メタトレーダー4 VS. メタトレーダー5
長い間、銀行間取引市場は個人トレーダーに禁じられていました。実際のところ、個人トレーダーはそのような市場が存在することや、どのように機能するか、現代社会におけるその役割さえも知りませんでした。
技術的な進歩によって、投資としての保有目的や純粋な投機目的で、誰でも異なる通貨を売買することが可能になりました。レバレッジ、FXブローカー、FX取引、取引口座などのコンセプトは、現在非常に普及しており、為替市場で投機をするという考えは、もはや誰にとってもくだらないことではないように思われます。
しかし、それでもなお、銀行間取引市場にアクセスするのは、個人にとって費用のかかるプロセスです。そのようなことから、FXブローカーは機会を見つけ、あらゆる取引のために少額の料金でアクセスすることを仲介しました。
仲買業者のコンセプトは新しいものではありませんでした。結局のところ、株式市場は素晴らしい例を提供しました。市場だけが別のものでした。
インターネットは、接続があればどこからでも銀行間市場にアクセスすることを可能にしました。今日では、スマートフォンが私たちの生活を支配するため、「外出先で取引する」というコンセプトは、トレーダーが事実上どこからでも自分のポジションを管理することを可能にしています。
しかし、パソコン、あるいはスマートフォンのどちらにせよ、個人トレーダーは、市場への接点が必要です。それが取引プラットフォームです。
各ブローカーは、様々なタイプの取引プラットフォームを提供しています。自社製のプラットフォームもあり、運用するには相当なメンテナンス費用と人手が必要です。
メタトレーダーのような他のタイプのものは既に存在しており、大きな利点があります。これは、個人トレーダーの間で非常に人気があります。
FX取引におけるメタトレーダー4 vs.メタトレーダー5
そして、正当な理由のために、2006年にリリースされたメタトレーダー4またはMT4は、業界の標準基準を設定しました。12年を振り返ってみると、個人向け市場の取引プラットフォームでは、今でもまだ第一の選択肢となっています。
最近のFX取引では、執行スピードと取引プラットフォームが提供する広範な可能性が全てです。2006年版と比較して、MT4は今日、米ドル(USD)のような最も人気のあるペアに対して5桁の売値/買値をクオートし提供しています。
これは数年前の4桁のクオートからの改善点です。よりタイトなスプレッドを提供するため、一般ユーザーにとってより魅力的です。
さらに、多くの場合、4桁の取引プラットフォームではリクオートの提示が発生します。これは市場が急速に動き出し、トレーダーが「市場で」取引したいと考えた場合、プラットフォームが価格が変化したために取引が実行できないというメッセージを送ったことを意味します。
これは苛立たしい特徴でした。なぜなら、市場に参入した頃には意図したエントリーから遠く離れているため、取引がもう意味をなさなかったからです。
しかし、すぐに個人トレーダーは、メタトレーダー4プラットフォームとリクオートシステムにおける数字が、取引プラットフォームから来ていないことを理解したのでした。それはブローカーからでした。
MT4の問題ではありませんでした。それよりむしろ、ブローカーは複数のリクイディティプロバイダーからより良いクオートを提供する技術がなかったか、そうしたくなかったのです。
MT4プラットフォームには、あらゆるタイプのトレーダーが利用できる何かがあります。投資家やスイングトレーダーは、より大きな時間枠で分析を行い、プロファイルやテンプレートに保存し、好きな時にいつでも利用しアップデートでき、必要に応じていつも履歴データにもアクセスできます。
もし過去のデータが取引プラットフォームで利用できない場合、適切なフォーマットが存在する限り、MT4はそれを取り込むことが可能です。
スカルパーは、1分足チャートのように時間枠を短くすることができ、短期間の戦略は、今や非常に迅速な執行が利用できるようになったため、よりうまく機能するようになりました。
FX取引はほとんどの場合、自動化されているため(全取引の80%)、取引ロボットを構築する用意のあるプログラマーのコミュニティが急速に拡大しています。MT4のエキスパートアドバイザー機能は、チャート作成、手動取引などのほかの取引関連の作業に干渉することなく、取引プラットフォーム上で直接、独自のアルゴリズム取引を実行することを可能にします。
メインのMT4メニューからMetaEditorオプションを選択すると、プログラミングが開始される別のプログラムが開きます。もちろん、必要なスキルを持っている必要がありますが、そうでなければ、ロボットを構築するプログラマーを見つけるのは簡単です。
さらにMT4プラットフォームは、取引ロボットをテストし、その性能をチェックする可能性を提供してくれます。結局のところ、戦略が将来的に機能するかどうかを知るには、どうすれば一番よいでしょうか?
ストラテジーテスターオプションを使って、トレーダーは起動させるエキスパートアドバイザーを選択し、次のようなバックテストのためのパラメーターを設定します。
- 通貨ペア(シンボル)─ テストを行う通貨ペア
- 期間 ─ テストを行う時間枠など
では、MT5 版はどのような機能を持っているのでしょうか?もし、MT4 が非常に優れていて、誰もがその取引プラットフォームを気に入っているなら、なぜ新しいバージョンが必要なのでしょうか?
メタトレーダー5は、MT4の4年後に登場しました。しかし、新しいもの全てが必ずしもより良いというわけではありません。実際、MT5の必要性があったため、キプロスに拠点を置く同じ会社であるメタクオーツ・ソフトウェア社が新しいバージョンに投資しました。
しかし、以前として今日と同じように、MT4には多くのファンがいたために、MT4から撤退することはありませんでした。代わりに、同社はMT4が解決できない問題に対処するためにMT5を設計しました。
そのようなことから、MT5はMT4の改良版であるというだけでなく、新しい業界の要求に対応するために登場したと言うこともできます。
例えば、米国のように世界のいくつかの地域では、FX取引は金融当局からの規制が厳しいためにいくつかの特殊性があります。そのような特殊性の1つはファースト・イン・ファースト・アウト(F.I.F.O.)ルールです。
ファースト・イン・ファースト・アウト(F.I.F.O.)のルールの下では、FX取引は金融機関によってブローカーに課され、ブローカーによってトレーダーに課される特定の手順に従います。つまり、もしトレーダーがUSD/CADペアで一つのロットを購入し、その後、更に購入して同じポジションに追加しようと決めた場合、決済は同じ順序に従わなければならないというものです。
MT4ではそれぞれのポジションを別々に個別管理することができます。しかし、
MT5プラットフォームでは、全ての取引が統合されているので不可能です。
つまり、既に素晴らしいMT4の新しいバージョンを開発することになった一つの理由は、規制によるものでした。上記で述べたルールは、巨大な個人向け取引市場を持つ、世界最大の金融市場の一つである米国全土に適用されます。よって、キプロスに本拠を置くメタクオーツ社は、新しい市場環境に適応し、米国の要求に合ったバージョンを構築しました。
もう一つの違いは(時間の経過と共に無くなってしまいましたが)、MT5プラットフォームでは、プログラミング言語MQL5がMT4プラットフォームで使用されていたMQL4よりはるかに簡単だったという点です。しかし、2014年には新しいMQL4バージョンがオリジナルの機能を拡張し、両者のギャップは縮小されました。
結論
必要なら、携帯電話会社が携帯電話の新しいバージョンをリリースするのと同じように、2つのプラットフォームの違いを考えてみてください。新しいバージョンは同じニーズに対し更に役立つものであり、技術の進歩が大衆にとってより適切で、望ましいものを生み出します。
しかし、MT5は以前のバージョンを完成させる必要から登場しました。そうすれば、メタクオーツ社が異なる市場にアクセスできるためです。MT5ではMT4よりはるかに優れた資金管理が可能であると言う人もいます。
ある程度までは、特にF.I.F.O.ルールを考慮した場合、事実です。しかし、規制がトレーダーに課されると可能性を制限するので、その結果として、最初の傾向は新しいものを拒絶するのです。
MT5について米国に拠点を置くトレーダーに尋ねると、この取引プラットフォームでのFX取引は優れているという答えが返ってくるでしょう。明らかに、代替手段はありません。
しかし、ヨーロッパに拠点を置くトレーダーにMT4とMT5との間の選択を尋ねると、MT4が最初に選ばれる可能性が高いでしょう。
いずれにしても、どちらも個人向けの取引には優れたプラットフォームであり、FX取引は扱いやすくなり、執行がより正確になりました。