FXトレーダー心理の説明
FX取引において最大の敵の一つが、おそらくトレーダーの心理状態です。多額のお金を稼ぐか失うかというプレッシャーのもとで、トレーダーはどう反応すればいいかを永遠に知りません。
通常、取引とは確信から生まれます。テクニカルでもファンダメンタルでも、FX取引で売買する背後には理由があります。
取引がオープンになった瞬間から、感情の乱高下が始まります。利益を出せば、トレーダーは論理的根拠プロセスの有効性に疑問を持ち始めます。それは下記のような疑問です。
- もし間違っていたら?
- ランダムだが、起こり得るだろうか?
このような考えが思考を支配します。
損失を出すと、トレーダーはその取引を長く保有する傾向にあります。人間の性質により、ひどい取引決定をしやすくなります。
間違わないでください。FXトレーダーは全員、取引オープンの瞬間から、圧倒的な感情を経験します。市場がしばしば変動するため、トレーダーはエントリーの後によく逆取引をします。このような状況に対処するのは、困難な仕事です。
時として、市場がとても長い間理不尽であるため、トレーダーは取引をやめてしまうことがあります。絶望を感じて、取引をクローズして、市場が将来的な利益に転ずるのを見るはめになります。
そのため、市場心理とトレーダーの心理状態が、FX取引成功に非常に重要です。貪欲さや恐れといった感情や、後悔もまた取引プロセスに影響します。
市場が全取引の決定から成るため、市場は全参加者の貪欲さ、恐れ、後悔を表します。取引アルゴリズム(ロボット、ボット、エキスパートアドバイザーなど)でさえも人間がプログラムしているため、そこには感情が存在します。
金融市場における悲観と楽観
多くの理論が悲観と楽観を結び付け、取引を正当化する方法として、その二つをつなげようとしました。ラルフ・エリオットは、市場心理の原理である有名なエリオット波動理論を考案しました。
エリオットは、人間の性質に当てはまるニュートンの作用・反作用原理に従うパターンを記録しました。どの作用にも、それと同様の反作用があります。
結果として生じる衝撃波と修正波は、取引スタイルと市場参加者の予測によって様々な度合いのサイクルを形成します。小さな度合いのサイクルはスキャルパー(ポジションのオープンは短期間で、小規模の利益を狙うトレーダー)向けで、それよりも大規模なサイクルはスキャルパーおよびスイングトレーダーなどに向いています。
ですからエリオットがしたことは、取引の落とし穴を理解するためにトレーダー視点に立ったことでした。手短に言うと、エリオットは存在する中で最も強力な取引理論を打ち立てるために、感情移入の手法を用いました。エリオット波動理論には人間の悲観や楽観といった感情が組み込まれている、とまで主張したほどです。そのときから、金融市場を理解しようとするときには、群衆行動が絶えず現れています。
エリオット以外の者は、市場の行動を同じように解釈しようとしました。例えばハーモニックパターンは、一連の安値の切り下げ、または高値の切り上げが終了した後に大衆が反応するというガートレーの原案をもとに生まれました。
テクニカル分析は、人間の感情の説明を狙いとした取引理論だらけです。しかしトレーダーにとっては、感情の乱高下は永遠に終わりません。しなければならないことは、FX取引のスピードと試練に慣れ、自分がそれに適しているか見ることです。
財を成そうという過剰な欲望は、貪欲さと呼ばれます。FX取引で対処するのに最大の落とし穴の一つです。
貪欲さは、シンプルな理由で対処が難しいものです。トレーダーは、あっという間に財を成そうとFX市場にやってくるからです。
次に、トレーダーは取引結果につながる戦略とシステムを構築します。トレーダーが正しい方向で取引している限り、ロングかショートかは問題ではありません。
しかし、いくら売買するか決めなければなりません。このことは、トレーダーがその取引からどれくらい利益を出す立場にいるか、ということに直接関係します。
貪欲さは、過剰な取引量につながります。市場が過去3回の取引のうち2つ、またはそれ以上に同じ動きをしていたからというだけで、次も同じ動きをするとは限りません。それでも貪欲さが過剰な取引量につながり、その結果は一般的に損失となります。
貪欲さはまた、過剰取引にもつながります。FX取引における過剰取引とは、同じ方向に複数のポジションをオープンすることを言います。
トレーダーは手遅れになるまで、自分が何をしているかさえ気づかないかもしれません。例えば、NFP(非農業部門雇用者数)または米国経済データが発表されると、米ドルはFXダッシュボード全体で持ち直すか、下落します。
例えばトレーダーがEUR/USDペアでロングポジションとすると、GBP/USDも買いたい誘惑が大きくなります。または、AUD/USDやNZD/UDSなどです。最終的に、4つの異なる取引をするにも関わらず、同じ通貨ペアで4つの取引をするようなものです。利益は少なく、アカウントは炎上してしまいます。
恐れは明らかに貪欲さの反対です。FX取引では、恐れは高くつく感情です。さらに正確に言えば、恐れがあるときは、その機会費用が増えます。
取引を行うことを恐れすぎると、トレーダーは最も強力なトレンドが発生しているときに、指をくわえて脇で見ていることになります。または恐れが強すぎて、損失の出ている取引の引き上げができず、ストップロスの解除や、損失ポジションの上乗せしてしまいます。
いっぽうで後悔は、数値化するのが難しいものです。何が起こるかといえば、トレーダーには利益の出ている取引を早めにクローズし、損失を継続させる傾向があります。
このため、最高の取引の格言一つでは、「損は落とせ、さらば利益は大ならん」と言っているのです。
トレーダーが早々と利益を上げ、市場がもとの方向に進み続けていると、トレーダーは自分のしたことを後悔し始めます。そして間もなく、また取引に飛び込みます。
しかし、そうこうしているうちに市場が動き、水準も変化しました。それが悪い方向に行く可能性があるため、FX取引では、トレーダーの決定を自責の念に誘導させるべきではありません。
結論
感情の乱高下は、取引作業の問題点の一部です。取引教育に投資することで、誰もが取引方法を学ぶことができます。
誰もトレーダーに教えることができないのが、感情の対処方法です。この記事に記してあることは、どんなトレーダーにとっても驚きであってはいけません。
それでも、トレーダーは異なる反応をします。資金関連のことは、各トレーダー独自のものであるためです。
世界で最高の資金運用者が高賃金で雇われる理由は、金融市場の知識があるためだけではありません。それよりも、その取引能力のほうがずっと価値があります。
最重要ポイントの中でも、トレーダーのプレッシャーへの対処方法が、金融市場の勝敗を左右します。そして、市場は頻繁にトレーダーを試すでしょう。
全体として見れば、FX取引で絶えず利益を上げるには、知識と市場心理の理解を融合する必要があります。 市場分析をマスターした後でさえも、トレーダーは成功への道のりにおける最大の敵、つまり恐れ、後悔、貪欲さと闘わねばなりません。