FX取引:上級レベル

上級
Trading101
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Lectures 20 レッスン
Duration 20 時間

エリオット波動理論:ウォーターフォール効果

この取引アカデミーを通じて、エリオット波動理論だけを取り上げた多数の記事を取り扱ってきました。基本レベルから上級レベルまで、この理論は他のテクニカル分析のコンセプトでは見られない論理プロセスで展開します。

エリオット理論を含むFX取引におけるテクニカル分析は、高比率のフィボナッチ数列によって決まります。フィボナッチ取引ツールは、すべてのFX取引プラットフォームに表示され、トレーダーは次のように様々な方法で使用します。

  • 一定の動きに対する自然なリトレースメントとして、黄金比(61.8%リトレースメント)を見つける
  • ポジションにあわせて調整し、価格が特定のフィボナッチ比率(23.6%、38.2%など)に達した時は、ディップ(押し目。上昇トレンドにある価格の一時的な下落)またはスパイク(瞬間的に突出した高値・安値)が追加されるのに注意する

ラルフ・エリオットはフィボナッチ比率を巡って取引セオリー全体を構築しました。エリオットが書き留めたすべてのパターンは、内部(同じ程度の波動を指す)または外部(程度の大きい波動を指す)のいずれかで、フィボナッチと関係があります。

エリオット理論では複数の方法でフィボナッチ比率が利用されています。

  • フラットのb波は、前のa波を61.8%以上リトレースしなければならない
  • フラットのb波は前のa波を61.8%以上リトレースせず、ほとんどの場合は23.6%から38.2%の間でリトレースする
  • 拡大パターンに限り、フラットのc波はb波の161.8%を超過
  • フラットのc波が前のb波の138.22%を超えるのであれば、これ以上、c波を完全にリトレースする力は市場にはない
  • トライアングルのb波は、前のa波を261.8%を超えて移動できない
  • トライアングルのb波が、前のa波の61.8%で止まることはめったにない

長時間、リストを続けられますが、エリオットとフィボナッチ比率の効用をリストアップすることがこの記事の目的ではありません。そのかわり、複雑な修正に焦点を移します。

FX取引における複雑な修正

市場が修正がシンプルなものと確認できない時は(前回の記事でとりあげた時間ルールを参照)、複雑修正が形成されているにちがいありません。

複雑修正には1つか2つの介在波がありますが、3つ以上は絶対にありません。接続波はX波とよばれ、修正波の性質も持ちます。

X波の長さを元に、さらに分割されます。X波は2つまたは3つのシンプルな修正波と接続するため、その長さは前の修正波を参照します。

経験からいくと、エリオット波動理論では複雑修正で最初にくるのは、トライアングルではありません。それは不可能です。

従って、エリオットでは2つの他のオプションだけを検討します。複雑修正の最後のフラットまたはジグザグです。2つの中では、形成頻度が高いフラットを探してください。

その時に鍵となるのは、最初の修正波の全長を測定し、X波のリトレースメント(終了)がその61.8%未満であるかどうかを確認することです。もし61.8%未満であれば、市場は大きなX波を伴って複雑修正を形成します。61.8%未満でなければ、市場は小さなX波を伴って複雑修正を形成します。

2つの可能性のうち、小さなX波を伴う複雑修正が形成される可能性のほうが高いです。これが規則というわけではありませんが、パーセンテージを使うのであれば、有名なパレートの法則がここでも当てはまります。約80%の割合で、小さなX波を伴う修正波が市場で形成され、残る割合が大きなX波を伴う複雑修正となります。

FX取引の変動制は極端なレベルに達するため、最高点や最高点ではなく、X波の終点を検討することが大切です。

FX取引におけるウォーターフォール効果

エリオットが見つけた最も印象的な比率の1つが、いわゆるウォーターフォール効果です。小さなX波を伴う複雑修正でのみ、用いました。正確にいうと、トリプルコンビネーションで用いました。

エリオット波動理論の用語では、このような修正は、(a-b-c)-x-(a-b-c)-x-(a-b-c-d-e)と分類されました。この取引アカデミーのエリオット理論を取り上げた記事ですでに書いたように、上の構造は次のことを物語ります。

  • 第1のa-b-cはフラットまたはジグザグ
  • 第2のa-b-cもフラットまたはジグザグ
  • パターンの最後に必ずトライアングル

すべてが、X波は前の修正波より61.8%を超えるリトレースメントはしないという事実に結びつきます。こうして、第1のX波が第1のa-b-cと結び付き、第2のX波は第2のa-b-cと結びつきます。

ここにあげるAUDUSDでは、均衡をやや上回るところから、大きく低下しました。4年未満で、価値は40%を超える低下となり、多くのトレーダーが頭を抱えることとなりました。

とはいえそれが始まった時は、フラットパターン内でした(黒枠の部分)。a波が形成されてから、黒枠内で前のa波の61.8%を超えて終了するb波、その後、黒枠内で前のb波の138.2% を超えて伸びるc波を形成しました。

黒枠内のc波の長さを見ると、これは拡大型フラットであり、b波はcの失敗を伴うすばらしいフラットを形成しました。失敗を示すパターンは必ず、トレンド反転の力がある証拠とエリオットは述べました。従って、失敗が弱気の動きを修正したため、トレンド反転はまだ下向きでした。

次に、トレーダーは黒枠内のa-b-c全長を測定します。値下りまたはX波のリトレースメントは61.8%よりも下になります。

以下をすばやく見ると、このような値下りがないのがわかります。

とはいえ、ウォーターフォール効果の場合は、第2の修正の長さを予想するため、黄金比を使います。

第2の修正波の予想方法

以上のイメージは自明のものです。こういったステップを踏むと、ウォーターフォール原則を使って、第2の修正波の終了を発見できるでしょう。

  • 第1修正波の61.8%測定をみつけます
  • 第1X波の終了から予測
  • そのレベル周辺で、市場ではパターン内の最後のX波の前に第2の修正波を終了

上のステップの後、最後のスイング(X波)の終了から予想できる通り、第2のa-b-cが以前の修正波の61.8%周辺で終了します。このようにして、ウォーターフォール効果ではトリプルコンビネーションの中で2つの修正が行われます。次に何が起こるかはすでにわかっています。トライアングルです。

結論

ウォーターフォール効果は市場のトリプルコンビネーション形成の確認という役目を果たします。この効果がなければ、トリプルコンビネーションは存在しません。

エリオット波動理論の長所は、各カウントの意味あいにあります。たとえば、市場がトリプルコンビネーションを形成すれば、価格はここで説明したウォーターフォールルールを尊重するにちがいありません。

FX取引のシナリオにトリプルコンビネーションが含まれるのであれば、トレーダーは、どこでトリプルコンビネーションが形成されるのか、という次のことに移ります。エリオットはほとんどの場合、下降型トライアングルの最長の波として、トリプルコンビネーションが形成されるのを発見しました。こうして、市場は、a波かb波で下降型トライアングルの足を形成するというバイアスができます。

さらに、分析プロセスでは、トリプルコンビネーションの次にくる動きまたはセグメントはすべて、修正の性質があり、その理由は三角形の足のすべてが修正だからということが示されます。

ウォーターフォール効果を確認しなければ、論理的なプロセスは不可能になります。複雑と思われますか?

おそらく今の段階で、エリオット波動理論は単純だというトレーダーはよく考えてください。無知であったり、適切な教育を受けなければ、トレーダーはラベリングは簡単だと考えます。実際は、これまで作られた中で最も複雑で分析的な取引理論の1つです。

まとめると、トレーダーはウォーターフォール効果を使って、トリプルコンビネーションを確認します。その後、トリプルコンビネーションを使って、トライアングルの存在を証明します。

次に、1つ上の段階の複雑または単純な修正の一部としてトライアングルを用います。以上のようなことが、すべての点がつなぎあわされ、チャートの右側の前方の道が明らかになるまで続きます。