ギャン取引の基礎
エリオットやガートレーのように、W.Hギャンも同様の「黄金」テクニカル分析時代の出身です。つまり、1900年代半ばのことでした。今日にいたるまで、ギャンは市場が実際に動くずっと前に、その動きを予測していたことで有名です。
話を進める前に、ギャンの手法は神秘的なオーラをまとっていることを知らなければなりません。ギャンが取引を始めた100年以上後に、ギャンの手法は誤解され、失われ、あるときには欠けた部分とともに再発見されました。
あらゆる良質な映画と同様に、ギャンにまつわる話と彼のテクニカル分析への貢献のおかげで、トレーダーはいまだに、ギャンのアプローチをもとに、FX取引の聖杯を探しています。この記事では金融取引におけるギャンの視点や、ギャンのアプローチを独特にしているもの、現在の取引プラットフォームがオリジナルのギャンのツールから提供しているものをご紹介します。
ギャンは1902年に取引を始めました。その当時の市場の多くは、今日ではもはや存在していません。ギャンは、起こる全てのことに理由があると強く信じ、取引した全てのものの歴史的な価格変遷を見つけることに、自分のキャリア全てを捧げようとしました。
ギャンは取引に興味のあったコモディティー市場の歴史的価格を調べるために、エジプトにまで旅したほどです。
ギャンは数秘術と占星術を強く信じ、群衆行動を解釈するのに、しばしば占星術を使いました。満月や半月が大衆心理にどう影響するかというような概念は、今日の世界では目新しいことではありません。では、群衆行動の変化で利益を出す場所とは?もうお分かりでしょう。金融市場です。
ギャンの死後、多くの人が彼の偉業を次なるレベルに昇華させようとしました。しかし残念ながら、利用できる情報が少なすぎたため、または伝え方が複雑なために、ギャンの手法理解をとても難解にしました。
今日のFX取引は、ギャンが株式・コモディティー市場で取引して有名になった頃は存在していませんでした。それでも、ギャンが考案したコンセプトは、外為市場でも理にかなっています。
こうした理由で、取引プラットフォームは初期設定にギャンのツールをいくつか組み込んでいます。ただし全てではなく、例えばギャンホイールはオリジナルのMT4 の設定内にはありません。
ギャンは自身が考案した「ホイール」を使い、トレンドの上昇・下降の次の角度(アングル)を見つけました。ご覧のとおり、ギャンはどんな金融商品であっても、独自の上昇・下降の角度があると信じていました。たとえ同じ市場にあるものであっても、です!
今日のFX取引では、メジャーであれクロスであれ、どの通貨ペアでも、それぞれ異なる上昇・下降の角度があります。1x1ラインとして知られるコンセプトは、いまだにギャン取引の秘密を解き明かそうとするトレーダーの心を掴んでいます。
金融市場で取引する際に、価格と時間の概念を導入したのは、ギャンが初めてでした。今日まで、それはFX取引の聖杯のままです。つまり、価格がどう動くかだけでなく、いつそれが起こるかを知る、ということです!
ギャンファンで取引する
おそらく最も有名なギャンツールはギャンファンで、MT4を含むほとんどの取引プラットフォームに搭載されています。このツールは同じ地点から始まるものの角度が異なるライン(正確には9ライン)一式です。
一見して最も重要なラインは、先述したように真ん中の1x1です。角度が45度の1x1は、ある時間単位のある単価を示します。
取引ツールで1x1の上下にある他のラインは、2x1、3x1、4x1と呼ばれています。ある時間単位における2、3、4単位の移動を意味するだけのことです。
FX取引では、時間単位としての時間枠の期間を間違えて使用する人が多くいます。ギャンは、各金融商品で異なる時間の計算方法をしていました。よって今日のFX取引では、1x1ラインが動的支持・抵抗レベルを提供してくれるようにラインの角度をどのように設定するかが課題となります。
スタート地点は分かっています。つまりトレンドが変化する地点か、トレンド転換地点です。しかしMT4をチェックすると、ギャンファンツールには3つの異なる地点があるのが分かります。
最初の地点がスタート地点です。または、前のトレンドの最高値か最安値です。
3つ目の地点をどこに置くかがカギとなり、将来の取引に使うルールを設定することにもなります。そして正しい答えは、強気トレンドを確定する安値の切り上げ・高値の切り上げで、弱気トレンドなら高値の切り下げ・安値の切り下げとなります。
上の図は、最近のAUD/USDの日足チャートです。最初の地点は前のトレンドの最安値で、3つ目の地点はグレーのサークル部分です。
これが1x1ラインであり、強気トレンドを確定する部分です。45度になっていないと言う前に、まずは現代のテクニカル分析において、チャートがどう構成されるかを学ぶ必要があります。それはまた別の機会にお話しするとして、取引アカデミーのこの記事では取り上げません。
どんな場合でも、ギャンファンは将来の9つのラインを描き、非常に重要な動的支持・抵抗レベルを無制限に提供します。
この場合、上のチャートで見られるように動的支持を示しています。それを抜けると、今度はラインが動的抵抗となります。
W.H.ギャンの言葉を文字通りに解釈するなら、変動の終わりにギャンファンを適用する必要があり、それは決定的な最高値または最安値になるかもしれませんし、ならないかもしれません。
エリオットは同様の考えを持ち、衝撃波と修正波は必ずしも最安値または最高値から始まる必要はないと考えていました。この論理を使い、AUD/USDのより大きな時間枠に焦点を当ててみましょう。
この通貨ペアは2013年初に、平価より下落しました。そうして、トライアングルパターンを抜けて下がりました。これが前のトレンドの終わりを記録しているため、ギャンファンツールが新しい弱気トレンド開始を確定する地点となります。
というわけで同じ原理に従えば、ギャンファンツールで1x1ラインを引き、新しい安値の切り下げとなる前に、次は高値の切り下げとなります。
下降トレンドの間、価格が1x1の下にある状態のままであれば、強気は反転を狙う理由がありません。しかしこの場合は、新しい安値の切り下げの直後に反転して上昇しました。
この時間枠では下降の弱気トレンドと安値の切り下げが続く一方で、強気トレンドが必要でした!反転する状況が整って、1x1ラインは今や動的支持として機能するでしょう。
動的であるため、しばらく市場で下落が続いても、1x1ラインが2度目に試されたときに反発が起こります。弱気市場が終わり、次の3年間でAUD/USDはゆっくりと上昇していきました。
結論
ギャンファンは、W.H.ギャンがテクニカル分析に残したあらゆる遺産のうちの、一つの取引ツールにすぎません。取引アカデミーのこの記事で取り上げた理由は、最も簡単であり、FX取引で使うのは、論理的プロセスに従うものだからです。
しかし依然として、FX取引での使用方法は、ギャンがオリジナルで使っていたものとは異なります。加えて、ギャンは同じ市場で複数の取引ツールを使い、それらを一緒に組み合わせて、金融商品の将来価格を予測していました。
ギャングリッド、ギャンホイール、そしてもちろん占星術と惑星の人間行動への影響のしかたなど、これら全てがあらゆる分析の中心でした。
近頃は、テクノロジーが私たちの周囲のどこにでもありますが、ギャン、エリオット、ガートレーなどの手法は、プログラミングや解読が簡単だと考えられています。
しかしプログラミングの前に、将来を解き明かすためにも、こうした過去の理論を適切に理解する必要があります。