FXにおけるパターン認識 :ヘッド・アンド・ショルダーズ
テクニカル分析に対する西洋的アプローチから、ヘッド・アンド・ショルダーズ・パターンはトレンドの最後に形成されます。反転パターンであるだけでなく、最も強力で一筋縄ではいかない取引パターンの一つです。そのことはFX取引では特に当てはまります。
まず、テクニカル分析になると、トレーダーは昔ながらのパターンに目を向けます。パターン認識アプローチは、市場行動を解釈する最古の方法の一つです。
ヘッド・アンド・ショルダーズ/パターンはトレーダーを罠にかける傾向があります。3つの部分で構成されています。
- レフトショルダー(左肩)。通常、これはトレンド方向に形成されるコンソリデーションエリアです。トレンドの転換を示すものはありません。その代わり、ペナント(三角持ち合い)または強気のフラグのように見え、保合いパターンとしてさらに多くトレーダーを引きずり込みます。
- ヘッド(頭)。突然、前述のコンソリデーションがブレイクします。トレンドが再開するため、誰もが再び乗り出します。しかし、偽のブレイクであることが判明します。市場は突然全体の動きをリトレースメントします。
- ライトショルダー(右肩)。市場がヘッドをリトレースメントした後、再びコンソリデーションとなる傾向があります。それがライトショルダー(右肩)です。
通貨ペアがヘッドをリトレースメントするときに限り、トレーダーはヘッド・アンド・ショルダーズが形成される可能性を疑い始めます。焦点はライトショルダー(右肩)とヘッド・アンド・ショルダーズ・パターンの取引方法に移ります。
ヘッド・アンド・ショルダーズ・パターンは、強気トレンドと弱気トレンド両方の最後に形成されます。FX取引では、弱気トレンドの後に現れると、トレーダーは、逆ヘッド・アンド・ショルダーズ・パターンが形成されたと言います。
しかし、パターンの取引と解釈方法は、両方の場合でも同じままです。標準の取引方法とそこから最大の利益を得る独創的なトリックをいくつか見ていきましょう。
たとえば上のチャートをチェックします。左から右に、弱気トレンドの後、市場はコンソリデーションになります。
コンソリデーションは下降型三角持ち合いに見えます。価格が下抜けした後、弱気が価格を積極的に押し下げようとしました。
しかしまもなく、EUR/GBPはブレイクアウトの動きを完全に反転させます。その後、コンソリデーションが始まります。
こうして、ヘッド・アンド・ショルダーズ・パターンが形成されます。そしてこの瞬間から、トレーダーは弱気トレンドが反転する可能性を検討します。
FX取引におけるヘッド・アンド・ショルダーズ・パターンの標準的解釈
パターン名は人体の両肩と頭が由来になっています。それに基づき、ネックラインというもう一つの要素がテクニカル分析の絵の中に入り込みます。
ネックラインは両肩の土台に接します。そのため、市場がレフトショルダー(左肩)のコンソリデーションとヘッド(頭)の動きを終えた後ではじめてネックラインを引くことができます。
この例では、ネックラインは水平です。しかしFX取引では、そうなるのがルールというよりは、まったくの例外です。
FX取引は世界で最も変動しやすい市場として知られているため、ネックラインをめったに引くことはできません。
価格がネックラインを突破した瞬間から、トレーダーはある目標を抱きながら取引に入ります。 その目標が、予測される動き(メジャードムーブ)です。
動きを予測するための計算に必要なのは、線を引き、ヘッドの頂上からネックラインまでの距離を測定するだけです。次に、ネックラインからそれを予想し、それが利食いとなります。
残念なことに、パターンは大きなリスクリワードレシオを提供しません。それが完全に無効化するのは、ヘッドの最大値を超えて押し出す力が市場にある場合です。
経験則ではありませんが、ほぼいつも、価格はネックラインをリテストします。それは取引に入るすばらしい地点であり、多くのトレーダーはリテストが行われるのをただ待ちます。
FX取引においてすばらしいリスクリワードレシオを得るためのネックラインを推定
シンプルな資金運用規則によると、リスクリワードレシオは1:2を超える必要があります(ターゲットはリスクを表す距離の2倍)。この場合、エントリー地点は、ネックラインのブレイクアウトポイント上またはリテストであり、無効化がパターンの一番低いポイントであれば、リスクリワードレシオは取引を認めません。
ヘッド・アンド・ショルダーズ・パターンは反転パターンであるため、予測される動きは将来のターゲットを推定するものにすぎません。トレーダーは部分的な利益の記入、損益分岐点のストップロスの引き上げ、ストップを追跡して、新たなトレンドを最大限に利用するために使用します。
しかし、利益に手をつけないままリスクを最小限に抑える別の方法があります。その達成に役立つのが、ネックラインの予測です。
すべてはレフトショルダー(左肩)で始まります。ネックラインを引く時まで、レフトショルダー(左肩)のコンソリデーションがすでに存在しているという点を心に留めてください。したがって、チャートの左側の情報を使って、将来のレベルを予想します。
元のネックラインをコピーして、レフトショルダー(左肩)の底から貼り付けます。その結果、ネックラインは2つの面白い機会を示してくれます。
- ライトショルダー(右肩)のコンソリデーションの間にすばらしいエントリーがあります。ネックラインをブレイクする前に、価格はその予測に至ります。積極的なエントリーを好むトレーダーであれば、底にストップロスを置いて、予測の動きによる利食いを設定します。
- 価格がネックラインをブレイクした後にストップロスがあたえられています。そのため、予想される動きの距離は資金運用の視点からは、理にかなったものです。
FX取引におけるヘッド・アンド・ショルダーズ・パターンの長所と短所
長所としては、パターンはまだ有効です。FX取引のような新たな取引が現れたため、金融市場はやがて進化しましたが、パターンはまだ有効です。
しかし、いつもではありません。今日、AI、トレーディングアルゴリズム、クオンツを備えたスーパーコンピュータは伝統的な認識パターンの見極めを学びました。
市場が偽の動きと判明するものにおいて、ネックラインの下抜けはまれではありません。急な相場の反転が続き、パターンを無効化します。
皮肉なことに、時間枠が長くなるほど、パターンにとっては事態が悪化します。(誰もが知っている通り)誰もがそれを見ることができるという事実は、取引にとってよい前兆ではありません。
もう一つの短所は、形成にかかる時間から生じます。EUR/GBPのヘッド・アンド・ショルダーズ・パターンは、ネックラインのブレイクまで、5月から12月まで懸かりました。
日本のローソク足パターンなど、他のパターンと比べると、ヘッド・アンド・ショルダーズは同じリスクリワードレシオとなる2つの取引を行うには、長い時間がかかります。
結論
ヘッド・アンド・ショルダーズ・パターンはトレンドを反転させます。それが最重要となる特徴です。
そうは言っても、予想される動きと前のトレンド終わりに行う取引方法は重要性が失われつつあります。このため、時間枠が長くなるほど、その意味あいは強くなります。
それでも、長い時間枠では簡単に見つかります。この記事であげたような、昔ながらのパターンをさがせば、生き延びるチャンスはほとんどなくなります。
その代わり、見苦しいパターンを選んでください。想像力を駆使して、すばやいスパイクと当初のブレイクアウトポイントへのリトレースメントが続くコンソリデーションを探します。
水平にならないネックラインを探し、価格が移動する時間と距離が異なる2つのショルダーを探します。
ある取引理論の概念には、ヘッド・アンド・ショルダーズ・パターンが含まれています。 取引アカデミーで後に取り上げるエリオット波動理論は、トライアングルに関する多くの理論に基づきます。
信じられないような話ですが、特殊なトライアングルが複雑修正の終わりに形成される時、市場はヘッド・アンド・ショルダーズ・パターンを作ります。その結果、見苦しく、見つけるのが難しく、解釈はさらに難しいものとなります。
それが取引したいヘッド・アンド・ショルダーズ・パターンです。他の市場参加者よりも競争力をあたえてくれるからです。
次回、ウェッジ(くさび型)というテクニカル分析における別の昔ながらのパターンを見ます。ヘッド・アンド・ショルダーズほど複雑ではありませんが、さらに強力な影響があります。