完璧な縮小型トライアングルの説明
ほとんどのコンソリデーション(保合、踊り場)を説明するパターンが1つあるとすれば、それはトライアングルです。FX取引では、縮小型ライアングルと拡大型ライアングルという2種類のトライアングルが重要です。
2つのうち、拡大型トライアングルが形成されるには、特殊な条件ができる必要があります。拡大型トライアングルのすべての波(エリオットはトライアングルの5つの波を特定)が前のスイングの高値または安値をブレイクします。
別の言い方をすると、難しいFX取引環境ができます。トレーダーがストップを設定しても、うまくいかないことが多いからです。「ストップの後に市場が動き」、結局相場の反転が速いように思えます。
幸い、拡大型トライアングルはめったに形成されません。市場の変動レベルが大きいため、これは特にFX取引であてはまります。
とはいえ縮小型トライアングルは実際に形成されます。エリオットは多くの種類の縮小型トライアングルを特定しましたが、すべての縮小型トライアングルは基本ルールに従っています。
- 縮小型トライアングルには5つの波がある
- すべてが修正波で、衝撃波ではない
- トライアングルは数字ではなく、文字で表す(a-b-c-d-e)
- すべての波が修正活動を示すため、実際は5つの波があるにもかかわらず、トライアングルは「3」構造といわれる
- a-cとb-dのトレンドラインがトライアングルの性質を示す
- b-dトレンドラインのほうが重要。ブレイクすると、トライアングルが終わる
- より低度の単純修正と複雑修正の両方が、縮小型トライアングルの波として形成される可能性がある
- 拡大型パターン(拡大型フラットまたはジグザグ)には、縮小型トライアングルの波全体または波の一部が表示される傾向がある
- 縮小型トライアングルのe波は独自のトライアングルとなる傾向がある
- トライアングル形成時の値動きは通常、a-cトレンドラインをブレイクする
複雑でわかりにくいと思われますか?そう思われるかもしれませんが、トライアングルにはバリエーションがあるため、多くのルールがあるのはごく普通のことです。
縮小型トライアングルは以下のようになるかもしれません
- 水平
- 対称
- イレギュラー
- 上昇型
- 下降型
- ランニング型のバリエーション
さらに、次のように、特殊な縮小型トライアングルも存在します。
- c-eが基線となるトライアングル
- a-eが基線となるトライアングル
完全な縮小型トライアングル
市場(通貨ペア)でコンソリデーション(保合)が起こると、トライアングルを形成します。少なくとも、そういう傾向があります。従って、トレーダーがトライアングル形成を理解すれば、FX取引に取り組む時には、競争上、優位にたてます。
完全な縮小型トライアングルは制限型トライアングルと呼ばれています。この名称は、トライアングルがブレイクした後、予想される市場の反応からきています。
このようなトライアングルは、
- クリーン。つまり、トライアングルの形成中に、b-dとa-cトレンドラインに、何の値動きも入り込んではいない
- メジャードムーブ(計測された動き)がある
- 頂点を予想されたサポートとレジスタンスレベルに利用
- 主要トレンドの価格を制限
上記のうち、最後が一番重要です。ブレイクアウトがどれほど激しいものであろうと、結局は、価格のポテンシャルは制限されます。
このため、ブレイクアウトは基調となるトレンドの方向に来るとはいえ、制限型トライアングルは、実際は反転パターンだということができます。
制限型トライアングル(limiting triangle)の後には、こうなると予想されます。
市場は強い強気トレンド(bullish trend)を中止します。次に、5つのセグメント構造を形成します。つまり、トライアングルが形成されます。
続くブレイクアウトはまだ強気で、基調となるトレンドの方向ですが、続く値動きは制限されています。最終的には、市場は反転します。
縮小型トライアングルの頂点の解釈
制限型トライアングルに続く値動きを取引する際に、トライアングルの頂点は重要な役割を果たします。事実上、市場は頂点に向かって反転し、レベルは強い水平サポートまたはレジスタンスレベルの役割を果たします。
以前のパターンが示したものに基づき、値動きが展開するさまは非常に面白いものです。とはいえ、トライアングルの頂点とは何でしょうか?
トライアングルが縮小するという性質は、2つのトレンドラインであるa-cとb-dによってあたえられています。正確に言うと、最終的に合流するまで「縮小」します。
合流地点または交差点が頂点です。従って、それを見つけるには、2つのトレンドラインが交わるまで、トレーダーはチャートの右側の2本のトレンドラインを予想します。
交差点で、強力な支持(strong support)レベルか抵抗レベルを描く水平線が引かれます。市場では、最初の試みでは頂点のレベルのブレイクが難しいでしょう。
制限型トライアングル(limiting triangle)の後の値動き全体をすばやく見れば、実際に、反転パターンであることがわかります。最初の試みで、価格が頂点(apex)をブレイクするのは難しいとしても、最終的にはブレイクします。そのレベルを試すたびに、反発は弱くなり、最後には価格は頂点よりも下落します。
なぜこれが完璧なトライアングルなのでしょうか?理由の1つが頂点からきています。すべての縮小型トライアングルには、トライアングル形成付近に頂点があるわけではありません。
時にはb-dとa-cトレンドラインがほぼ平行であるため、頂点の予想は不可能です。とはいえこのトライアングルは非常に正確に将来のレベルを予測するため、FX取引で使われる最も強力なエリオットツールの1つです。
当然、制限型トライアングルはめったに現れません。とはいえ現れた時は、トレーダーに将来の値動きに対するロードマップを提供します。
USD/JPYの例
例のない理論は単なる理論にすぎません。トレーダーはテクニカル分析におけるエリオットのパターンの意味あいを見る習慣を付ける必要があります。
こちらがUSD/JPYの日足です。強気トレンドを示しています。2014年後半には、市場は強力な強気トレンドで上昇しました。
突然、トレンドは停止しました。2ヶ月に渡るコンソリデーション(保合)が始まりました。
その間抜け目のないトレーダーは、市場が何を形成しているか気づいていました。そして、さらに重要なのが、パターンがブレイクした後に何をすべきかわかっていました。
トライアングルは明白です。上にブレイクして、長期的にさらに強気となるなったものの、このトライアングルの性質から、上値の余地は限られています。
実際、このようなトライアングルの意味を理解しているトレーダーは、弱気の条件を示していると気づきます。従って、トレンド反転パターンです。この場合は、強気です。
赤線は頂点または交点を示します。トライアングルがブレイクした後の値動きを解釈するため、将来の支持レベルを予想する時の助けとなります。
数ヶ月後、有名な2015年8月の米国株式市場のフラッシュ・クラッシュ(瞬間暴落)が発生しました。JPYは米国株式市場との相関性が強い(米国株式に投資するとき、投資家は低金利のJPYを利用して借り入れる)ため、JPYペアは株式市場で不安定な動きがあればすぐに反応します。
言うまでも無く、フラッシュ・クラッシュ(瞬間暴落)のためにUSD/JPYはあの以前のトライアングルの頂点まで下落しました。いずれにせよ、トレーダーには市場が反発すると予想される地点から、そのレベルがわかっていました。とはいえ、そのレベルは最終的には、弱気になります。
実際、そうなりました。反発が起こり、数ヶ月間、強気が価格を押し上げようとしました。
しかし新高値は達成できませんでした。かわりに、値動きで弱気の地合が強まっていることが確認されました。一連の高値の切り下げがあり、弱気トレンドの最初のサインがでました。
結論
制限型トライアングルは複雑なパターンです。非常に複雑なので、あまり形成されません。
しかし、その意味あいを考えると、探すだけの価値があります。そのトライアングルを形成している通貨ペアに対して、またとない貴重なロードマップを提供してくれます。
さらに、時間枠にも関連性があります。この記事で使われているUSD/JPYの例は、日足トライアングルを示します。
それを見逃すことは事実上不可能です。制限型トライアングルは訓練を積んだ人には見え、長い時間枠であれば、それをみつけるだけの時間を提供してくれます。
まとめると、制限型トライアングルは完全なエリオットの構造です。エリオットの傑作であり、株式市場で発見されたパターンであるにもかかわらず、FX取引における効果はてきめんです。