FX取引:プロ

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Trading101
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FX取引における時間とその価値

FX取引で第一に焦点を当てるのが価格です。より正確に言うと、価格の行方です。

結局、トレーダーは次の質問に答えなければなりません。価格は上の方に動くのか、それとも下の方に動くのか?ということです。

根拠のある推測をするために(誰も確実なことは分からないので)、トレーダーはテクニカルおよびファンダメンタル原理を使います。FX取引とは、テクニカルおよびファンダメンタル分析の結果として、ロングまたはショートポジションを取ることです。

しかし、これで充分だと思ったことはありますか?価格だけに焦点を当てて大丈夫なのでしょうか?

答えはイエスです。正しいですが、まだ何かが足りません。時間です。

価格と時間が、精通したトレーダーの注目点です。ターゲット価格に届くターゲット時間を設定できれば、取引は容易になり、不要なコストは避けられ、全てがさらに明確になります。

価格と時間。FX取引の至高の目標であり、価格の行方だけでなく、いつなのかも分かる完全な予測なのです!

FX取引の至高の目的

下記が、FX取引における価格と時間の考え方です。

- 価格と時間の両方に応じて、ストップロス(損切り)とテイクプロフィット(利食い)を設定しながら、特定の水準でロングかショートする。

すなわち、価格は特定期間にある水準に届かなければなりません。時間と言っても、ここでは正確なカレンダー通りの日を指していないことに留意してください。

それよりむしろ、FX取引での時間とは、価格がターゲットに届かなければならない最長時間のことです。それがなければ、トレーダーはただ市場で取引をクローズだけになります。

よって、時間要素がストップロスを引き起こし、テイクプロフィット条件を設けます。実際に、これは取引要素とリンクしています。価格と時間とは、なんという素晴らしいコンセプトなのでしょうか!

信じようと信じまいと、テクニカル分析には条件付きで価格と時間に従う、多くのコンセプトがあります。個人トレーダーが使用しないのは、単に時間予測の大切さを知らないからです。

トライアングル形成における価格と時間

トライアングルは、市場が持ち合いになる上で好まれている方法です。すべての時間枠において形成され、継続パターンか反転パターンとなります。

エリオット波動理論はトライアングル形式をまとめた最初の理論でした。エリオット理論の登場まで、テクニカル分析トレーダーが知っていたのは、上昇・下降トライアングルのみでした。

しかし、エリオットはトライアングルに似ている全てのパターンが、実際にトライアングルであることに気づきました。よって、エリオットはトライアングルのブレイク直前に時間条件を設定したのです。

それを明らかにする前に、エリオット波動理論におけるトライアングルとは何かを思い出しましょう。

  • トライアングルは、シンプルな修正パターンである
  • トレーダーはトライアングルの5つの波を示すために、a-b-c-d-eを使う
  • トライアングルはトレンドラインb-dとa-cの間で展開する
  • b-dのトレンドラインはトライアングル形成の終わりを示すため、形成に最も関連性がある

先に述べたように、時間のルールはトライアングルの最後の波のことを言います。つまり、e波のことです。

ルールは下記のようなものです。

- 価格はe波の形成さに要した時間と同じか、それより短い時間でトレンドラインb-dをブレイクしなければならない。

このシンプルなルールにのっとっていない場合、市場はトライアングルを形成しなかったことになる。

上の図はエリオットによって予測されたトライアングルを示しています。赤線のトレンドラインb-dとa-cが、縮小型の性質を物語っています。

ご説明したように、焦点はトレンドラインb-dにあります。価格がトライアングルを有効にするには、e波の形成にかかった時間より短い時間でブレイクしなければなりません。

青と赤の線が、トライアングル形成における価格・時間関係で正しいものとそうでないものを示しています。青線が正しいブレイクです。

トレーダーが行うのは下記のことです。

  • e波にかかった時間を測るために、形か他の方法を使う
  • e波が終わった直後に、結果として出た時間を右側に推定する
  • 時間内に、トレンドラインb-dに価格が届くまでロングの状態でいる。

しかし、トライアングルはまだ終わっていないかもしれません。さらに正確に言えば、e波がまだ完了していない可能性があります。

よって、トレーダーはその取引から抜け出るために、時間要素を使います。例えば、ほとんどのトライアングルではe波がトレンドラインa-cを突き抜ける傾向があります。

積極的なトレーダーはこの瞬間を、取引に入るために使います。しかし、そうしたトレーダーは、e波形成にかかった時間よりも短い時間で価格がトレンドラインb-dに届かなければならないことを分かっています。

従って、ターゲット価格に届く前に時間が経ち、時間切れとなりそうな場合、トレーダーはe波が完了しなかったので、その取引をただクローズします。このケースでは、その取引は収益を出して終わるものの、取引撤退の引き金は価格ではなく時間となりました。

シンプルな修正の確定

エリオット波動理論で最大の問題は、シンプルな修正と複雑な修正の見分け方にあります。エリオットは複雑修正がより頻繁に現れることを発見し、FX取引では特にそれが当てはまります。

しかし、いつx波が形成されるのか、どうやってトレーダーが分かるのでしょうか?いつそれを予測するのでしょうか?

その答えは、再び時間要素にあります。フラットまたはジグザグでは、価格はc波の形成さ時間以下でリトレースしなければなりません。

もしそうであれば、a-b-cはシンプルな修正です。そうでなければ、市場は複雑修正を形成していて、x波が出現します。

上の図はフラットパターンを示しています。b波が前のa波の領域にとても深くリトレースしているため、トレーダーはこれをフラットパターンだと解釈します。

しかし、主な問題は次に何が来るか予測することです。このa-b-cはシンプル修正でしょうか?または、市場は複雑修正を形成するのでしょうか?

ここで再び、時間要素が役立ちます。

青線のシナリオの場合、価格はc波にかかったより短い時間でリトレースします。よって、a-b-cはシンプル修正であり、より大きな度合いで終わります。

ただし赤線の場合も、価格がさらに高くブレイクしています。しかし、時間ルールに従うことなくそのようになっています。よって、a-b-cはシンプル修正ではないとトレーダーに告げています。代わりに、市場は複雑修正を形成し、上の図の赤線の動きは、介在するx波の最初の部分にすぎません。

結論

ここまででおそらく推測しされた通り、この記事の全てはエリオット波動理論についてです。この取引アカデミー内でご説明した、これまでの全てのエリオット概念がここで完了します。

衝撃波が有効かどうかをトレーダーに告げる、同等のルールも衝撃波にはあります。つまり、衝撃波で第5波と第1波にかかった時間が、黄金比(61.8%)に等しいか、関連がなければなりません。

エリオットは、取引で価格と時間を使った唯一の人物ではありませんでした。W.H.ギャンはある株で価格水準を予測しただけでなく、価格に届くおおよその時間を予測したことでも有名です。

ギャンは占星術を多用し、惑星の動く力と、その人間性への影響力を信じていました。残念ながら、ギャンの取引における時間測定方法は彼自身の生涯とともになくなってしまい、ギャンがテクニカル分析で遺した全てが謎に包まれています。

まとめると、価格と時間は全ての取引で追うべきです。残念ながら、トレーダーが両方を使える状況は、FX取引ではあまりありません。

エリオット波動理論はそうした状況のほとんどを提供するため、これが焦点となるところです。しかし、従来のテクニカル分析パターンの中には、下降・上昇ウェッジ、ヘッドアンドショルダーパターンのように、時間要素を持つものもあります。しかし、その詳細を取り上げるのは、おそらく今後の記事となるでしょう。