FX取引:初心者

初心者
Trading101
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FX取引におけるファンダメンタル分析

テクニカル分析に一致しないものは全て、ファンダメンタル分析に属します。言い換えれば、指標、オシレーター、または取引理論を使用しないトレーダーは、ファンダメンタルトレーダーです。

名前には象徴的な意味が含まれています。つまり、ファンダメンタルとは、市場がなぜ動くのか、という理由を示しています。FX取引では、通貨ペア(あるいは、時には一つの通貨のみ)がなぜ取引されるのか、その理由と関連しています。

ファンダメンタル分析は、通貨に影響を与える全ての経済的データの総計を表します。従って、厳密な意味での通貨ペアのファンダメンタル分析とは、通貨ペアを構成する二つの経済国からの全ての経済情報の量を意味します。

FXダッシュボードは、米ドルを中心とした通貨ペアで構成されています。世界の準備通貨としてのドルは、現在の金融システムの中心です。

従って、米国の全ての経済情報はドルに影響を与えます。さらに、ドルはFX市場で他の通貨と「ペアになっている」ため、米国の経済情報は多くの通貨ペアの動き方にも影響します。

しかしまた一方、大部分のFX取引の通貨ペア(または少なくとも、最も人気があり流動的なもの)は、資本主義経済に属します。これは、トレーダーが異なる経済を解釈するために同じ経済データを見ていることを意味します。

しかしながら、経済データは基本的な分析の一部にすぎません。トレーダーたちは、金融関連のニュースの解釈に加えて、政治的、地政学的な出来事、世界中の選挙、主要通貨の動向を変える可能性のあるマクロ経済情報、そして、信じられないような話ですが、天気予報さえも考慮しています。

繰り返し言いますが、テクニカルでないものは全てファンダメンタルなものでなければなりません。グレーな領域はなく、白黒がはっきりした区別があるのみです。

FX取引の要である経済情報

全ての市場参加者は、国/地域の経済情報を解釈します。もちろん、それは様々な理由からです。

中央銀行のように、定期的に(毎月または6週間ごと)会合を開き、過去の経済情報を解釈するものもいます。中央銀行は、金融政策の変更に伴う、経済活動の変化を見つけ、適切に対応することを目的にしています。

一方、FXトレーダーは、経済情報を見て、ただ唯一の理由からそれを解釈します。つまり、次の金融政策の変更に向けて準備をしておくことです。従って、中央銀行の次の動きに備えるために準備をしているのです。

FX取引では、全てが金利水準に依存します。そのようなことから、トレーダーは、中央銀行が金利を変更する可能性はどのくらいあるかを見極めるために、情報を解釈します。

トレーダーは、中央銀行が会合を開く前に、経済データにアクセスし、それを解釈するという利点をもっています。情報は定期的に入ってくるので、取引期間を通じて、その解釈はトレーダーとエコノミストにとっても、少し頭を悩ませることがあります。

さらに、中央銀行は経済活動における変化に同じように反応しません。時には、彼らの声明は期待に沿ったものですが、それ以外の時はトレーダーの不意を襲うときがあります。

FX取引で考慮すべき最も重要な経済情報

全ての経済情報が市場をシフトさせる力を持っているわけではありません。いくつかは他のものよりも重要です。

何に焦点を置き、何を無視するかを区別するのがFXトレーダーの仕事です。統括されたデータは、国/地域における経済活動の明確な実態を提供してくれますが、一部の経済データはさらに注意が必要です。

それは変動性が大きくなる時であり、トレーダーの焦点が集まるところです。以下の経済情報は、取引されるペアにかかわらず、全てのトレーダーのリストに入っていなくてはなりません。

─  インフレ。世界の大小、全ての中央銀行がインフレに注目します。経済用語で言うなら、消費者物価指数、またはCPIで、広義な用語になります。しかし、取引期間を通じて、様々なインフレ関連データが発表されると、毎回変動性が大きくなります。中央銀行はインフレ度の変化に基づいて金利を動かします。インフレが上昇すると金利も上昇し、また下落すると、中央銀行は金利を引き下げます。

─  雇用データ。経済における雇用数は、その強さを示しています。より多くの人が雇用され、より多くの可処分所得が存在するほど、経済活動が盛んになります。失業率、労働力参加率、そしてその他の様々な雇用関連データは、FX取引で考慮すべき経済情報の何よりも重要です。

─  国内総生産 (GDP)。国内総生産は、経済で生産される商品とサービスの総価値を示しています。高いほど、通貨には有利であり、健全な経済活動を意味し、中央銀行がレートを引き上げることにつながります。

購買担当者指数 (PMI: Purchasing Managers Index)。購買担当者指数またはISM製造業景気指数は、あらゆる経済部門の状態を明らかにします。経済部門が国内総生産全体を占めているため、最も重要なものの健全性を早期に調査することで、トレーダーは次の中央銀行会合の見地に立つことが可能になります。

上記は、FX取引で考慮すべき全領域を構成する情報のほんの一部です。後にトレーディングアカデミーにおいて、経済カレンダーと適切な内容で、全ての情報を取り上げます。

ここで重要なのは、トレーダーが様々な経済を分析し、次の中央銀行の会合に備えることです。中央銀行は経済的意味合いや、経済活動の変化に応じて通貨ペアを売買します。

とは言え、情報は通貨市場を動かす唯一の出来事ではありません。

マクロ経済

「グローバル経済」という言葉を何度聞いたことがありますか?たぶん頻繁に聞かれたと思いますが、それには理由があります。

私たち既存の世界は、非常に多くのレベルで相互に繋がっており、地域経済はより大きな経済の構成要素としての部分を形成しています。貿易は世界の全ての国々に新境地を開きました。

ブラジルには中国製品が、中国には中東の石油が輸送され、日本ではドイツの自動車が販売され、日本の技術は世界中に存在しています。事実上、世界は大きなグローバル経済であることを意味します。

したがって、世界動向の変化は、様々な地域経済の経済価値に影響を与えます。このため、現地通貨の価値についても同じことが言えます。

世界動向とその影響を解明することを、マクロ経済といいます。マクロ経済情報が、通貨の価値にどのように影響するかについての1つの例に、最近の米国の税制改革があります。

この発表は、米国債務レベルの驚異的な上昇につながったため、市場の不意を襲いました。そのため、米国連邦準備制度が完全な引き締め状態であったにもかかわらず、ドルは他のほとんどの通貨に対して価値を失ってしまいました。

結論

経済情報やマクロ経済状況は、ファンダメンタル分析を構成する唯一の部分ではありません。しかし、ほとんどの場合、市場を動かす要因となります。

選挙にも市場を動かす力があります。国民投票も同じことが言えます。

2016年のイギリスでのブレグジット国民投票と、その数カ月後の米国の大統領選挙によって、FX取引が大きく影響を受けたことを考えてみてください。この二つの出来事が過去のことになるまで、FXトレーダーは、勝ち目をつかもうとはしませんでした。結果的に、ほとんどの通貨ペアはある範囲内で取引されました。

戦争も市場を動かす力をもっています。参加国や様々な市場への関わり合いの

ように、何が危機にさらされているかによって、FX市場における勢力のバランスも変化します。

ハリケーンや地震などの他の極端な出来事も、FX市場を動かします。もたらされた被害は、現地経済への妨げを意味し、通貨はそのような出来事に最初に反応するものです。

要約すると、ファンダメンタル分析は、なぜ金融市場が動くのかを明らかにします。時折、それほど明白ではないときもあります。

しかし、全ての重要な動向の背後には、その動向が始まった理由があります。通常、FX取引のテクニカルの部分ではなく、ファンダメンタルな側面からきています。