FX取引:中級レベル

中級
Trading101
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Lectures 20 レッスン
Duration 20 時間

高頻度取引とその重要性

金融市場は年々変化してきており、新技術とともに改善し続けています。FX取引では、80%を超える活動がロボットによるもので、人間によるものではありません。

自動取引はこの世界での現実であり、ゆっくりでありながらも着実に、私たちの生活の大切な部分を占めてきています。最近のAI(人工知能)の前進が、金融市場のトレンド開始を確実にしています。

お金を稼ぐビジネスが常に個人に魅力的に訴えかけることから、企業は競争力のある強みを得ようと多くの努力をしています。そして世界で最も流動性がある金融市場、とは言わずとも、出資すべき投資先が、FX(外国為替)市場です。

FX市場では、5兆ドルを超える価値の取引量が日々、市場で循環しています。これは莫大な金額です!

しかし大局的に見れば、この金額のほとんどは、個人トレーダーではなく他の存在のものです。実際に、個人トレーダーの取り分はたったの6%前後なのです。

これはよく知られていて、証明するのが簡単なことです。FX市場が開いていても、銀行や主要な国々がビジネスを行っていない時間を考えてみてください。

何が起こるかと言えば、個人トレーダーの取引量はFX市場全体で微量のため、価格はとても狭いレンジにとどまります。言い換えると、大手プレイヤーが動かなければ、市場も動かないということです。

上記はUSD/JPYの時間足チャートで、2018年のイースターの金曜から月曜日の動向です。金融中心地のほとんどが銀行休業日のため、このペアの取引量はほぼ動いていません。

USD/JPYに限らず、これは全通貨ペアで知られていることです。市場の方向性において、他の市場参加者の重要性を示します。

そのような参加者とは:

  • 中央銀行。各中央銀行には取引部門があり、市場をくまなく監視し、金融政策を実行します。一部の地域、例えばスイスでは、スイス国立銀行(SNB)がFX取引に積極的に介入しています。
  • 商業銀行。全銀行に財務部門があり、インハウスで現金を保持するのはコストがかかるために、超過準備金に投資しています。
  • FX業者とリクイディティ・プロバイダー。

上記に挙げたすべての存在が、高機能の取引ツールおよびソフトウェアを使って市場に入ります。しかし、高頻度取引(HFT)ほど複雑な業界はありません。

FX取引における高頻度取引(HFT)とは

外為市場で、新技術とそれがどう取引に影響するかにまず目をつけるのが、投資信託と積極的な他の企業です。何年もの間、どんな市場においても真っ先に、競争力のある強みを謳歌している存在です。

取引でも同じです。よって、実行スピードが闘いの場となります。

コンピューター演算力が増えるにしたがって、実行スピードは飛躍的に上がりました。実際、スーパーコンピューターがどれくらい速く投機目的で通貨売買を行うかは、ほとんど非現実的なレベルとなっています。

それは収益性があるでしょうか?業界の努力から判断するなら、あるに違いありません。

素晴らしい数学者、ITプログラマーや別分野からの他の人々、そしてほとんど金融バックグラウンドのない人々が、市場にアプローチするために、高度な取引アルゴリズムの開発に雇われました。

今日では、FX取引は高頻度取引業界に非常に影響されています。高頻度取引ファンド(別名クオンツ)に属するスーパーコンピューターが一秒間に数千の売買取引を行っています。ええ、この数字に間違いはありません!

個人トレーダーの世界が通貨ペア相場で5桁目に注目する一方、高頻度取引界は9桁目、またはそれ以上の桁数までもカバーします。ほとんどの主要通貨ペア(USDがペアに含まれるもの)のFXダッシュボードの一部には5桁の相場があり、個人トレーダーはそこまでの桁数の価格があることを素晴らしく思っています(数年前は、たった4桁の相場しか存在しませんでした)。

しかし高頻度取引界では、それはとうの昔の話です。より迅速な実行で、高頻度取引界は他の誰もがしなかった方法でインターバンク市場にアクセスし、パターンおよび全員が関連する動向に影響を及ぼしています。

通貨ペアの価格が唐突に方向性を変える原因は何なのか。あるいは、市場がなぜ穏やかなまま狭いレンジを保持し、次の瞬間、一秒もしないうちに急激に上下するのか、と疑問に思ったことはありますか?

そのような動きは、個人トレーダーにどんな反応の可能性も与えずに、取引アカウントを減らすことになりかねません。ストップロス注文が存在しても、高頻度取引界による動向が、そのような注文実行に影響するのです。

米国の非農業部門新規雇用者数(NFP、 Non Farm Payroll)の発表を考えてみてください。毎月第一金曜日に発表され、その週のFX取引はかなり鈍くなります。つまり、トレーダーは経済データの確認を待ちかまえます。

どんなトレーダーでしょうか?個人トレーダーは市場全体の数パーセントにしか上らないと、先に述べました。よって、トレーダーという時は、何かが起これば、専用サーバーや専任プログラマーを備え、介入する用意ができた、スーパーコンピューターのことを言っています。

高頻度取引界は、重要な経済発表に向けて慎重に準備を進めます。なぜなら全ての経済データには標準的な解釈があり、初期反応はすでに分かっているからです。

例えば、予想より強力な雇用データは経済にとって良いことですから、初期反応は通貨の購入となるでしょう。高頻度取引市場の全参加者が同時に通貨を買えば、市場は大きな高騰または下落を迅速な速さで起こし、そのように動きます。

中央銀行の記者会見で価格変動がおきますが、その主役となるのは高頻度取引です。複雑なFX取引アルゴリズムであれば「短いニュース」を読み取ることができるのです。

金融業界は、金融最大手メディアのロイター、ブルームバーグ、ダウジョーンズ、ファイナンシャルタイムズなどが大きな影響を及ぼしています。こうした報道関係者は、記者会見の情報の一部を伝え、報道機関のRSSフィードでも配信されます。

取引アルゴリズムは、プログラマーによってキーワードまたは前回の声明からの変化に反応するように作られているため、抜粋情報を読むようにできています。例えば、米国のFOMC (Federal Open Market Committee、連邦公開市場委員会)は6週間ごとの水曜日に発表があります。

その発表では、フェデラルファンド(米国の銀行が連邦準備銀行に預金している資金)の連邦政府によるレート決定が、6週間ごとに総括されます。

一語を逃してしまうだけで、その声明がタカ派なのか、ハト派なのかを決めることになりかねず、市場は即時に動くでしょう。

個人トレーダーも迅速な市場の動きに関わっていきます。ペンディングオーダー(指値注文)とストップロス設定で収益を上げるよう、自動取引の設定に入ります。

ブローカーは何があろうと取引を実行しますし、どのように実行されるかは、取引口座およびインターバンク市場における業者の反応力によって変わってきます。

結論

FX取引で成功するには、市場の他のプレイヤーを注視し、市場の構造と参加者を理解する必要があります。

今日の世界におけるFX取引でアクティブに活動する最大手ヘッジファンドは、人間のトレーダーよりコンピューターを多数使っています。実際に企業は、従業員をマーケティング、IT、インフラ開発などのような取引に付随する活動に充てます。

他の市場がオープンするのに間に合うよう、アジアに電話をかけて通貨取引をするような、ひと昔前の取引はずっと前に終わりました。今日では、実行レースに勝った者が勝つのです。

個人トレーダーにとって、高頻度取引界は祝福であり、呪いでもあります。一方で、高頻度取引によって引き起こされた急騰または急下降は、素早い利益を上げるための機会でもあります。これこそ、個人トレーダーがFX取引をしにやって来る主な理由です。

裏を返せば、市場の非論理的な揺れの主な理由は、高頻度取引から来ているということです。ロボットが市場のほとんど全部の動きを見ているなら、テクニカル分析はそれでも有効なのだろうか?という疑問を抱く人もいるでしょう。

答えはイエスですが、採用する戦略によります。ロボットでさえ人間にプログラムされていて、市場の楽観や悲観は、ロボットには絶対に習得できるものではないからです。少なくとも、予測できる範囲の未来には。