FX取引におけるリスクリワードレシオ
金融市場にアプローチする際、トレーダーには計画がなければなりません。なぜなら、FX取引プロセスの中の感情を排除してくれるからで、取引計画はプロにも個人トレーダーにも同じように必要不可欠です。
結局、その計画が特定水準で通貨ペアを売買するものだったとしたら、それを遂行することが計画の実施となります。ところでこれは別件ですが、取引計画およびその遂行は、2つの異なるものです。
トレーダーの中には遂行できない人もいます。取引に入るか、撤退するかのどちらかで、購入・売却ボタンを押せません。
このためらいには、多くの要因があります。エゴ、市場理解の欠如、相互関係、恐れ、貪欲さなどが、そのうちの一部です。
トレーダーが感情をわきに置いておくことができれば、取引の部分はもっと快適になります。さらに正確に言えば、誰が思うよりもずっと簡単になります。
そこまで達するのに役立つことの一つが、過去のデータを参照した検証です。最近では、多くの業者が提供する取引プラットフォームが、洗練された取引戦略および過去の価格の検証を可能にしています。
これは優良で素晴らしいことですが、昔ながらの紙上取引のほうが、ソフトウェアが行う過去データ検証よりもずっと多くの取引戦略を物語っています。ここで話していることは分足チャートやそれより短い時間枠の取引についてではなく、時間足以上の長い時間枠のことです。
値動きがどのように取引のエントリー(入口)・エグジット(出口)周辺に関わったか、を自分の眼で見ることは、将来的に取引戦略を適用するための洞察を多く与えてくれます。結局、紙上取引をしばらくの間行うと、トレーダーにFX取引で何が機能し、何が機能しないのかを見せてくれています。例えば、外為市場で使用する最良のリスクリワードレシオは何か、ということなどです。
適切なリスクリワードレシオへの道
リスクリワードレシオが何かということと、それが成功するFX取引にどう役立つかということは、ここですでに多くを取り上げてきました。リスクとは、エントリー(入口)価格からストップロスまでの値動きの距離を表します。
しかし、それはまたリスクに晒された数も示します。さらに、取引量は将来的にリスクに晒されることを表します。
よって、リスクリワードレシオを設定する際には、これら全てが連携します。
どんな場合にも、リスクの見方に関わらず(ピップの距離、取引量、数など)、リワードがリスクを越えなければなりません。そうすると、最低でも1:2は超える必要があります。
つまり特定のリスクには、トレーダーがテイクプロフィット(別名リワード)をリスクの最低2倍に設定するということです。明らかに、レシオが高いほど、取引アカウントにとっては良いことです。
しかし、これはコストとリスクを最小限にするための考え方です。そしてどのくらいの通貨ペアがFXダッシュボードで利用できるかを見ると、トレーダーは高リスクリワードレシオで頻度の低い取引より、低リスクリワードレシオで頻度の高い取引を好みます。
反応は普通で、貪欲さに由来するものではありません。代わりに、取引チャンスを逃す恐れに由来します。
例えば1:10のリスクリワードレシオを待っている場合ですが、この設定は頻繁にはありません。四半期に一度くらいでしょう。よって、それを逃すことで、あとの3か月の取引計画を無駄にしています。
それを防ぐために、トレーダーは小規模のリスクリワードレシオで頻度の高い取引に落ち着きます。1:2実施の考え方は、2回の取引のうち1回勝ちながら損失を出さないことを可能にしてくれます。
トレーダーが、自分の戦略やパーソナリティに沿った適切なリスクリワードレシオを発見したと感じるまでになれば、そのトレーダーはもはや新人ではありません。代わりに、FXチャートの前で、これをどう最大限に機能させるかを考えながら数年を費やした、多くの経験があります。
生き残るチャンスを増やす
取引とは可能性のゲームです。そこに秘密はありません。
トレーダーが求めるものとは、可能な限り最小のリスクで、可能な限り最高の利益が出せる設定です。しかし、このアプローチには問題があります。つまりリスクをどう定義し、どう最小限にとどめるかということです。
一つのことは明確です。つまり、ピップは使えません。FX取引では、10か50ピップのストップロスではどうにもなりません。
全通貨ペアで、値動きの距離は同じではありません。例えばEUR/USDペアでは50ピップはまあまあです。しかしEUR/AUDになると、このような距離はとても迅速な値動きです。よって、1つのことが全てに当てはまるわけではありません。
こうした問題に直面したときはいつでも、パーセンテージが解決策です。パーセンテージの使用は、異なる市場環境に対処するときに役立ちます。
FX取引では、各通貨ペアがそのものの市場です。さらに、日々のレンジが異なります。つまり、経済ニュース、流動性の違いなどに異なる反応をします。
したがって、パーセンテージは取引にリスク設定を行う際に一番機能します。さらに正確に言えば、1パーセントが功を奏します。
この取引アカデミー内の前の記事で、このことはすでに取り上げましたので、今は数学の時間です。最近のパソコンならどれでもいいので、エクセルのスプレッドシートを開いてみてください。
すべての取引に1パーセントのリスクを設定し、数式を当てはめてみてください。72回連続で取引に負けても、アカウントは50パーセントのマイナスのみです。
しかし改めて言いますが、72回連続の負け取引では、取引理論、設定、心構えなどの何かが間違っています。どの場合でも、トレーダーは少なくとも学んだ後に一からやり直したり、取引能力を改善したりするチャンスがあります。
さて、ここでリスクリワードレシオを整理します。72回連続の負け取引のうちどれかでも勝ち、1:2のリスクリワードレシオを遵守するなら、取引アカウントの自己資本は大幅に増えるでしょう。
結論
FX取引は正しい取引設定をすることとは関係がありません。さらに、取引とは金融市場における聖杯を探すことでもありません。
そうではなく、FX取引とはほぼ、人としての自分を見つけることです。
陳腐に聞こえるかもしれませんが、まあ、これが真実なのです。最高のことも最低のことも、全てを取引の舞台にもたらすことで、取引アカウントへのダメージを防ぎ、自分を人として知ることです。
それにはリスクリワードレシオが役立ちます。資金運用に属し、シンプルなネット検索で、誰もが最大に利益を出す正しいレシオの設定方法を知ることができます。
それでも現実は、シンプルなリスクリワードレシオよりもずっと多くのことが必要だと伝えるでしょう。結局のところ、私たちはロボットではないのです。
トレーダーとして、子供が別の部屋で寝ていて、パソコンのスクリーンの前に一人で、今月、来月、そしてその翌月もやり遂げなくてはならない、などと分かっているときは、結局ルールのいくつかを捻じ曲げてしまうことになるでしょう。
「いくつか」という言葉をメモしておきましょう。そして、これはたたいたり、非難したりしているのではありません。
そうではなく、これは明らかな現実です。ルールは破るためにあるのです。リスクリワードレシオは破るためにあります。明らかに良い意味であり、悪い意味ではありません。
なぜ1:10のリスクリワードレシオを試さないのでしょうか?この記事で、そのようなレシオを見つけるのは難しいと書かれているから、というだけの理由でしょうか?
市場は常に変化し、取引条件も日々変わっています。FX取引も、毎日の異なる流入により変化しています。
しかし永遠に変わらない一つのことは、成功する意志とその能力です。これが前進への秘密で、FX取引は、ただ前進が容易に見つかる領域の一つです。