異なるチャートタイプの比較
簡単なトレンドラインを使うか、手の込んだ取引理論を適用するかのいずれかの時には、トレーダーは常に将来の価格に魅了されていました。驚くべきことではありません!
人間性の歴史を簡単にチェックすれば、「将来を読む」という試みが現在まで続いているのが明らかになります。結局、将来を読むことがFX取引のエッセンスを表しています。
どんな理由にもかかわらず、トレーダーは将来何かがあると予測して通貨ペアを売買します。全体的な戦略に適さない場合、取引の対象時間は重要ではありません。
このコンセプトは長い間存在してきました。取引においてさえ、開始したばかりの時点から、「予測」が人々を印象づけました。
このような予測とは何だったのでしょうか?市場心理と行動の様々な解釈の方法にすぎません。
例えばティッカーテープが米国で登場したとき、画期的な開発だということが分かりました。突如として、トレーダーが「テープを読み」始めたのです。
トレーダーたちは正確には、何をしたのでしょうか?今日の慣行と比べれば、大したことではありません。将来価格の予測のために過去の価格を見たのです。
トレーダーは株の値動きをすべて記録し、メモを取り、チャートさえも構成しました。ジェシー・リバモア(史上最も偉大な相場師の一人)の話が、今日知られる現代チャート分析のはじまりを明らかにしています。
次に分かるのは、トレーダーが長い時間枠で歴史的な価格データを研究し始めたことです。個別株はそんなに長い間存在していなかったため、これは都合の良い方法でした。
ただしトウモロコシや大豆などのコモディティには、膨大な歴史がありました。リサーチや発見をもとに、結果は当時の株市場に用いられました。
チャート分析はテクニカルな精神の持ち主を魅了しましたし、魅了し続けています。異なるタイプのチャートが今日のFX取引に存在し、テクニカル分析とともに発展しました。
ラインチャート
ラインチャートは最もシンプルなチャート形式です。トレーダーはただ画面のラインを見るだけですが、単なるシンプルなラインではありません。
ラインチャートは対象期間の終値に紐づいています。例えばUSD/CADの4時間足チャートにラインチャートを使うと、4時間ごとの終値にラインが加わります。
ラインチャートの利点は、物事をシンプルに維持してくれることです。FX取引が過剰に複雑になりがちな世界では、シンプルなものが明確さをもたらしてくれるかもしれません。
FX取引は乱高下が激しいことは、誰もが知っています。経済情報のリリース時だけに限らず、通貨ペアは頻繁に変動します。
ラインチャートは終値のみに紐づいているために、その多くの乱高下の様子がチャートから消失します。対象期間で最高値と最安値を見ることはないため、変動もまったく見られません。
結果として、シンプルなラインがあれば、トレーダーはテクニカル戦略を適用できます。例えば、トレンドラインおよびチャネルだけでなく、ヘッド・アンド・ショルダー、ウェッジ、ダブル/トリプルトップ、トライアングルのような従来のテクニカル分析パターンも機能します。
とはいえ、最も不都合なのは、その期間の最高値と最安値が現れないことです。そのため、フィボナッチのようなツール(FX取引ではしばしば使用される)が、ここでは機能しません。
加えて、オシレーターとのダイバージェンスも機能しません。価格レベルを見ずに、どうやって新高値や新安値がわかるしょうか?
バーチャート
ラインチャートと著しく対照的に、バーチャートは全てを表示します。つまり、始値・終値だけでなく、期間の最高値と最安値も表します。従来のテクニカル分析パターンはより上手く機能し、ダイバージェンスでさえも簡単に見つかります。
バーチャートは、チャート最古の表現方法です。西洋(米国)がチャートを使い始めたときに、このバーチャートが登場しました。
先ほどのUSD/CADは下記のようになります。ただし、今回はバーチャートを使っています。
チャート上部に強調されている、1.2960周辺のグレー部分に注目してください。次にラインチャートに戻って、違いを見てみましょう。
ラインチャートが高値切り下げを表示しているのに対し、バーチャートはダブルトップを示しています。テクニカル的見地からすると、これは大きな違いです。ダブルトップは正確な入口(エントリー)・出口(エグジット)レベルのある取引計画を伴うからです。
バーチャートの始値は、前回のバーチャートの終値です。この原理に従うと、バーチャートは通貨ペアの価格動向を示しています。
バーチャートは株式市場のチャート分析にのみ使用できるものでしたが、最近ではもはや人気はなくなっています。実際にFX取引では、このチャートを使うトレーダーはほとんど存在しません。というのは、FX取引は比較的新しい分野で、トレーダーのほとんどがローソク足チャートを好む、というシンプルな理由があるからです。
ローソク足チャート
西洋の世界が日本のチャート分析アプローチに出会ったとき、あっという間にその虜となりました。ローソク足とローソク足チャートは、FX取引で最も著名なチャートとなり、それは今日でも変わりがありません。
ローソク足は始値と終値を表示します。終値が始値より大きい場合、そのローソク足は強気の緑(海外では緑や青、日本では赤のことがある)を示します。
そうでなければ、弱気の赤(日本では青のこともある)です。始値と終値の間で実体を示し、実体の上または下にある線がヒゲです。
そのようにして、ローソク足には、ほぼ常に上ヒゲか下ヒゲがあります。信じがたいかもしれませんが、このヒゲが日本式ローソク足パターンで取引する際に大切な役割を担います。
このプロジェクトの後のほうで、日本式ローソク足テクニックについてさらに詳細に取り上げます。今のところは、トレーダーがなぜこのタイプのチャートを好むかという理由が、ローソクのためではなく、パターンのためだということだけを覚えておいてください。
ヒントを出しますと、ほとんどの日本式パターンは2つか3つのローソク足だけで形成されます。ハンマー(カラカサ、トンカチとも)として必要なのは1つだけです。
それとは対照的に、ヘッド・アンド・ショルダーやウェッジのようなパターンは、さらに時間がかかります。したがって、日本式ローソク足パターンと比べると、取引が現れるまで長い時間がかかります。
他のチャートタイプ
ポイント・アンド・フィギュア・チャートは古いチャート分析テクニックなので、FX取引では知られていません。このテクニックの考え方は、変動がある日だけが残るように、チャートから一時休止的な日々を取り除くことです。
そのために、ポイント・アンド・フィギュア・チャートは、上述したどのチャートタイプとも極端に違って見えます。さらに、トレーダーは手動でこのテクニックを構成する必要があります。取引ソフトウェアのほとんどが正確に描けないからです。
ポイント・アンド・フィギュア・チャートを構築するのは容易ではありません。大きな問題は、変動が重要な役割を果たす意味合いにおいて、取引する通貨ペアを理解することです。
例えば、ポイント・アンド・フィギュア・チャートでは、取引日に移動した総距離にすべてがかかっています。全通貨ペアが同じ変動水準を経験するわけではない(例として、メジャー通貨ペアは大半のクロス通貨ペアより変動)ので、通貨ペアごとにレンジが異なります。
従って、まずしなければならないことは、動きの鈍い取引日になった理由と、変動の大きい取引日になった理由の究明です。次に、ブレイクアウトを示す日だけを記録します。結果として、チャートに表示されない日もある、いうシンプルな理由で、他のどのチャートタイプとも完全に違って見えるでしょう。
ここでは、日曜のローソク足を示す取引プラットフォームも注意するべきです!日曜は取引が数時間だけしか行われるため、ポイント・アンド・フィギュア・チャートには、その分のローソクが現れないのです。
結論
通貨ペアをチャート分析する際、トレーダーは複数の選択肢から選ぶことができます。著名でもそうでなくても、全取引プラットフォームが、この記事で取り上げた最初の3つのタイプを提供しています。その3つとは、ラインチャート、バーチャート、ローソク足チャートです。
FX取引では、ローソク足チャートがトレーダーの間で第一の選択肢となるようです。ローソク足チャートは全ての取引理論とツールで上手く機能し、このパターンは素晴らしいリスクリワードレシオを提供しています。
それでも、ただの好みだというだけのようです。例えば、ポイント・アンド・フィギュア戦略を使うトレーダーは、ただそういったタイプのチャートを使うしかないのです。
または、FX取引で日本式ローソク足を使用するトレーダーは、ローソク足チャートが必要なのでしょう。理由はこのようにさまざまです。
結局、使用する戦略によるのです。これが、トレーダーは他のチャートではなく、あるチャートを使う理由です。