FX取引:上級レベル

上級
Trading101
Trading101
Lectures 20 レッスン
Duration 20 時間

ピッチフォークとエリオット波動理論の統合の解明

現在私たちが知る、謎に包まれたピッチフォークツールは、その発展に尽力した多くのトレーダーたちの賜物です。今日に至るまで、ピッチフォークをチャート上に正確に描く方法に関しては、論争があります。

より正確に言うと、ピッチフォークは平行な3線のセットで、強気・弱気トレンドでの価格を含むよう設計されています。トレーダーはこれをFX取引で複数の方法で使い、取引の価格を呼び込めるメディアンライン(ML、中央線)と、ブレイクを取引する、いわゆるシフラインの二つのアプローチが著名です。

最近では、ピッチフォークはアンドリューズ・ピッチフォークとして知られ、この取引ツールに決定的な要素を加えた、アレン・ホール・アンドリューズ博士に由来しています。しかし、アンドリューズ・ピッチフォークはそれより少々複雑で、謎に包まれています。

1800年代の終わりに、ロバート・バブソンという男が、ニュートンの万有引力説の魅力に取りつかれ、日々の中の全てにおいてその説を使い始めました。つまり一挙一動すべてのことに、等しく相反する反応があるという説です。

ロバートはこのコンセプトを株式市場に持ち込み、バブソン・ノーマル・ラインのコンセプトが登場しました。簡単に言えば、そのラインの上部に価格が来れば市場は強気で、下に来れば弱気になるというものでした。

バブソンとアンドリューズ両者の友人であったジョージ・マレシャルは、このバブソンラインのバリエーションを利用し、今日知られるメディアンラインのコンセプトを思いつきました。1930年代と1940年代に、米国のルーズベルト大統領がバブソンに株式市場の予測をするよう頼み、バブソンがマレシャルにその仕事を振った、という伝説もあります。この結果できたチャートが、次の50年間でダウ・ジョーンズが実際に行ったことの鏡になりました。

最後に、アンドリューズ博士がピッチフォークコンセプトに最後の仕上げを施し、今日知られるアッパーメディアンライン(UML)とロウワーメディアンライン(LML)の平行する2線を加えました。

疑念を持っている人に向けて、バブソンがノーマルライン(メディアンラインの前身)を使って、5千万ドル以上という大金を稼いだことを記しておくのは価値に値するでしょう。また、アンドリューズ・ピッチフォークは、価格・時間軸の最初のピボットを変えて独自のバリエーションを創り出したジェローム・シフによって、さらにレベルアップを果たしました。

アンドリューズ・ピッチフォーク・ピボット

ピボットこそが、アンドリューズ・ピッチフォークの発展に重要な役割を果たしています。21世紀の今では、コンピューターや取引プラットフォームが利用でき、チャートを描くのが容易です。

実際は、それより千倍も難しいことです。ここでは異なる市場(FX取引)、異なるプレイヤーたち(膨大な取引量で売買する国際機関)、異なる取引量や取引執行スピードについて話しています。

それでも3つのピボットを描く挑戦が、ピッチフォークを存続させています。一つの方法が、トレンドの逆順を使うことです。

つまりトレーダーは、何が取引を形作るかまず理解しなければならないという意味です。

  • 高値切り上げ・安値切り上げが強気トレンドをつくる
  • 弱気トレンドは安値切り下げ・高値切り下げからなる

これを踏まえ、こうした一連の動きをブレイクすることに焦点を移します。したがって、価格が強気トレンドを反転させると、安値切り上げの連続をブレイクします。結果的に、新しく高値の切り上げになることはできません。

または、価格が弱気トレンドを反転させれば、新しく安値の切り下げになることなく、高値の切り下げの連続をブレイクします。

アンドリューズ・ピッチフォークを使用するトレーダーには、絶対的な安値または高値が最初のピボットを表し、それに続く最初の下降・上昇変動/上昇・下降変動が第2・第3のピボットとなります。

これはUSD/JPYの週足時間枠です。このメジャー通貨ペアは、日本銀行が量的緩和を開始する(日本の国債を買う)と発表したあとに、めざましく上昇しています。この動きは、過去10年間で最も影響力のあるものでした。

先ほど示したルールを使うと、絶対的な最安値は最初のピボットまたはP0です。前の一連の安値の切り下げをなんとかブレイクしている上昇変動が、P1と最初の調整を行い、新しい高値の切り上げが最後のピボットP2となっています。

メディアンラインに惹きつけられた価格のアンドリューズ・ピッチフォークの解釈は、魔法のように作用します。これが月足の時間枠だと想像してください。ピッチフォークを描いたその瞬間から、市場にはメディアンラインに届くまで多くの余白があります。

アンドリューズ・ピッチフォークとエリオットの統合

この取引アカデミーは、エリオット波動理論のさまざまな部分を、複数の記事にてお届けしています。面白い偶然の一致としては、エリオットが自身の波動理論を研究していたころには、バブソンは最終的にアンドリューズ・ピッチフォークの誕生となるノーマルラインのコンセプトを使い、株式市場予測で莫大な富を築いていたことです。

そして、まだ他にもある偶然(もしくは、必然!)は、作用反作用の原理はエリオットが衝撃波・修正波をつなぐために用いた原理だということです。市場サイクルが2つのフェーズ(1つの衝撃波と、1つの修正波)を持つというエリオットの考えは、作用反作用コンセプトの素晴らしい予兆です。

こうして2つの理論(ピッチフォークとエリオット)はお互いを補完し合い、ピッチフォークピボットの設定方法が、エリオット波動理論の反作用サイクルを特定するのに役立ちます。

したがって、この2つのコンセプトを知るトレーダーは、ピッチフォークの方法を使って、衝撃波のあとの市場反応を分類するピボットを特定します。さらに正確に言うと、第2・第3ピボットは修正のa波およびb波を示します。さらに、メディアンラインはサイクルを終わらせるc波が終わる可能性を見つけるために使われます。

ただし時々、衝撃波が別の衝撃波を追うことがあり、それは小さい、あるいは同様の度合いで起こります。その場合には、第2・第3ピボットがエリオット理論の第一波・第二波の終わりを示します。当然、メディアンラインは第三波の終わりを見つけるのに使われます。

同様のルールに従うと、トレーダーは素晴らしい取引機会を見つけようと、各市場でサイクルを解釈します。例えば、日銀の金融政策変更後に生じた上昇変動のあとには、修正活動が続いています。

同じ原理を使うと、FX取引でc波のターゲットを決めるための、エリオットの修正波を容易に見つけることができます。この場合、a-b-c波は前の強気トレンドの反発を示しています。

結論

テクニカル分析は取引ツール、取引理論、そしてずっと昔に考案されたインジゲーターの一式からなります。さらに、これらは異なる市場(ほとんどが株式市場かコモディティ)で考案され、特にFX取引向けではありません。

結局のところ、チャートはそれぞれの価格の「トレース」を示します。FX取引のケースで、より迅速な執行のために価格が速く動くとき、もっとスピードの遅い市場の場合とはトレースが異なっています。

にもかかわらず、およそ100年前に使われたコンセプトが、規律ある取引に導く取引設定に、依然として充分に良いものです。エリオットとピッチフォークを統合したものをマルチタイムフレームで使えば、さまざまなサイクルを分類し、サイクルによって異なる取引を見つけるのに成功します。

エリオット波動理論は異なる時代を通じ、何度もランダムウォークのように見えますが、ピッチフォークとの統合で取引すれば、少しばかり光を放ち、取引に規律をもたらしてくれます。