FX取引:中級レベル

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Trading101
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Duration 20 時間

エリオット波動理論:衝撃波とは

前の記事でお伝えしたエリオット波動理論の基礎の後は、FX取引へ適用するためにさらに深く見ていきましょう。エリオットは、この理論が人間の貪欲さと恐れの感情をたどり、それが市場の動きとして予測できると主張しました。

波動理論は、衝撃波と修正波の両波を統合する、異なる度合いの様々なサイクルを考察します。度合いは、どんな取引プラットフォームにもある時間枠を使用すれば簡単に見分けがつきます。そうして、エリオット波動は4時間足または時間足の1サイクルより、月足チャートのほうがより大きなサイクルを見せるとされています。

エリオットは市場がつくる波または動きを、衝撃波と修正波に分けました。単純な解釈をすると、エリオットは衝撃波の活動に数字を、修正波に文字をふりました。

このため、衝撃波に関するどんな考察にも、1-2-3-4-5のように数字が関連します。理論によれば、衝撃波にあるのは5波だけで、それ以上はありません。

衝撃波のルール

市場が衝撃波を形成するには、次のルールに従う必要があります。

1. どんな衝撃波においても、第一波の動きは衝撃波そのものです。つまり、第一波には他の低度の1-2-3-4-5などがあり、市場はマイクロ波に分かれます。

本来、青の第一波は低度の衝撃波に属します。さらに5波の構造もあり、狭い時間枠で見ることができます。

2. どんな衝撃波においても、第二波は修正波です。よって、トレーダーは数えるのに文字を使い、修正はシンプル(ジグザグ、フラット、トライアングル)または複雑(2つか3つのシンプルな修正波につながる、1つ2つの干渉X波)です。

このケースでは、第二波はシンプルな修正波で、フラット修正波とよばれるものです。a-b-cとラベル付けがされています。

3. 第二波のどの部分も、5波構造の始まりを超えることはありません。これはFX取引の非常に大切なルールです。なぜなら、これが第二波のリトレースメントをもとにしたストップロスとなるからです。

4. 第三波も衝撃波です。よって、トレーダーは低度の1-2-3-4-5を付番します。

5. 毎回、衝撃波には少なくとも、延長していく1つの波(エクステンション)がなければなりません。このエクステンションは前の衝撃波の161.8%長いと予測されます。ほとんどの場合、エクステンションは第三波となるので、第一波の161.8%より長くなる必要があります。

この場合、エクステンションは将来的な取引につながります。今ではすでにご存じのように、FX取引設定ではエントリー、ストップロス、利食いが必要です。

上記のような強気の衝撃波では、トレーダーは

  • フィボナッチ・リトレースメントを使って第一波の長さを測る
  • 50%~61.8%のリトレースメントレベルを見つけ、ロング(買い持ち)する
  • 第一波の開始時にストップロスを設定する
  • 第二波の終わりで推定された、第一波の161.8% で利食いを設定する。

エクステンションは市場が動くときの最小距離です。強い衝撃波には、261.8%以上のエクステンションさえあります。

  • 構造内の他の衝撃波と比べた時、第三波は最短であってはならない。
  • どんな衝撃波においても、第四波は修正構造である。第二波のように、シンプルか複雑な修正である。ヒントとして、トレーダーは第二波と第四波を比べて見る。よって、もし第二波が複雑な修正である場合、第四波はシンプルな可能性が濃厚で、逆も同じである。

この場合、第四波は複雑な修正(X波で表示)で、前の第三波を修正する、いわゆる二重複合です。

  • どんな衝撃波においても、第五波は衝撃波活動を見せなければならない。さらに、ほとんどの場合で第三波の終わりのラインを超えている。

エリオット波動理論の衝撃波または5波構造は、このように見えます。もはやシンプルではなくなっていますよね?

この理論が見かけはシンプルなアプローチですが、実際は今まで作りあげられた中でも最も複雑なものの一つだということが、今ではもうお分かりでしょう。エリオット波動理論を使ったさまざまな取引戦略が、同じ市場に対する複数のシナリオへと導きます。

例えば先に説明したように、第二波のリトレースメントだけを取引に選ぶトレーダーもいます。第三波が拡大する見込みが非常に大きいため、トレーダーはエクステンションをつかまえます。それだけのことです。

また別のトレーダーは、修正波を取引するほうがもっと心地良いでしょう。市場が保ち合い、または修正波にほとんどの時間を費やすため、トレーダーはこれをマスターしたいというわけです。

上記のチャートをチェックし、5波構造内の修正波と衝撃波に使われた時間を比べてください。二つの修正波(第二波と第四波)が、3つの衝撃波より長く時間がかかっていることに気づくでしょう。

衝撃波の種類

エクステンションをもとに、衝撃波には3つの種類があります。

  • - 第三波エクステンション。 この記事で使われた例は、第三波のエクステンション衝撃波です。 これは単に、第三波が最長の波で、その最小距離が第一波の長さの161.8%を超えなくてはならないという意味です。
  • - 第一波エクステンション。 第一波が一番長いとき、第三波の長さより161.8%長くなければなりません。その場合、第二波に最も時間がかかっているかを見てください。
  • - 第五波エクステンション。やや稀なケースですが、第五波エクステンションが前の第三波の長さより161.8%長く延長していることがあります。

時々、市場が二重のエクステンション衝撃波を形成することもあり、これは第三波と第五波の両方がエクステンションのルールにのっとっているということです。しかし実際には、より長い第三波を持つ第五波のエクステンションに他なりません。

結論

衝撃波はエリオット波動理論の2つの柱のうちの一つです。エリオットは市場が形成する動きを、衝撃波と修正波に分けました。

したがって通貨ペアを数えるとき、答えるべき最初の問題がこれです。エリオット波動サイクルの衝撃波と修正波の両波は、エリオット分析でFXを取引する上で非常に重要です。

5波構造で、衝撃波の動きは強気・弱気の両トレンドで形成します。市場が上昇または下降するとき、ほとんどの場合は衝撃波構造でそうなります。

もっとも一般的な衝撃波は、構造内で第三波が一番長くなります。約80%の衝撃波で第三波が一番長く、残りはほとんど第一波のエクステンションに属します。

第五波エクステンションは、FX取引では稀なパターンです。多くのルールや特殊性がありますが、通貨ペアで見る可能性はとても低いです。

しかし、ここでお話しした全てのルールは、サイクルおよびサイクルがどう形成されるかを理解していなければ、何の意味もありません。過去のデータが重要な役割を果たします。トレーダーがトップダウンアプローチの視点で数え、最大の時間枠から始まり、最小の時間枠で終わる方法が可能となるためです。

時間足より小さい時間枠では、エリオット波動理論はその重要性を失います。なぜなら波動を数えるのは時間のかかるプロセスで、衝撃波または修正波の全ルールを調べなくてはならず、トレーダーがさらに狭い時間枠に集中すれば、結局は市場の動きを見逃してしまうためです。

まとめると、衝撃波はしばしば形成され、FX取引で素晴らしい機会を提供してくれます。市場が上昇または下降すれば、5波構造内でなされているのです。