金と豪ドルの相関性:取引ガイド
金は長い間、人類を魅了してきました。この興味深い黄金色の金属は数千年前と同様、2018年にも価値あるコモディティーとして独自の質を持っています。
金は貴金属として、銀・プラチナ・パラディウム・ローディウムなどのような化学元素の選抜グループのうちの一部です。FX取引では、業者の昔ながらの商品には、一般的に金や銀を含む差金決済取引(CFD)があります。
金市場は、貴金属市場と同様、あらゆる点で独特です。地上・地下の蓄積量と、毎年の発掘量に依存します。
世界の一部では(例えばインド)、社会構成に金が大変重要な役割を担います。数千年前と同様、金は今でも価値の保存手段です。
投資としての金には、長い歴史があります。金の発見以来、軍隊は征服地域から金を奪ってきました。
金のために戦争が起こり、現代世界においてさえも、金が米国の連邦準備金で問題になると、戦争が起こってきました。
FX取引では、すべてのことがインフレに関係します。中央銀行が金融政策を変えるのは、インフレが目標を達成できないからです。
近年は低インフレである一方、トレーダーはインフレスパイラルが制御不能になると、何が起こるかを忘れがちです。ハイパーインフレはデフレよりも損害が大きく、速いスピードで起こります。
人々が法定通貨に対しての信頼をなくすと、デフレが始まります。最初はゆっくりと、そして次第にもの凄いスピードとなって、所有物を守る術が何もなくなってしまうのです。
そして突然、人々の意識が物質的な資産(住宅や車など)といったものに移ります。明らかに金もそうです。
インフレが経済を荒廃させた時のエピソードが歴史はあふれています。第一次世界大戦下のドイツでは、ハイパーインフレがものすごい速さで起こり、人々が賃金を受け取った瞬間から店に押しかけて物を買う、といった深刻な事態を引き起こし、ドイツマルクの価値は3分の1に減りました。
自国のお札の価値よりも、お札を印刷すること自体がずっと高価になってしまったのです。聞き覚えがあることでしょうか?2018年のベネズエラにおけるハイパーインフレの可能性は、まだあります。皮肉なことに、ベネズエラは世界でも石油埋蔵量が最も多い国のうちの一つなのです。
投資としての金
ブレトンウッズ体制下では、米ドルが世界で最も支配力のある通貨となりました。戦争で荒廃したため、欧州諸国は米国に歯向かえず、米ドルが世界の準備金となることに同意せざるを得ませんでした。
米国がそのことから巨大な利益を得ていたのは、誰の眼にも明らかでした。米国は、赤字の可能性があれば、外国からの米ドル需要で埋め合わせました。しかし他国は、いわゆる金本位制度を何とか取り決めました。
金本位体制下で米国の連邦準備金は、貴重品貯蔵庫に保管されている金によって、ドルの流通数を元に戻す必要がありました。そうして、ドルは金と同じくらいの価値となりました!
しかし、米国は何年も赤字を垂れ流し続けていたため、金本位制を維持できなくなりました。1971年のショッキングな発表で、ニクソン政権が金の価格からドルを分離させることが伝えられ、全金融界が一瞬凍り付きました。
ドルに何が起こったのでしょうか?結果として、連邦準備金への信頼は絶大だったので(または、おそらく他に代替となる存在がなかった)、ドルは生き残ることができました。さらに主要な世界の中央銀行もまた、金本位制度をやめることにしました。
今日では、金標準で機能する中央銀行は存在しません。しかし、投資としての金は、その地位を失いませんでした。
金がインフレに対する防御策であることから、金は価値の保存手段であり、信頼の保存手段でもあります。
そのため、資本主義の国々(西洋諸国)では、金は東洋諸国のように、日々の生活の中で非常に大切な役割を果たしませんでした。不安定な政府とインフレ政策が、人々に政策に不信感を持たせ、蓄えの一部を金に保存させたのです。
インドやアラブ諸国のような国々で金が「まぼろし」であることは不思議ではありませんが、例えば米国ではそうではありません。
FX取引における金
FX取引では、金のシンボルはXAU/USDとなり、差金決済取引(CFD)です。従来の通貨ペアと同じような動きをしますが、取引に必要なマージン(担保)が、従来の通貨ペアよりも大きくなる点が異なります。
金の価格は一般的に、米ドルと逆相関関係にあります。XAU/USDが上昇すると、必然的に米ドルが下落し、逆もまた同じです。
よって、米ドルが他国通貨に対しての価値も失うため、米ドルを含む全通貨ペアが同様の逆相互関係を享受します。というわけで、GBP/USD、EUR/USD、 NZD/USD、AUD/USDは、ドルに対する金価格とともに上昇します。
しかし、この上記の通貨ペアの相関度と金の価格は異なります。全ペアが上昇しても、パーセンテージはさまざまです。
それはなぜでしょうか?
金と豪ドル
オーストラリアは金の生産者(採掘者)として世界第三位であるため、オーストラリア経済は金の価格に依存しています。金の採掘はコストがかかり、多くの労働者の手を必要とします。
経済的な理由から、採掘プロセスが採掘結果よりも高くついてしまう物質を採掘するのは、道理にかなっていません。よって金の価格が下落した際には、採掘業界は苦境に立たされます。
その場合、豪経済がまず困難を迎えます。雇用者は解雇され、失業者数が増え、政府は失業者手当をさらに支払い、可処分所得が減るために消費者支出も減少する、などです。
経済を握る悪循環が始まります。この変化を最初に見るのは、どの市場でしょうか?もちろん、外為市場です!
そうした理由から、金と豪ドルは直接的な相関関係を享受します。歴史的に、AUD/USDと金価格は80%を超える直接相互関係があります。
このことが、豪ドルがコモディティー通貨と呼ばれる一つの理由です。コモディティーの種類は違いますが、CAD(カナダドル)のようにコモディティー価値に依存します。
FX取引では、このような相互関係があるとわかっていれば、過剰取引の防止に役立ちます。AUD/USDをロングしてXAU/USDをショートするのは、取引アカウントを守る意味でのヘッジング戦略でない限り、理にかなっていません。
結論
自身の投資を守ろうと人々がどれほどのことを行うのかを見るのは、興味深いことです。そして歴史の全般を見ても、金より効率の良い投資は他にありません。
金をお金として見ている人もいます。法定通貨ではないものの、世界の主要な中央銀行は、金をできるだけ保有しようと格闘しています。
人々は金を保有するために苦労を惜しみません。世界でもっとも安全な場所に貯蔵庫をつくり(金の最大の貯蔵庫はスイスで、まさに巨大な山の上にあります)、運用と保持に莫大なコストをかけます。
おそらく、地核にある貯蔵庫に蓄えておくだけのために、人々がなぜこの金属の採掘に大金をはたくのかを見るのは、さらに興味深いことかもしれません。
なぜなら、金は時の試練に耐えた唯一の「お金」あるいは価値の形状であるため、将来も何十年とそれが続くだろうと予測できるからです。そのため、金を少しばかり保有したところで、取引口座やインフレに備えた長期投資に損害が出るわけではありません。
今日のFX取引では、AUD/USDと金の相互関係は生産レベルが変わるまで存在し続けるでしょう。そのため、この相互関係を理解することが、過剰取引の危険性を防ぐために役立つのです。