FX取引:上級レベル

上級
Trading101
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モメンタム指標でのダイバージェンス(逆行現象)

全ての取引プラットフォームで最も一般的なオシレーターの1つであるモメンタムは、トレーダーの完全な注目に値する指標です。ほとんどのオシレーターは買われ過ぎと売られ過ぎレベルを示していますが、FX取引ではモメンタムは、構造と解釈の両方で異なります。

メタトレーダー4、あるいはMT4プラットフォームは、オシレーターカテゴリーの下にモメンタム指標を提供しています。

相対力指数(RSI)または商品チャンネル指数(CCI)と共に、モメンタムはFX取引で広く使用されています。時折、トレーダーは全てのオシレーターを使って取引するために類似する戦略を使い、2つの戦略間、あるいはそれ以上の間の違いに焦点を当てます。

そのような戦略はうまくいくかもしれませんが、長期的にはランダムな結果を示します。問題は、トレーダーが同じ期間を全てに使用しているにもかかわらず、全てのオシレーターが同じではないことです。

趣向を変えて、モメンタムを見てみましょう。それはトレンドの勢いを示すという意味で、速度指標です。トレンド相場の本質的な特徴の1つである、相場の動きを測定するために存在する最も近い指標です。

モメンタムが低迷すると、トレンドはその勢いを失います。ロンドンとニューヨークセッションのどちらかが終わるか、銀行休業日がある場合など、モメンタムが停滞する理由はたくさんあります。それが起こる時、トレンドの状態が消え、持ち合い状態が始まることを想定してください。

そのため、モメンタムはトレンド、および持ち合い相場で使用するための素晴らしいテクニカルツールの1つです。私たち取引アカデミーの記事を入念にフォローしてくれた皆さんは、市場の持ち合いとトレンドの性質になじみがあるでしょう。

FX取引では、ほとんどのオシレーターが買われ過ぎと売られ過ぎのレベルを示しますが、鍵となるのは、それらを持ち合い相場でのみ使用することです。市場がいつ持ち合い状態になり、いつならないのかを教えてくれるオシレーター/指標がもしあるとしたらどうなるでしょうか?

モメンタム指標の導入により可能です。

FX取引におけるモメンタム

全てのオシレーターと同様、モメンタム指標はメインチャートの下部にある小さなウィンドウに表示されます。それは2つの異なるローソクの終値を指します。

  • 1つのローソクは最新の終値、あるいは前回の終値
  • もう1つのローソクは、トレーダーが過去から選択できるものです。カスタマイズが可能です。というのは、モメンタム指標の設定を選択する時、期間の初期値(少なくともMT4プラットフォーム)は14日間で、モメンタムは前回のローソクの終値と14日前の終値を比較します。

初期値設定を変更するのは完全にトレーダーに任されますが、14日間の標準設定を使用して、FX取引におけるモメンタム指標のベストな使用法を指摘しましょう。2つの価格の比較によって、モメンタム指標には様々なバリエーションがありますが、結局、トレンドの勢いという同じ傾向を示すようになります。

モメンタム指標の均衡点

任意のチャートに適用すると、モメンタム指標は100レベルの周辺を移動します。明記されていませんが、御覧のように100レベルは均衡点です。

  • 前回のローソクの終値は、14日前のローソクの終値よりも高い ─ モメンタム>100を意味します。
  • 最後のローソクの終値は、14日前のローソクの終値よりも低い ─ モメンタム<100を意味します。

したがって、持ち合いとトレンド相場、または強気と弱気相場を区別します。任意のチャートに適用すると、次のようになります。

上のチャートは最近のEUR/USDの4時間足チャートで、モメンタム(14日)は下部に示されています。御覧のとおり、100レベルは存在しませんが、希望のレベルで水平線を追加するだけで簡単に修正できます。

この時点では、モメンタム指標は異なる意味合いを「物語っています」。解釈を念頭に置いてください。つまり、それは持ち合いとトレンド相場を見つけるために使用される、相場の勢いを示しています。

簡単に言えば、モメンタムが100を超える場合、強気のトレンドは止まらず、モメンタムが100未満であれば、弱気のトレンドは逆転しません。1.24から現在の1.19まで下落した最近のEUR/USDを確認して見て下さい。

完全な下落のため、モメンタムは100レベル以下に留まり、依然として可能な反転は見られませんでした。100以下の下落は、EUR/USDペアの全体の落ち込みに相当します。

モメンタム指標でのダイバージェンス(逆行現象)

モメンタム指標はトレンドの勢いやスピードを示しているため、価格のダイバージェンスを見つけるのに最適なツールです。あるいは、簡単に言えば、FX取引で見せ掛けの動きを発見することです。

左から右に、上のチャートに焦点を当てましょう。2018年の始まりには、ほぼ垂直方向に価格が上昇します。その後停滞し、継続パターン、おそらくペナント(ペナントは、例えば上昇トライアングルや強気のフラッグよりも持ち合いに要する時間が短いトライアングルの形成)を形成します。

持ち合い、あるいはレンジ相場の間、モメンタムは均衡点(100レベル)に戻りますが、長い間100を下回っていることはありません。市場は1.25を上回る強い動きでより高い水準へブレークします。

しかし、価格が400ピップ以上も上昇した一方で、モメンタムはより高い値を残すことはありませんでした。このことは、値動きのスピード、あるいはトレンドの勢いが衰えたことを意味します。弱気のダイバージェンスがちょうど形成され、強気の動きは警告されました。

次の急上昇がより高いものだとしても、EUR/USDがチャート上で最も高いポイントに達したとき、モメンタムを最初の高値を上回るまで押し上げるには不十分でした。実際、モメンタムはより低い最近のブレークまで強気トレンドの勢いが低下していることを示しています。

結論

FX取引のテクニカル分析には、適切な値動きの鍵を握ると主張する指標とオシレーターがたくさんあります。とは言え、実際はどれも役に立っていません。

何の疑いの余地なく言えることは、モメンタムは価格が次にどう動くかを見極めるための最も完全なテクニカル分析の1つであるということです。

価格のダイバージェンスは1つに過ぎません。多くのオシレーターがダイバージェンスを表示し、おそらく、上記のダイバージェンスも他のオシレーターで表示されました。

しかし、モメンタム指標は1つで2つの機能を持っています。オシレーターとして提供されている一方で、オシレーターよりもトレンド指標です。

ヒントとして、モメンタムを使用して取引セッションを評価してみます。市場を分析するために時間枠を短くした場合、モメンタムはアジアのセッションでは、めったに完全な弱気あるいは強気な状態になることはありません。

言い換えれば、いつ市場が「枯渇」し、トレンド条件が弱まるかを教えてくれます。したがって、ロンドンのセッションが再び始まるまで、市場がこれ以上動く可能性は低いので、デイトレーダーにいつ取引から手を引くかを教えてくれます。

モメンタム指標の最も重要な部分は、客観的な目で市場を見続けることです。トレーダーにトレンド相場から持ち合い相場までを見極めるよう手助けするので、取引のための他のテクニカル指標の一式を使用する可能性が開かれます。

モメンタム指標は、価格がつくる見せ掛けの動きを評価することを確かに助けてくれ、トレーダーが相場のピークあるいは、大底を選ぶことを避けるべき際のトレンド条件を示してくれます。

全体として、簡単な計算方法を持つ一方で、モメンタム指標は最も複雑な指標の1つであるため、取引アカデミーのこの部分で紹介する理由があります。もし、マスターする1つのテクニカル指標があるとすれば、モメンタム指標がその1つです。