は、ニュースが発表される時のFX取引です。この理由から、21世紀のFX取引では、人間のトレーダーがロボットに従い、その逆ではないのです。

個人向け取引業界のための自動化されたFX取引

高頻度取引(HFT)業界は主に企業向けのものですが、個人トレーダーは、その機会にすばやく着目し、ゲームに乗り出しました。今日では、アルゴリズム取引やエキスパートアドバイザーを構築し、これらを利用して「お金を稼ぐ」のは比較的簡単です。

トレーダーには既に実行可能な稼げる取引戦略があると仮定すると、次のステップはそれをプログラムすることです。メタトレーダー4およびメタトレーダー5プラットフォームの一機能であるメタエディター(Meta Editor)は、希望するロボットを構築する優れたツールです。

取引専用マシンの必要性は、取引の80%以上が自動的に行われることから明らかになりました。大急ぎで最速の執行をするため、取引会社(クオンツ)は、個人トレーダーがレースに参加する前例を作りました。

手動で取引するか、エキスパートアドバイザー(EA)を使用する方が良いかどうかを判断する前に、これは結局のところ、FX取引であることを忘れないでください。

言い換えれば、エントリー位置、ストップロス、利益確定の水準を把握し、自動取引でも厳格な資金管理システムを適用する必要があります。両者を区別する微妙な境界線があるように思われますが、どちらのアプローチが最良かはそれ程明らかではありません。

自動取引の利点

全ての取引プラットフォームが自動取引戦略を可能にし、FXブローカーに関しては、人間の行う取引よりも優れています。FXブローカーは手数料と使用料で収支を合わせているので、ブローカーの収入規模は取引活動に依存します。

人間は疲れて休息する必要がありますが、ロボットは決してしません。そのため、手数料はずっと流れ込み、誰もが幸せになるのです。なぜなら、トレーダーは休んでいる間にいかなる機会も逃がすことがなく、ブローカーは一日中手数料をとることができるからです。

もう一つの利点は、感情的な要素からきています。自動取引を好むトレーダーの言葉によると、ただ取引のことを忘れ、取引の背後にある論理に干渉する感情が全くなくなります。

それは言うのは簡単ですが、行うのは難しく、必ずしも真実を表すとは限りません。FX取引では、未踏の領域は感情の領域です。

自動取引の短所

感情の厳しい変化はトレーダーを自動取引の追求へとさし向ける主な原因の一つです。しかし、感情と心理的効果は常にFX取引の一部となるため、それは錯覚にすぎません。

ブレグジット(英国のEU離脱)のことを少し考えて見てください。2016年6月、英国は国を2つに分割した国民投票の後、EUを離れることに決めました。

そのような接戦は多くの人にボラティリティの上昇を期待させました。世界各地のブローカーがトレーダーに対し、国民投票の結果に先立ってリスクを軽減するよう警告しました。

自動取引に関わる多くのトレーダーはただロボットを停止し、待機しました。

意思決定は正しいものであったかもしれませんが、行動は感情的衝動の結果でした。

トレーダーが介入した時、自動取引が象徴することの全てが矛盾します。一方、収益性を調べるために戦略が過去にうまくいったかを調べるバックテストの際、誰もそのような出来事を説明することはできません。したがって、どこかにエラーが存在します。

もう一つの欠点は市場との分離から来ています。自動取引は、ロボットが取引のためにプログラムされた方法を変えるかもしれないファンダメンタルズの大きな変化に焦点を当てることはできません。

しかし最も重要なドローダウン(下落率)をもたらすのはバックテストです。数年も、時には数十年も、通貨ペアのレンジ相場、あるいはトレンド相場が続く可能性もあります。

戦略を構築し、それが過去にどのように実行されたかを見るためにチェックし、一つのサイクルを分析することは可能です。しかし、通貨ペアの場合は、様々な長さを持った複数のサイクルが存在します。そのように、何年も利益を上げることができた戦略は、単に利益を上げることができなくなります。

ロボットで取引する場合は、バーチャル・プライベート・サーバー (VPS:Virtual Private Server)が必要です。例として、MT4を使ってみましょう。

エキスパートアドバイザーは、指示に従って売買を行います。しかし、それは取引プラットフォームが開いている場合のみ実行されます。

何らかの理由で、MT4が停止した場合(停電、天災など)、ロボットは取引を停止します。ストップロスや利益確定水準が設定されていない限り、もはやどんなオープンポジションでも管理できなくなるでしょう。

ヘッジ(買いと売りの両方で通貨ペアを取引)を利用する戦略もあり、取引プラットフォームが閉じている場合には、ロボットは戦略を実行できません。幸いにも、VPSサービスが存在し、トレーダーはシャットダウンされることがないリモートコンピューターにアクセス可能です。

最近では、一部のブローカーがVPSサービスを無料で提供していますが、複数のセーフティーネットがある専用サービスの場合、月額料金が必要です。従って、ロボットがお金を稼ぐかどうかにかかわらず、追加コストがかかります。

結論

過去20年間の間に、FX取引はかつてないほどの変化を成し遂げました。銀行間市場へのアクセスは、大部分の個人トレーダーにとっては夢にすぎませんでした。

今日、誰もが世界で最も流動性が高い市場で売買できます。そのために多くの機会もできますが、リスクも同じようにあります。あるいは、リスクのほうが大きくなります。

例えば、人工知能は新しい産業です。多くの大企業はすでに、人工知能を使って通貨を売買するアルゴリズム取引の開発に何百万ドルを投資しました。

FX市場や市場参加者を動かす力となっているのは個人トレーダーではありません。市場の動きのほんの一部しか、個人向けの取引に属していません。

現実を見ると、リサーチ、開発、取引戦略の実施に多額の資金を投資する大企業が市場を動かしています。競争は同じピップに向けて行われるため、FX取引の舞台で直面するのは誰かを理解することは非常に重要です。

異なる取引スタイル(スカルピング、スイング取引、投資)が存在するように、自動取引も存在します。一部の人にとっては、自動取引だけが理にかなっています。

他の人たちは、市場を「感じ」させてくれる感情のジェットコースターを追求します。何をお好みであろうと、結局のところ、FX取引です。人々は次の市場の動きを予測しようとしています。