株式取引とは何か?

by Andrew McGuinness     9月 05, 2019

株式取引の略史

12世紀と13世紀に負債と国債を取引しようという試みが早くもされていますが、正式な株式市場が登場したのは500年後です。1600年、オランダ東インド会社が社債と株式を発行した初の企業となりました。よく取引されていたのは、アムステルダム証券取引所でした。

現代の証券取引所:ロンドン証券取引所は1801年、ニューヨーク証券取引所は1817年に発足しました。ロンドン証券取引所はヨーロッパの主要株式市場であり、ニューヨーク証券取引所(NYSE)はアメリカと世界の主要取引所で、アメリカでは競合する市場がなかったため、ニューヨーク証券取引所は常に、きわめて大きな影響を及ぼしていました。

今日では、ほぼすべての国に独自の証券取引所があります。株式市場は世界のどこにでもあり、株式取引が金融の世界で非常に重要なのは疑う余地がありません。

3世紀に渡って株式市場を支配した後、ニューヨーク証券取引所は、1971年のナスダック創設により真の競争相手を得ました。ナスダックが他の株式市場と違う点は、物理的な所在地がなく、コンピュータネットワークを利用して、すべての取引を電子的に実施することです。これにより、ナスダックは、競合企業に対して有利な立場に立つことができました。2007年、NYSEはユーロネクストと合併して、NYSEユーロネクストとなりました。大西洋をまたぐ初の証券取引所です。

とはいえ、取引は歴史を通じてスムーズに進んだわけではありません。市場の暴落は何度も起こり、個人投資家と企業を破産させてきました。

以下、株式市場近代史最大の株式暴落をあげます。

· 1929年ブラックサーズデー。これは合衆国史で最も破壊力を振るった株式暴落でした。世界中に影響を及ぼした大恐慌の始まりを告げるものでした。

· 1973~1974年の株式市場の暴落.この株式暴落の後に起こったのが、ブレトンウッズ体制の崩壊です。世界の大手株式市場すべて、特に英国に影響及ぼしました。

· 1987年ブラックマンデー。暴落は香港発ですが、すぐに米国と欧州にも拡大しました。

· 2000年インターネット・バブル(ドット・コム・バブル)。これは経済バブルであり、企業と消費者がインターネットを使って多くの投機を行った時期でした。この時期、多くのインターネットベースの企業が設立されましたが、その多くが失敗しました。

· 2008年株式市場の暴落。米国最大手金融機関がパッケージ型サブプライムローンとクレジット・デフォルト・スワップへのエクスポージャーが過剰であったため、株式暴落が起こり、世界経済危機となりました。

株式とは何か?

株式とは、証券の一種で、企業の所有権を示し、所有者に企業の利益の一部を受ける権利を与えます。企業は通常は金融資本が必要になると、株式を発行します。通常は、新たな投資のため資本が必要となります。公開企業であれば、株式は公開されます。

次の株式が考えられます。

· 優先。これは特殊なアセットクラスで、配当金を優先的に受け、(解散した時に)資産を優先的に受け取ることができます。優先株主には議決権がありません。

· 普通株。このアセットクラスは、優先株の株主が配当を受けた後、初めて配当を受けます。普通株の株主には取締役会の投票権があり、それを使って、経営陣に影響を及ぼす場合もあります。

英国、オーストラリア、南アフリカでは、ストック(stock)という言葉を国債に使うこともできます。

Stock(ストック)も Share(シェア)も株式を指す言葉だが、その違いは?

すべてのシェアはストックから生じ、企業のストックはシェアに分割されます。シェアはわずかな所有権を示すものです。企業は価格、権限、またはルールが異なる様々な種類の株式を発行できます。

株式公開とは何か?

企業の初めての株式公開は新規株式公開(IPO)と呼ばれます。これで企業は上場企業となります。IPOは通常、資金調達と上場企業になるために使われます。上場にはプロセス全体に費用(法務、会計、マーケティング)がかかり、特定情報が公表され、競合企業の利益となりかねない事実が存在するというマイナス面があります。

すでに株式を上場している企業が新たな株を発行する場合は、株式売りだしと呼ばれます。売りだしは企業にとっては何のメリットもありません。これは通常、株主(取締役などインサイダー)がポートフォリオの多様化を望んだと思われる非公開株式です。この新規株式の発行は、証券取引委員会(SEC)に登録する必要があります。

2009年まで、IPO発行が一番多かったのは合衆国でしたが、以後、中国が総額では最大の発行者となっています。

株式のデリバティブとは何か?

特定株の価格に応じて価格がつく金融デリバティブは株式のデリバティブと呼ばれます。株式の主なデリバティブは先物とオプションです。株のオプションは非常に人気がありますが、株式のデリバティブの中でも最もリスクが大きいものです。

証券取引所とは何か?

証券取引所は、組織と個人が株式、社債など有価証券を取引する場所です。証券取引所は仲介人の役割を果たし、取引の決済と確定を単純化します。さらに、配当収入の支払いも行うことができます。証券取引所が、株式価格を安全かつ公平に決定する方法について、ルールと手順を定めます。

証券取引所で特定株を取引するためには、まず、その株式が上場されていなければなりません。とはいえ、証券取引所での株式取引や上場の義務はありません。また、取引所の会員となっているブローカーしか、そこで取引はできません。

現在の市場は電子ネットワークを採用しており、トレーダーがスピーディーに値引きした費用で取引できるという長所があり、インターネット接続とコンピューターさえあれば、誰でもブローカーを通じて証券取引所で取引できます。

証券取引所の役割は、次の通りです。

· 資金調達。株式公開を通じて、有限責任会社、ベンチャーキャピタル、企業は新たな投資用資金を調達します。

· 企業の成長。これは買収、資産取得、他の企業との合併を通じて達成できます。

· 利益の分配。証券取引所は時々、株主に配当金を支払います。

· 政府資金の調達。国債を政府から民間企業(多くの場合は銀行)に販売して実現します。

· 経済のバロメーター。株価より、経済全体の状態を観測できます(不況でも好況でもできます)。

人気の証券取引所

各証券取引所は競いあってビジネスを行っています。どの証券会社も、時価総額、売上など、特定の上場要件があります。企業が上場要件を満たしたものの、後で要件を満たさなくなった場合は、上場廃止となります。上場すると、ティッカーシンボルと呼ばれる取引記号を割り当てられます。このシンボルはニューヨーク証券取引所で取引される株に対しては3文字、ナスダック取引株にたいしては4~5文字です。

2017年度証券取引所の時価総額トップ10は次の通りです。

名称

時価総額(10億米ドル)

上場企業数

ニューヨーク証券取引所(NYSE)

19,923

2400

ナスダック

6831

3058

ロンドン証券取引所

6817

3041

東京証券取引所

4485

2292

上海証券取引所

3986

1041

香港証券取引所

3325

1866

ユーロネクスト

3321

1299

トロント証券取引所

2781

1524

深セン証券取引所

2285

1420

フランクフルト証券取引所

1766

3769

株価指数とは何か?

株価指数は、選出された株価(加重平均)を基準に、株式市場の一部を測定したものです。株価指数は、投資家やマネージャーが市場について語り、特定投資のリターンを比較するために使われることがほとんどです。

多数の指数があります(英語ではindexesともindicesとも呼ばれます)。世界的指数もあれば、国内指数、地域指数、市場の特定業種の業績を追跡する特定指数もあります。

人気の株価指数には次のものがあります。

· ダウ平均株価

· S&P500

· ナスダック100指数

· ラッセル3000指数

多くのミューチュアルファンド(米国投資信託)と上場投資信託(ETF)は株式指数を追跡しようとしています。インデックスファンドはポートフォリオを構成する株式グループを保有しています。

株式ブローカーとは何か?

手数料を受けて、個人または企業からの売買注文を証券取引所を通じて実行する企業を株式ブローカーまたは証券会社と呼びます。

かつては、株式の保有はその時代の最富裕層のものでした。でも今では、インターネットとオンライン証券会社にアクセスして、誰でも証券取引所の上場企業の株を保有できます。

20世紀初頭、株式ブローカーは投資銀行家と一般の仲介機関として登場しました。ブローカーはオフィスでくつろぎながら、企業と財務状態の調査と価格の監視を行い、基本的には、ファイナンシャルアドバイザーの役割を務めます。そのうちに、技術が進み、証券会社は拡大し、株式取引は単純化しました。

今では、4種類の株式ブローカーがあります。

· フル・サービス・ブローカー。株式、ミューチュアルファンド、債券、オプション、先物取引を提供し、投資アドバイス、退職給与制度、税金に関する助言などを行います。そのため、このタイプのブローカーの手数料は最高額です。ワイヤーハウスとも呼ばれますウォール街の最大手である一流企業です(メリルリンチ、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス)。

· ディスカウント・ブローカー。株式、ミューチュアルファンド、債券、オプション、先物取引を提供し、投資アドバイスはほぼ行いません。基本的に、売買注文を実行するだけです。そのため、フル・サービス・ブローカーに比べて、手数料が安くなります。経験豊かなトレーダーの多くは自分でリサーチを行うため、ディスカウント・ブローカーは経験者にとってよい選択です。

· ディープ・ディスカウント・ブローカー。株式、債券、オプション、先物取引を提供し、投資アドバイスはほぼ行いません。このタイプのブローカーの手数料はディスカウント・ブローカーよりもさらに安くなります。

· オンライン・ブローカー。株式、債券、オプション、先物取引を提供し、投資アドバイスは行いませんが、トレーダーを教育するファイルは十分に持ち合わせています。多くのオンライン・ブローカーは、小規模な個人投資家をターゲットにしているディープ・ディスカウント・ブローカーです。

株式取引を始める方法は?

株式市場の取引を始めるには、トレーダーは証券会社に口座を開設する必要があります。

以下、米市場の取引をする上で、最高レベルのオンライン・ブローカーをあげます。

· メリルエッジ(Merrill Edge)

· TDアメリトレード(TD Ameritrade)

· イートレード(E*trade)

· チャールズ・シュワブ(Charles Schwab)

· フィデリティ(Fidelity)

以上のブローカーにはすべて、独自取引プラットフォームがあり、独自のリサーチを提供しています。

現物取引と信用(マージン)取引の違いは何ですか?

今日ではほとんどのブローカーが信用(マージン)口座を提供しています。つまり、ブローカーはトレーダーに融資し、トレーダー自身の口座に置かれた資金以上の株式購入ができるようにレバレッジを与えます。トレーダーが融資を受けるには、損失が生じた場合の担保として使用できるマージン(証拠金)が必要です。とはいえ、トレーダーはマージンで取引する義務はありません。代わりに、購入した株式全部で支払うこともできます。

株式の売買方法

株式を購入する目的は、特定の株価が値上がりして利益を得ることです。ロング(買い待ち)とも呼ばれます。株式価格は0未満にはなりませんので、株式購入リスクは限られています。

株の売却には2つのやり方があります。トレーダーがすでに株を所有していて、売りたい場合。もう1つは株の空売りです。 空売りの目的は、株価の値下がりから利益を得ることです。空売りのプロセスは次の通りです。トレーダーが特定の企業 (XYZ) がうまくいっておらず、株価が値下がりを始めると考えました(現在の株価は10ドルとします)。トレーダーは10,000ドルでブローカーから1,000株を借り、市場で売ります。これで、トレーダーは、株価の値下がりを待つだけとなりました。株価は1株8ドルになりました。その1000株の本当の所有者は、かなりの損失を被り、XYZを現在価格の8ドルで売りたいと考えます。ブローカーからトレーダーに、1,000株を戻さなければならないという通知がでるため、トレーダーが8,000ドルで市場から1,000株を購入して、ブローカーに返し、市場で株価を売却した時の10,000ドルと株を購入した時の8,000ドルの差を利益として得ます。株価が上がった場合に限り、空売りの損失が発生します。株価は無限に上昇する可能性があるため、空売りのリスクは無制限です。

注文の種類

株式市場は為替市場よりも流動性が低く、注文が実行されるときは、特定数の株式が指すため、正確な取引指示を与える注文の種類は多数あります。注文方法には次のようなものがあります。

· 逆指値注文。市場が一定の価格に達すると、取引が実行されます。指値注文には、買い指値と売り指値があります。

· 指値注文。これを使うと、具体的な買値の上限と売値の下限が指定できます。買い指値注文と売り指値注文ができます。

· 成行注文。一番一般的な注文方法で、現在価格で実行されます。買い注文と売り注文があります。

· 出合い注文。このタイプの注文は実行されるか、トレーダーが取り消すまで注文され続けます。通常、現価と離れた額で発注されます。

· 当日注文。その日のうちに執行されるか、市場取引時間が終了となったときに、キャンセルになります。

· 即時注文または取消注文。市場が開くとすぐに注文全体または一部が実行されます。実行されなかった部分は取り消しとなります。

株式取引のテクニカル分析とは何か?

テクニカル分析では、テクニカル研究、株価チャート、指標、その他のツールを使って、過去の価格推移を参照しつつ、将来の株価を予測しようとします。市場価格は追跡できる特定のパターンを示すので、そのパターンが繰り返される前に認識できるという理論に基づきます。株式のテクニカル分析は、他の金融商品と、基本的に同じです。

株式取引のファンダメンタル分析とは何か?

株式取引では、ファンダメンタル分析とは、経済データと生産データを用いて、企業価値を定めるという研究を指します。このために、トレーダーは、貸借対照表(バランスシート)、損益計算書、収益報告書、資産、製品、サービスといった情報を活用します。

バリュー投資とは何か?

バリュー投資は、投資家が特定の企業とその有形資産に関心を寄せる投資戦略です。投資家は常に、過小評価された企業とバリュー株(割安株)を探しています。

バリュー株を選ぶため、企業の貸借対照表、資産から負債を取り除いた額を見て、その結果と時価を比較します。バリュー株になるには、割安銘柄である必要はありませんが、他の投資家が見逃している何かがあります。

配当金とは何か?

配当金は、一部の企業が株主に対して四半期毎に行う支払いです。とはいえ、企業はこの支払いを保証しているわけではありません。結局、配当金払いをやめる決定をすることもありえます。

多くのトレーダーは意思決定の際に配当金を見逃しがちです。少額で、重要ではないと、通常は考えます。配当利回りは、同じ業界の企業を比較するよい手段です。例えば、基本価値が同じ企業が2社あるとしますが、1社の配当金利回りは2%、もう1社は4%です。この違いを見れば、企業を選びやすくなります。

最大手上場企業

世界中の証券取引所では全部で数千の企業が上場されていますが、そのうち、2017年度第3四半期の時価総額に基づく10大企業をあげてみます。

企業名

ティッカーシンボル

時価総額(百万ドル)

アップル(Apple Inc.)

AAPL

791,700

米国

アルファベット(Alphabet Inc. (Google))

GOOGL

664,550

米国

マイクロソフト

MSFT

568,965

米国

アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)

AMZN

459,435

米国

バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway~

BRK.A

451,840

米国

アリババ・グループ

BABA

436,850

中国

テンセント(Tencent)

TCEHY

405,000

中国

フェイスブック(Facebook)

FB

399,946

米国

エクソン・モービル(ExxonMobil)

XOM

348,248

米国

ジョンソン&ジョンソン(Johnson & Johnson)

JNJ

347,497

米国

通貨取引と比較した株式取引の利点

一部のトレーダーは、以下の長所があるとして、通貨取引よりも株式取引を好んでいます。

· 所有権。トレーダーは実際に一定の企業の株を所有します。

· 配当利回り。所有株に基づき、トレーダーは収入を受け取ります。

· 多数の企業から選択できる。トレーダーは最高のパフォーマンスを見せている企業を取引先に選ぶことができます。

· 分散。トレーダーは安全策をとるか、高利益を求めるかに応じて、現在の経済状況に基づき資金を移動できます。

· 詐欺のリスクが低い。FXブローカーの多くは規制を受けていませんん。それとは違い、米国株取引を提供するオンラインの株ブローカーは、 証券取引委員会(SEC)FINRAの規制を受けています。

· 歴史的に見て、長期的に最高のリターンを提供。株式取引は毎月、高収益とはならないかもしれませんが、長期的には、堅実な投資であることが実証されています。

· リスクが限定的。トレーダーが株式を所有していれば、失う可能性があるのは、その株式への投資額だけです。FXの場合、通貨価格が上昇する可能性には限度がありません。

株式取引のリスクは何か?

取引のリスクは多くの形で現れます。株式取引の場合、

· インフレリスク。この種のリスクは株だけではなく、すべての投資に影響します。株式投資を持続するには、利益率がインフレ率よりも高い必要があります。

· 市場リスク。この種のリスクは株価の市場変動が常に起きていることを指します。

· 機会のリスク。これは、トレーダーが現在の投資よりもよい機会を見逃すリスクをいいます。

· 金銭損失。株価は変わる可能性があり、トレーダーが利用するレバレッジが高くなれば、損失が発生する可能性があります。

· 流動性リスク。株価が下がれば、誰も売らないかもしれません。

· 事業リスク。企業が直面する困難が株価に影響します。

結論

歴史的に、株式は他のどの投資と比べても、長期的な成績は優れています。このため、株式取引は最高かつきわめて効率性の高い投機事業の1つとして、多くの人に選ばれています。トレーダーが無形のものに賭ける金融派生製品と違って、トレーダーは実際に企業の一部を所有するのであり、時には、配当金も受け取ります。株式取引は価値があり、長期投資戦略としてよいオプションです。とはいえ、この市場にはデイトレーダーも参加しています。ですが、株式取引でトレーダーが利益をあげるためには、まずは、かなりのリスク許容度をとれるようにしてから、テクニカル分析やファンダメンタル分析を独学する必要があります。





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