金融市場の相互関係
今日の金融市場は相関的な方法で動いており、トレーダーの市場解釈を困難にしています。FX取引も例外ではありません。
FXブローカー間の厳しい競争は、標準的な取引商品の提供からの逸脱につながりました。このように、標準的通貨ペアの他に、FXブローカーは現在、株価指数、貴金属(金、銀など)、石油などを取引する可能性を提供しています。
CDF(差金決済取引)は、トレーダーに多種多様な市場へのアクセスを提供しました。突如として、FX取引で使用されたのと同じ原則が、他の金融商品の取引に適用できるようになりました。
しかし、これは善し悪しの両方があります。または、トレーダーにとってはもろ刃の剣です。
一方で、同じ口座から複数の市場にアクセスすることは素晴らしいことです。トレーダーは、他のポジションや、他の市場に対してヘッジ取引の機会を得たり、そこにある全ての異なる相関性を利用できます。
さらに、同じ取引口座からあらゆるものにアクセスできれば、異なるブローカーを利用した複数の取引口座運用による使用料や手数料の節約につながります。
マイナス面としては、各市場の違いです。各市場は様々なインプットで動くため、同じ戦略を使用して取引できません。
個人トレーダーは、ほとんどがテクニカル分析の設定に従うために、同じ戦略を使用します。しかし、例えばコモディティのような市場は、需給網の混乱に大きく依存しており、価格の動きに影響を受けます。
以下のことを考慮してください。つまり、FX取引の流動性と規模は、他の市場にはかないません。したがって、FXは他の市場とは違い、単一のインプットだけでは動かない真の市場です。このことから、異なる市場で同じ取引戦略を使用すると、誤りとなりがちです。
なぜ金融市場は相互につながっているのか?
信じられないかもしれませんが、これは世界中の規制当局や金融機関にとって懸念の対象です。市場の相互関係性と呼ばれ、様々な金融資産の間の増大する相関度を指します。
多くの要因によって、異なる金融市場と商品の間の関係が拡大しています。そして、みなさんがその現象を疑うならば、重要なデータが発表されたときに何が起こるか注目してください。
例をとると、米国のNEP(非農業部門雇用者数)やECB(欧州中央銀行)の金利決定と記者会見などがあります。そのような出来事の前には、金融資産全体にわたって自己満足の感情が見られます。
トレーダーは、ただ静観ムードに留まっています。FX取引では、レンジ相場が優位に立ちます。債券トレーダーは、金融政策の起こり得る変更からの利回りへの影響を見るのを待ちます。株価指数はレンジ内に留まる、などです。
突然、ニュースが発表されると、全ての市場が動きます。同時に相関的な方法で動きます。どうしてでしょうか?
高頻度取引(HFT)が全てを変えた
HFT業界が、取引の世界の全てを変えました。FX取引が変わったように、他の市場も変わりました。
資本を巡る競争が、突然、スピードを巡る競争になりました。より速く、より頻繁に取引する人が、より多くの利益を享受します。
テクノロジーがほぼ毎年、新たな開発により躍進することから、クオンツ(定量的データを駆使する金融アナリスト)企業の数が増加したのは不思議ではありません。金融市場はそれを見るのに最適な場所であり、個人専用の取引側でさえ、FX取引口座タイプの変更は、ブローカーが新しい現実に適応していることを示唆しています。
ヘッジファンドは業界を支配しています。通常、10倍のレバレッジで取引されているため、その大きな比率のレバレッジは金融市場の相互関係性を生み出しています。
ETF(上場投資信託)の取引領域への登場
さらに、新商品が登場しました。ETF、または上場投資信託を考えて見てください。
ETFは、資産を保有し、裁定取引(鞘取り)の仕組みで運用される投資ファンドです。資産はコモディティ、株式、指数、貴金属などで構成されています。
事実、今日、金融市場で想像できるいかなるものにも、少なくとも一つのETFがあります。金を購入したいですか?以下に複数のオプションがあります。
- FXブローカーのプラットフォームでXAU/USDをロングする。
(注: XAUは金の世界共通通貨コード)
- 物理的な金塊を購入する。
- 金の価格に類似したETFを購入し、それに2倍、3倍、またはそれ以上のレバレッジをかける。
- さらに良いのは、「金鉱労働者」や金鉱会社が注目し、株式市場での業績に基づいて動くETFを購入する。
以上は頭に浮かぶ最初の数例であるため、リストはもっと続けることができます。徹底的分析は、HFTとETFがどのようにして国際金融市場における「取引の場」を変えたかを示しています。
迅速な執行スピードのため、これらの全ての注文は、あらゆる金融資産間の相互関係を生み出しました。
巨額の金融投資商品が状況をさらに激化
大手資金運用会社や金融投資商品は、複雑な取引戦略や数千億ドルのポートフォリオを運用しています。複数の資産クラスにリスクを分散させるため、大規模な削減をもたらす資産クラスは1つではありません。
一般的には、これら金融投資商品の管理者は、世界経済のマクロ変化や世界各地の政治不安に反応します。さらに、おおよそ同じ分析コンセプトを使用するので、反応は類似しています。つまり、これを売り、あれを買い、というようなもので、HFT業界が提供する執行スピードにより全てが増殖されていきます。
インターネットは、この観点からすると助けにはなりません。情報が広まる速度はこれまで以上になり、トレンド継続の様子を見ています。金融市場におけるさらに厳しい変動が生じる可能性さえあります。
結論
これまで、FX取引で見られる相関関係をいくつか取り上げてきました。石油とCAD(カナダドル)は連動し、JPY(日本円)と米国の株式市場も直接の相関関係を享受し、またこの取引アカデミーでは、金とAUD(オーストラリアドル)の相関関係にまでも説明してきました。
しかし、市場の相互関係は別のものです。それは、全ての金融市場、商品、および有価証券を指し、ますます総関連性を強めながら動く傾向があります。
相関関係は、直接か反対のいずれかです。ここで覚えておくべき重要なことは、同期化された動きに繋がるスピードです。そのため、10年前に比べると、市場の出来事に対応するのが今日ではより難しくなっています。将来的には、その傾向が続く可能性が高いため、さらに難しくなります。
今日では、取引のほぼ80%が自動的に実行されます。個人トレーダーは、業界の動向に目を付け、今ではアルゴリズム取引、EA(エキスパートアドバイザー)、そしてミニBot(短期財務証券)を実行することにより取引のゲームに参加しています。
情報の急速な普及、ETFや大手資金運用会社の増加、加えて扱われる資本金の増加などにより、相互関係性レベルがより高まりました。将来的に拡大する傾向に目を向けていてください。
新しい限界のテストに向けてレースは開かれています。