人類の歴史において、今日のお金は他の時代のものとは異なります。過去においては、銀貨と金貨がお金として定義されていました。

今日では、ほとんど全ての国が自国の物理的なお金、あるいは、法定通貨を持っています。

大部分が紙幣ですが、硬貨もあり、お金は社会の通貨の形を表しています。物理的なもの、あるいは銀行口座にある単なる番号のいずれかで、お金の価値は時間の経過とともに変化しています。

さらに、異なる通貨でお金を所有することもできます。したがって、人々は様々な評価にさらされています。通貨ポートフォリオは、関連する通貨間の価値の変化に伴い、変動します。

お金を貯蓄することは、必ずしも助けにはなりません。もし、ジンバブエ、またはベネズエラに住んでいれば、現地通貨でお金を貯めても、良いことはありません。

しかし、別の通貨で、あるいは正しい通貨でお金を貯蓄したり、所有することは別の話です。

通貨がその価値を変える第一番目の原因は、中央銀行です。場合によっては、中央銀行は市場の力を止めることができません。それは、世界のより強力な中央銀行による決定がより大きな役割を果たす、小規模および地域経済の場合です。

欧州中央銀行（ECB）の導入

そのような中央銀行の1つは、欧州中央銀行またはECBです。欧州中央銀行は、独立した存在で、ユーロ（ユーロ圏の共通通貨）を監視し、ユーロが存在する19ヵ国の経済のための金融政策を決定します。

欧州中央銀行とユーロは、欧州連合（EU）を通じて欧州を統一するという、大胆なプロセスの末に生まれました。

欧州連合（EU）は、中国、ロシア、米国、そしていくつかのアジア諸国の主要大国が持っていたグローバルな影響力に応えるために現れました。欧州連合は5億人以上の人口を抱えており、世界のどの大国よりも交渉の場において、異なるポジションに位置しています。

設立以来、より良い欧州の条件のもと、国際貿易条約がほとんどの国と締結されました。

ユーロ圏の経済は、世界で2番目に大きい経済を構成しています。米国のみがユーロ圏を超えていますが、それほど離れているわけではありません。

しかし、ユーロと欧州連合（EU）の両方が困難な時期に直面しました。2008年の米国での金融危機は、世界の多くの地域を困難に乗り越えられない状態へ陥れました。ユーロ圏もその一つで、ほとんどの金融機関が崩壊寸前でした。

ギリシャとキプロスの危機が続きました。イタリア、スペイン、ポルトガルなどの南部諸国から投資家が逃げて行ったことによる波及の恐れが予想されました。ヨーロッパのプロジェクトは絶滅の危機に瀕していました。

このような危機を解決できる機関が一つあるとすれば、それは欧州中央銀行でした。そして、欧州中央銀行はそれを成し遂げました。

19の異なる経済に対して金融政策を決定することは、容易なことではありません。欧州中央銀行モデルは、米国の連邦準備制度に基づいていますが、いくつかの違いがあります。

連邦準備制度は、全国に地方銀行を有していますが、ユーロ圏には欧州中央銀行の通貨政策を実地する国家中央銀行があります。意思決定プロセスも異なります。

FX取引では、連邦準備制度がドルのフェデラル・ファンド金利を変更した時、欧州中央銀行（ECB）がつくりだす価格の変動に関して影響力を持っているのは、連邦準備制度だけです。それは、世界の準備通貨としてのドルの役割によります。

FX取引における欧州中央銀行（ECB）の役割

ドイツのフランクフルトに本社を置く欧州中央銀行（ECB）は、物価安定と成長を刺激する金融政策を実施することを公約しています。使命として、インフレを監視し、2％以下または2％に近づけることを目標としています。

このことから、ユーロを取り巻く全てのものは、インフレ、インフレ期待、また欧州中央銀行（ECB）が次に行うことに依存しています。先に述べたような混乱時には、金融政策は後退します。通貨の状態が問題とされるときは、二次的な重要性しかありません。

お金について言うなら、信用が全てです。結局のところ、100ユーロ紙幣を製造するには、わずかな費用しかかかりません。

しかし、その紙幣で100ユーロ相当の商品やサービスを購入できるのです。そのように、買い手は紙幣がさらに使用されることを信じます。紙幣は価値を保ち、発行者、つまり欧州中央銀行（ECB）を信用します。

とはいえ、信頼は相対的なものです。そして、信頼性を見るためにFX取引ほど良い場所はありません。

一般的に、市場は永遠に楽観的なものです。経済危機、経済下降、不景気などの悪い事態が発生した場合でも、金融市場は常に改善を示す次のステップを示してくれます。

通貨の本質的価値は、通貨がもつその価値自体にありません。人々の通貨に対する信用が価値をつくりだします。

特定の通貨で貯蓄を維持する価値はあるのでしょうか？もし、中央銀行とその行動を信頼するならば、中央銀行が監視するお金の価値を信用するのは当然のことです。

絶望的な時（またそれ以外の時も）、中央銀行家は、市場を鎮めるために口頭介入も使用します。それらの中で最も有名なものは全て、最近の金融危機の間に起こりました。

ロンドンで演説中、現在の欧州中央銀行（ECB）の総裁であるマリオ・ドラギは、ユーロを守るために「どんなことでも」実行するだろう、と述べました。そして、彼は続けました。「私を信じてください。それで十分だろう」

数年を早送りして分かったことは、それは十分だったということでした。しかし、金融市場とFX取引参加者は、ドラギの発言を受けて1秒たりとも待つことはしませんでした。

ユーロは激しく買われ、多くの穏健派の意見は不意を突かれました。欧州中央銀行（ECB）がいくつかの方策を導入するのに時間がかかった一方で、市場は信頼を取り戻していたため、欧州中央銀行（ECB）は立派に成し遂げることができたのです。

信頼や信用がなければ、通貨の価値は瞬く間に消えていきます。結局のところ、

これと同じようなことが人間関係のすべての側面にもあります。

したがって、FX取引における欧州中央銀行（ECB）の最初の、最後の、そして最も重要な役割は、ユーロ、ユーロ圏、および欧州プロジェクトの信用を確立することです。そして、それを維持していくことです。

信用とお金の密接な関係を説明するために欧州中央銀行（ECB）を選んだ訳は、最近の歴史の中で、ユーロ圏は多くの混乱にさらされ、事態を改善する機会を欧州中央銀行（ECB）はほとんど与えられなかったためです。加えて、歴史的に、ユーロと欧州連合は成功する見込みはありませんでした。これまでいかなる通貨統合も、時代の試練に生き残ったことはないのです。

しかし、時代が変わり、アプローチが変わり、そして認識も変わりました。最近の仮想通貨を見てください。誰かが価値を買うために使える信用があれば、仮想通貨の市場は成長するでしょう。

結論

資本主義国の他の主要中央銀行と共に、欧州中央銀行（ECB）は私たちが知っている金融システムの柱の1つです。インフレをターゲットにし、他の管轄区域との緊密な関係に積極的に参加し、ユーロ圏だけでなく、世界全体に影響を及ぼす金融上の決定に参加しています。

例えば、ユーロ圏が窮地に立っていた時、欧州中央銀行（ECB）は深刻にドルを必要とし、連邦準備制度は欧州中央銀行（ECB）との直接スワップ枠を開きました。津波が日本を襲ったとき、欧州中央銀行（ECB）を含む世界の主要中央銀行は、信じられないほど安い資金へのアクセスを提供してくれました。

さらに、全ての中央銀行は、国際決済銀行（BIS）監督下で定期的に会合し、金融政策活動を調整しています。

そのようなことから、FX取引では、欧州中央銀行（ECB）は重要な役割を果たします。ユーロ圏諸国の金融政策を設定するだけでなく、世界の他の諸国と完全に協力のもとで行っています。

これこそが資本主義の定義ではないというなら、他に何もありません。そして、全ては通貨の信用を守る必要性から始まりました。それは中央銀行の最も重要な側面であります。