FX取引:上級レベル

上級
Trading101
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上昇時の窓と下落時の窓が開いた時の取引方法

日本のテクニカル分析方法、窓(ギャップ)は保合いパターンです。日本人流テクニカル分析には、市場には休む時がよくある、という格言があります。

それは保合いパターンを完全に説明しています。そして、市況は突然、しばらく停止し、主要トレンドを継続するエネルギーを培います。

これまで、最重要である日本のローソク足パターンと取引方法について語ってきました。ハンマー、同時線、ブリッシュエンガルフィング(強気の包み足)およびベアリッシュエンガルフィング(弱気の包み足)、ピアーシング、かぶせ線など概念を見てきました。

驚いたことに、そのほとんどは反転パターンであり、同時線だけが同じ方向で価格が継続する余地があることを示しています。窓は日本のパターンのバランスをとるために出現し、保合いパターンの力にもう一度焦点があるようにします。

この取引アカデミーの以前の記事ですでに述べた通り、テクニカル分析には西洋のアプローチと日本のアプローチがあります。2つを比較すると、形成までの時間が短く、すばらしいリスクリワードレシオを提供するという単純な理由があるため、日本のパターンには大きな利点があることがわかります。
FX取引では、それこそが、トレーダーが求めるすべてです。

窓の比較も続きます。西洋的アプローチでは、ギャップは日本のFX取引アプローチの窓の概念に相当します。とはいえ、解釈は全く違っています。

FX取引におけるギャップ

ギャップは西洋的アプローチに属しており、米国の従来のテクニカル分析パターンに根ざしています。正確に言うと、ギャップはパターンではなく、ギャップの解釈がパターンとなります。

今日知られているテクニカル分析の概念の大半が、米国株式市場の分析が起源となっているため、ギャップもそこからでていても、何の不思議はありません。実際、ギャップは株式市場ではごくありふれたものなので、出現頻度が非常に高いパターンに対して、なぜ取引戦略を構築したのか不思議です。

とはいえ、そのうちに、株式市場の分析も変化しました。先物が現物市場を補足するようになり、今では株価指数取引も継続的に行われています。つまり、ギャップはまだ形成されているものの、もはや頻繁に形成されるわけではありません。

FX取引でも有効であるギャップに関する標準的な解釈または西洋的アプローチでは、ギャップは埋めければならないものです。しかし詳細に入る前に、ギャップとは何で、FX取引における特性は何なのかを定義しましょう。

ギャップは何もない空間で、発生する場合は2本の連続したバーまたはローソク足の間に生じます。言い換えると、バーまたはローソク足がある価格でクローズし、次のバー/ローソク足が別の価格(前日より高値か安値)でオープンします。

FX取引では、ギャップが発生するのは週末を挟む場合に限られます。為替市場は流動性が高い(数兆ドルが毎日、所有者を変えます)ため、これほど劇的に価格が大きく変動する状況を発生させる動きはありません。

従って、FX取引でギャップが見えたら、月曜の市場開始時に形成される可能性は大いにあります。

時には、週末の間に予想外の出来事が起こります。知っての通り、ファンダメンタル分析は、経済指標カレンダーの経済ニュースの一部だけを指すのではありません。FX市場の定時の取引時間中に、そのようなニュースは発表されます。

そうはならず、国民投票や選挙など政治イベントまたはその他の予測困難なイベントでさえ、サプライズで市場を動かし、市場取引が始まった時に、「ギャップ」が生じるのです。

以下が、最近のFX取引史の中で有名なギャップの一つです。下のギャップはEUR/USDペアのものですが、すべてのユーロペアは同じ現象を経験しました。キプロスのギャップとして歴史に残っています。週末の間に、キプロス政府が欧州中央銀行(ECB)の監督の下、キプロスの銀行の預金の一部の没収を決定しました。従って、市場は動揺し、ギャップが月曜の始値に影響しました。

ギャップの解釈

従って、ギャップは金曜の終値と月曜の始値の間にできる何もない空間または隙間のことです。少なくとも、西洋的または伝統的なテクニカル分析法を使うと、FX取引においてはそういう定義となります。

多くのトレーダーが今なお利用する標準的な解釈では、市場はギャップを埋めるように求められます。あるいは、ギャップが開いたままであるべきではありません。

とはいえ、一部のトレーダーが多くのFXギャップを文書化して、様々なルールを当てはめようとしていますが、それを裏付ける論理的な主張はありません。例えば、ギャップは同じ取引日の間に埋められるはずであるとか、トレーダーはそれを無視すべきであると、そのようなルールでは書かれているかもしれません。

または、次の金曜の終値までは埋められるべきであるとか、トレーダーは無視すべきだと書かれているかもしれません。

どんな場合でも、FX取引には、かなり長期間、開いたままのギャップがたくさんあり、何年間も、転換してギャップを埋める前に市場は何千pipも移動します。従って、トレーダーの支払い能力がもつ期間よりも長く、市場が理不尽な状態となり、従来のギャップの解釈を利用して取引するのは難しくなる可能性があります。

窓:ギャップに対する日本的アプローチ

日本人は別のアプローチを取っています。日本のテクニカル分析では、ギャップは窓と呼ばれます。

そして窓は保合いパターンです。従って、窓が現れる前のトレンドと同じ方向を市場は継続するはずです。

さらには、日本のアプローチは、やがてさらに使えるものを提供します。窓の端は、その時点から、サポートとレジスタンスレベルを提供します。

さらには、大ざっぱに言うと、窓が大きいほど、将来の値動きに対するサポートとレジスタンスレベルが強くなります。

窓の定義でさえ異なります。例えば、従来のギャップは金曜の終値から、月曜の始値までを測定しますが、窓は変化します。

窓を測定するためには(ここでは窓の端を見つけるためには)、トレーダーは、金曜と月曜のローソクの間に空いたスペースを効果的に測定しなければなりません。

上述したキプロスのギャップを使って、日本式であれば、端をどうやってマーキングするかを以下に示します。

窓はギャップと異なるレベルがあるだけでなく、解釈も違います。最初に、上のチャートでわかるように、実際に以前のトレンドを継続しています。市場では底入れの前に一連の安値が生じ、反転パターンのダブルボトムがでました。

第2に、市場が反発した時には、切り上げようとする最初の試みでは、窓の反対側に達し、強く拒否されて、新安値となっています。

結論

トレーダーは取引の時期と窓(ギャップ)の解釈にかなり注意する必要があります。FX取引では、ほとんどの窓が週末に形成されるため、月曜の市場取引開始時の価格はブローカーによって異なります。

この数年間、ブローカーは日曜のローソク足を取り除こうとしてきました。様々な理由により、世界の様々な地域でのサーバー移動のため、または単に流動性の罠を避けるため、シンプルなチャートを提供しようとして、ブローカーは日曜のローソク足を削除しました。

しかし、取引は、日曜でも、数時間は市場が開いているニュージーランドで行われます。従って、トレーダーは窓取引の時には実際の始値を利用できるはずです。

まとめると、窓は従来のギャップの別の解釈にすぎませんが、複数の利用方法があります。保合いパターンの役目も果たし、出来たときから、サポートレベルとレジスタンスレベルも提供します。

さらに、時間枠が長くなると、窓の端でできたサポートとレジスタンスは強くなります。