エリオット波動理論:修正波とは
70年以上前、ある男性が、時の試練に耐えた取引理論のルールを設定しました。エリオット波動理論は、トレーダー心理の極致を考察するというシンプルな理由から、どの金融商品にも組み込まれています。
楽観と悲観は、市場を動かす集合体要因です。エリオット波動理論で、ラルフ・N・エリオットはサイクルで動く市場の説明方法を見つけた、と主張しました。
よって、通貨ペアをカウントする、または分類するのは、さまざまな度合いの異なるサイクルを理解し、市場を分類するための全ルールを適用する、ということです。
エリオット波動理論を使用するFX取引は、他の理論では類を見ない明確なルールと取引設定という長所があります。エリオットが市場の揺らぎを衝撃波と修正波に分けたことから、全てが始まりました。
前回の記事では、衝撃波のルールをご説明しました。そのルールはかなり多く、そして正確です。
しかし、エリオット原理の最も素晴らしい点の一つは、論理的プロセスの次の部分につながる質問への回答です。なぜなら、エリオットが衝撃波と修正波の二つを発見し、市場変動はその二つのうちのどちらかでなければならないからです。
ですから、もし市場の動きに衝撃波ルールを適用し、そのうちの一つだけでも当てはまらなければ(例えば、エクステンションがない)、その動きは衝撃波ではないという意味です。したがって、もし衝撃波の性質がなければ、それは修正波でなければなりません。その逆はなく、他の可能性もありません。
修正波にも同じことが言えます。市場の動きが修正波でなければ、衝撃波でなければなりません。波をカウントする他のどんな可能性も排除しているため、理論プロセスが市場解釈に充分なことも、時にはあります。
修正波の説明
エリオット波動理論の修正波は3波構造です。修正波を表示するには、トレーダーは「a」から始まる文字を使います。
そうして、3波構造は「a」から始まってa-b-cのように表示されます。これはシンプルな修正波です。
場合によっては、修正波さえも衝撃波活動をすることがあります。パターンによりますが、aと(または)cは前回の記事で触れたような、衝撃波のルールに従う5波構造を持っている可能性もあります。
衝撃波を説明した際に使用した上記の例を覚えていますか?フラットのcあるいはジグザグ、またはジグザグのaである可能性が濃厚です。
エリオット波動理論のシンプルな修正波
エリオットは、衝撃波より修正波が多く形成されることを見つけました。そうして修正波を分類するのに悪戦苦闘し、さらなる分割が必要になりました。
エリオットは、修正波をシンプルな修正と複雑な修正に分け、シンプルな修正波は下記の3つだけとしました。
- フラット
- ジグザグ
- トライアングル
FX取引におけるフラット
フラットパターンはシンプルな修正なので、分類はa-b-cとなります。3波構造で、フラットは最初の2変動(a波とb波)が修正波で、cは衝撃波となります。
c波または衝撃波構造は、前回の記事での説明のように、衝撃波における全ルールを尊重しなければなりません。どれか一つでもルール違反があれば、c波は衝撃波ではなく、a-b-cはフラットパターンとは言えません。
この構造の修正波と衝撃波の性質から、トレーダーはフラットパターンを3-3-5フォーメーションとして参照します。
フラットパターンのカギは、b波にあります。前のa波領域より61.8%以上リトレースしなければなりません。そうでなければ、このパターンはフラットとはいえません。
10種類のフラットパターンが存在します。b波リトレースメントレベルとc波の長さをもとに、エリオット波動理論でもっとも数多くのパターンを代表しています。
こうした理由から、取引アカデミーの後のほうでは、全フラットパターンを説明した記事があります。様々なタイプが存在し、それぞれがとてもユニークです。
下記は、フラットパターンで覚えておくべきことです。
- a波とb波は修正波
- c波のみが衝撃波
- b波のリトレースメントがa波の最低61.8%である
- c波の長さがフラットパターンのタイプを決める
FX取引におけるジグザグ
ジグザグもまた3波構造で、a-b-cの分類がされますが、衝撃波は1つだけではなく2つです。トレーダーは5-3-5と分類をし、a波とc波が衝撃波の性質を持つ一方、b波だけは修正波です。
フラットパターンのように、カギはb波が握っています。しかし今回は、b波はa波領域の61.8%以上のリトレースメントであるべきではありません。
ジグザグは危険なパターンです。なぜなら、2つの衝撃波(a波とc波)があり、ほとんどのケースで、トレーダーがジグザグを衝撃波構造と解釈間違いをしてしまうからです。
後ほどジグザグタイプについて詳細に見ていきますが、今のところは下記のことを留意してください。
- a波とc波は衝撃波
- b波はa波の61.8%以下のリトレースメント
- b波はa波の最低1%をリトレースしなければならない
- c波はa波の最後のラインを越えなければならない
エリオット波動理論のトライアングル
トライアングルはFX取引にしばしば出現します。市場が保ち合いをする際のお気に入りの方法で、トライアングルは5つのセグメントがあり、a-b-c-d-eと分類されます。
そのすべてが修正波の性質を持ちます。よって、トレーダーは5つのセグメントにも関わらず、これらを「3」と呼びます。
エリオットは複数のタイプのトライアングルを発見し、1930年代周辺に株式市場でこれらを文書化していたことを心に留め置かねばなりません。今日のFX取引ではパターンが異なり、トライアングルは様々な形をとるものの、エリオットの考えは依然として道理にかなっています。
エリオットはトライアングルを縮小と拡大(b-dとa-cトレンドラインで判断)、制限付きと無制限のようなカテゴリーに分け、トライアングルの独特なタイプさえも見つけ出しました。
どのようなケースであっても、このトライアングルは市場が保ち合いをするのに好んで見せるよくあるパターンですので、FX取引では頻繁に見ることになるでしょう。
エリオット波動理論における複雑な修正波
先にご説明した3つのシンプルな修正波は、数多くの複雑な修正波の基本となるものです。実際、市場がシンプルな修正波だけを形成することは稀です。FX取引では市場に無数の変動があり、分類が難しいことから、特にそのことが当てはまります。
複雑な修正波は最低1つ、最大2つの干渉波があります。干渉または接続する波はx波と呼ばれ、これも修正波です。
フラット、x波、ジグザグの場合。これは二重(ダブル)複合と呼ばれます。
または、ジグザグ、x波、トライアングルの場合。これも二重複合です。
また別のx波が来た場合、三重(トリプル)複合を形成し、エリオットが分類するパターンで最も複雑なものになります。
結論
市場が保ち合いにより時間を割くため、修正波は価格動向を支配します。しかしトライアングルを除けば、すべての修正波には最低1つの衝撃波の動きがあります。
そしてトライアングルのケースでもまだ、衝撃波活動を見る可能性があります。例えば、もしトライアングルのa波がジグザグで、その後に低度の2つの衝撃波がトライアングルの始めに現れた場合です。
ゆっくりと確実に、エリオット波動理論を掘り下げていっています。従うべき多くのルールおよび注意すべき例外があり、すでに物事が少々複雑に見えているでしょう。
しかしこの取引アカデミーにおいて、初心者部門のこうした側面をカバーしているのは、偶然ではありません。こうして進んでいけば、エリオット波動理論が時間要素を予測に組み込む可能性もあり、さらに拡大するのが分かるでしょう。