FX取引:初心者

初心者
Trading101
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Lectures 20 レッスン
Duration 20 時間

FX市場における中央銀行とその役割

中央銀行はFX取引の中核部分を担っています。最近では、次の会議で中央銀行が行う金利政策や金融政策に、すべてがかかっています。

この取引アカデミーでは、これまでのところ、通貨の価値がなぜ金利によって決まるのかを説明してきました。金利が高くなればなるほど、その通貨が強くなるというルールがあります。

とは言っても、物事がそんなにシンプルなら、全員がFX取引で儲けられるでしょう。知っての通り、それは真実ではありません。

Fed(連邦準備金)と、ECB(欧州中央銀行)の間に存在する現在の政策の食い違いが、その完璧な例です。昨年あたりから、Fedは金融政策を引き締め始めました。

Fedはすでに3回、金利を引き上げました。同時期、ECBは何もしませんでした。

Fedは金利を引き上げただけでなく、金利をゼロ以下のマイナス領域に留めました。そしてその上で、金融政策を緩和させ続けました。

通常なら、USDの金利ははるかに高く跳ね上がったはずです。USDドルが上昇する一方で、トレーダーがユーロを見捨てたはずです。

それなのに、逆のことが起こりました。誰もが驚いたことに、ユーロが上昇し、米ドルが暴落しました。

なぜでしょうか?それこそがFX取引の利点であり、ファンダメンタル分析の複雑さです。

一方通行ではなく、関わってくるさまざまな要因をまとめ上げた分析です。

中央銀行の指令

ブレトンウッズ会議の前でさえも、中央銀行は世界の主要な経済における金融政策を操作していました。Fed、イングランド銀行、フランス銀行やドイツ中央銀行さえも、第二次世界大戦の開戦前に密に連絡を取り合っていました。

今も昔も距離は変わりませんが、別の統治圏の訪問に要する時間は異なりました。イングランド銀行がニューヨークのFedのリーダーと会合を行うのには、大西洋をまたぐ、長い2週間の旅を要しました。

興味深いのは、世界の重要な中央銀行の大半が、当時も現在と同じようにコミュニケーションを図っていたことです。今日では、情報の伝達がずっと迅速になっているだけです。

また、各中央銀行の狙いも現在と同様に、通貨価値を守るという面白い点もあります。さらに正確に言えば、インフレの抑制です。

当時は、金が重要な役割を果たしていました。ほとんどの経済圏で、自国通貨と金のレートを固定していたのです。

そうして、中央銀行は金庫にある物理的な金の量が裏付けのない状態で、無限に紙幣を刷ることができませんでした。それでも中央銀行の狙いは同じであり、インフレを抑えることでした。

1971年のニクソンショック後、中央銀行は突如として重要性を増しました。米国のFedを始めとして、大国は次々と、金本位制度から離脱しました。

それ以来、すべてが信用の問題となりました。しかし中央銀行の任務は同じままでした。金の裏付けがある、ないにかかわらず、中央銀行はインフレを抑えなければなりません。

今日まで、インフレ対策は依然として最優先事項です。最近の中央銀行の目標は2%前後です。と言っても、それを文字通りに受け止めないでください。

中央銀行はエリアまたは回廊(コリドーとも呼ばれる政策金利の上限と下限)をターゲットにしています。1.8%や2.2%のような数字が、通常のインフレを示しています。

FX取引と中央銀行の動向

インフレがターゲットから外れるほど、中央銀行が活動的になります。中央銀行の典型的な反応は、インフレが上昇すれば金利を引き上げ、景気が落ち込めば金利を下げることです。

しかし、インフレ率が目標からさらに外れた際には、方策を変える必要があります。最近ではインフレを目標値に戻すために、中央銀行は先例のない対策を必要としました。

上手くいったのでしょうか?時間が経てばわかるでしょう。

しかし、世界はなぜインフレを必要とするのでしょうか?中央銀行は抑制しなければならないものを、結局創り出しているとは、皮肉な話ではないでしょうか?

つまり、中央銀行の役目はインフレだけでは終わらないのです。インフレは核となる要素ですが、消費活動を行う消費者を中心にして経済は回ると考えられています。

健全な経済とは、誰にも利益があるレートで成長することです。そのような成長レートには、ある程度のインフレ水準が必要なのです。

原油市場の周辺でも、しばらくインフレ水準が変化しました。その定義を忘れないでおきましょう。商品やサービス価格の変化を表しています。

原油のような1つの単独要素が他の商品・サービス価格に影響を及ぼすとき、中央銀行はそれを無視する傾向にあります。そのため、中央銀行は価格の核となる変化に注目しますが、原油やエネルギー関連は除外します。

今日のFX取引は、あるニュースに反応するより、投機ゲーム的な意味合いが強いです。または、中央銀行が次の会合で行う内容を予測しながら、トレーダーが経済ニュースに対応しています。

価格の安定性

他に中央銀行が重んじているのは、価格の安定性です。おかしなことに、インフレではなく、変動性に関連します。

トレーダーは、投機して素早く稼ぐ(しかし損失することもある)機会をもたらしてくれる変動が大好きですが、中央銀行は変動を非常に嫌っています。変動の増加を阻止するために、世界中の中央銀行が実際に干渉した例や、干渉しようとした例は、これまでに何度もあります。

スイスがその一例です。スイス国立銀行には、世界でもっとも求められている通貨の一つであるスイスフランの金利設定という報われない任務があります。

スイスの安定性および中立性のために、世界中の人々がスイスに押し寄せ、預け入れを行っています。スイスフランより良い通貨などあるでしょうか?

問題は、シンプルな経済原理に由来します。通貨高になると、その国の経済は世界の舞台での競争が難しくなります。誰かが何とかしなくてはならず、その役割を担うのが中央銀行です。

不透明感と世界的なリスクが金融市場に影響する際、スイスフランは上昇します。スイス国立銀行が干渉して、比較的安定させようとしなければ、スイスフランは無秩序に上昇スパイラルを起こすでしょう。

ほとんどの場合、中央銀行は干渉の試みに失敗します。しかしそういったリスクは計算済みです。何もしないほうが、代償が高くつくからです。

例えばスイス国立銀行は、英国がEU離脱するかどうかを問うブレグジット投票の間、干渉する準備があると発表しました。英国は離脱を決めましたが、スイスフランは最も波乱の起こらなかった通貨でした。なぜだと思いますか?

結論

この取引アカデミー内のファンダメンタル分析の記事で述べたように、FX取引周辺のすべては金利水準にかかっています。FX取引だけが依存しているのではなく、全ての金融市場が依存しています。

トレーダーは、通貨が上昇・下落するのは、雇用データが予測を上回ったか、インフレが失敗したためだという誤った考えを抱いています。トレーダーがこのように反応するのは、経済データによってつくられた予測のためです。金利水準の次の動きに備えるのです。

中央銀行にとっては全てが重要で、インフレや法的使命の内容(Fedにはインフレと雇用創出という二つの使命(デュアルマンデート)があります)だけが重要なのではありません。中央銀行は株式市場、世界経済、逆風の可能性や、世界の様々な地域の政治的な出来事にまで注目しています。

大勢の調査員を抱えた中央銀行は、経済分析に必要な全データを揃えています。個人トレーダーにはそのような贅沢は得られません。

とはいえ、レートを変動させる前に中央銀行にとって何が重要かを理解すれば、正しい立ち位置は得られます。また、法的使命を理解し、中央銀行がそれを達成するにはどれくらいかかるかを理解することです。

おそらく中央銀行の最も大切な質とは、その独立性です。資本主義経済は、客観性を保つという理由だけのために、政治に応じず、独立性を保つ中央銀行を誇りにしています。

貨幣価値は結局のところ、金利水準によって決まり、サイン一つで、一夜にして政府が金利水準を変えることもあり得ます。中央銀行が独立しているとわかっているからこそ、FX取引は自由市場でありており、情報を得ている者だけが生き残れるのです。