FX取引におけるパターン認識:上昇三角形と下降三角形
FX市場は世界で最も重要な金融市場です。毎日3兆ドルの取引が行われます。
そのため、ボラティリティは極端なレベルを示しますが、時折だけです。人々は市場は常に動くという事実を念頭においてFX取引に参加します。
実際、現実は異なります。市場は、ほとんどの時間を持ち合い状態、あるいはレンジ状態で費やします。
統計的には、FX市場全体の60%以上の時間はレンジ状態です。一部の通貨ペア(例えば主要通貨など)は、他の通貨ペア(クロスペアなど)よりも持ち合いにかかる時間は短くなります。
レンジ相場といえば、三角形の形成は市場が時間を費やす最も一般的な方法です。全ての通貨ペア、またどんな時間枠にも、三角形はどこにでも存在します。
三角形の形成という概念は新しいものではありません。実際にはかなり古いものです。
三角形は、トレーダーが市場を見た時に認識した最初のパターンでした。取引のパターン認識アプローチの一環として、三角形がその理由を説明をします。
例えば、消費者物価指数(CPI)や非農業部門雇用者数(NFP)のような重要な経済イベントに先立ち、FX市場は持ち合いの傾向になります。パターンはどうなると思いますか?もちろん、三角形です!
FX取引では、三角形は数多くの形を持っています。ボラティリティの関与と、全てのクオートにおいて5桁が設定されることで、三角形は元の形から進化してきました。
上昇三角形と下降三角形は、株式市場の研究で初めて発見されました。個別株式や指数のどちらかで、大きなブレイクの前に市場は持ち合い状態になりました。
そのようなことから、三角形は継続パターンを示します。名前が示すように、上昇三角形は強気な結果をもたらします。持ち合いが終わった後に、価格は更に高値でブレイクするでしょう。
トレンドが弱気になると、逆のことが起こり、市場は下降三角形を形成します。価格はさらなる安値でブレイクし、弱気のトレンドが再開します。
この2つのパターンが記録された頃には、株式市場はそれほど変動的ではありませんでした。今日のFX取引と比較することはできません。
よって、上昇三角形と下降三角形は、水平の抵抗または支持レベルに向かって形成されます。ダブルトップ/ボトム、トリプルトップ/ボトムの場合と同様に、パターンはフラットなレベルの周りを中心に展開します。
当時は一般的なものでしたが、今日のトレーダーは、上記のような側面から、より柔軟性があります。とはいうものの、上昇三角形と下降三角形は形成され、取引する多くの機会を与えてくれます。
FX取引における上昇三角形
先に述べたように、上昇三角形は強気のトレンドを必要とします。より正確には、市場が持ち合い状態になる前に強気のトレンドが存在しなければなりません。
持ち合い相場が形成されるために、市場が時間を消費します。一般的に、それは最も重要な経済に関する発表が行われる時やファンダメンタルな出来事(例えば、選挙、国民投票、休暇時期のため不振な夏期)に先立って起こります。
全員の注目と注意がブレイクアウトに向けられます。ブレイクアウトが起こった際には、そのようなパターンを取引する正確な方法があります。
上昇三角形は頻繁に形成されるため、ここで示された方法は、いかなる時間枠と通貨ペアにも利用できるチャンスがあります。FX市場では上昇三角形は以下のように見えます。
USD/JPYペアは安値から急騰しました。下降ウェッジパターンの後で高値を更新しブレイクしましたが、新しく形成されたトレンドを続けるのに悪戦苦闘しました。
水平のレベルで形成された非常に大きな抵抗を受けました。さらに、価格の低下は、上昇三角形では典型的な一連の高値の切り下げをつくりました。
このような一連の動きは、価格が更なる高値でブレイクするためにエネルギーを蓄えていたことを示しています。そして、最終的にそうなりました。
しかし、取引計画にブレイクを入れることはできますか?その答えは、できます。なぜなら、上昇(下降)三角形は、予測された動き(メジャードムーブ)をもつためです。
まず、三角形形成をチェックして、その最長部分を測定します。一般的には、第1または第2番目にある価格の動きのいずれかです。
次に、水平の抵抗レベルから上方へ描きます。それが予測された動き(メジャードムーブ)であり、上昇三角形を確定するために価格が移動しなければならない最短距離を表します。
上記でご覧のように、価格は更なる高値でブレイクし、予測された動き(メジャードムーブ)が現れました。しかし、動きはさらに上昇しました。
予測された動き(メジャードムーブ)で決済をするトレーダーは、更に上昇する好調なトレンドを見逃した印象を残すでしょう。このようなことを避けるために、取引計画では予測された動き(メジャードムーブ)で利益の半分を注文に入れることをお薦めします。次に、損益分岐点(ブレークイーブン)にストップロスを移動してください。最後に残りを1:2のリスクリワードレシオに目標設定します。
このようにして、トレーダーは上昇三角形のパターンを最大限に活用します。このパターンは頻繁に、事実上全ての時間枠上に形成されるので、より大きな時間枠がより多くの利益を提供します。
FX取引では、マルチタイムフレーム分析が重要な役割を果たします。例えば、月足チャート上に上昇三角形が形成されている場合、それは取引する1つの方法です。
次に、トレーダーはより短い時間枠に進み、他の継続パターンまたは反転パターンをチェックします。そのように、トレーダーは常に新しい条件に適応し、最初のポジションに追加、またはポジションを削除する一方で、全体のトレンドに乗ることになります。
FX取引における下降三角形
下降三角形は、上昇三角形とよく似た解釈をします。唯一の違いは、弱気のトレンドの間に形成されることです。
しかし、トレンドの急落と上昇に対するトレーダーの反応には違いがあります。
パニック効果が影響力を及ぼすため、下降トレンドは上昇トレンドよりもさらにドラマチックになります。
ここにブレグジット国民投票後の反応を示すGBP/USDの日足の時間枠があります。2016年の夏、イギリスは欧州連合(EU)からの離脱を問う歴史的な国民投票を実行しました。
その結果、GBP/USD ペアは例外なく、GBPはダッシュボードを横切って暴落しました。それを示すのが長く、赤い、垂直のローソク足です。
それに続いたのは、支持線を水平線にした52日間の持ち合い領域でした。スパイクハイが一連の高値の切り下げに続いたので、次に思い浮かぶのは下降三角形です。
上昇三角形の例と同じ手順に従うと、下のチャートが示すように予測された動き(メジャードムーブ)が示されます。
予測された動き(メジャードムーブ)の後、意欲的なトレーダーは新しいトレンドを最大限に活用しようとするでしょう。しかし、場合によってはうまくいきますが(上昇三角形の例のように)、うまくいかない場合もあります。それが、仮に予測された動き(メジャードムーブ)で利益の半分を注文にいれると決断した時、損益分岐点(ブレークイーブン)にストップロスを移動させる主な理由です。
上記が示すように、GBP/USDは厄介な上昇チャンネルを伴い反転し、以前の弱気のトレンドを無効にしました。
FX取引で形成される三角形のほとんどは、水平ベースをもっていません。エリオット波動理論は、この特性を完璧に統合しています。
エリオットによると、三角形はa-b-c-d-cの文字で分類された5つの区分をもっています。上記の下降三角形は、エリオット波動理論の下では次のようになります。
焦点はb-dトレンドラインに移りますが、これは決して水平ラインではありません。それは、三角形が様々な取引の概念と戦略の不可欠な部分であることを指摘するための、三角形形成の単なる別の解釈でしかありません。
結論
上昇三角形と下降三角形は、大きなブレイクアウトの前の持ち合い状態を示します。ブレイクアウトに続く動きが素早く反転するため、だましである場合もあります。
ブレイクアウトの後も強いトレンドが見られる時もあります。しかしどちらの場合でも、予測された動き(メジャードムーブ)が現れなくてはなりません。価格が予測された動き(メジャードムーブ)から生じるレベルに到達できない場合、上昇または下降三角形は正しく解釈されていません。どこかに誤りがあります。
この記事をもって、FX取引におけるパターン認識アプローチを終了します。最もパワフルなパターンと、トレーダーが利益を上げるために利用できる方法について取り上げてきました。
次に日本のローソク足手法に移る前に、テクニカル分析を補完するいくつかの基本的な側面に焦点を当てます。