FX取引:上級レベル

上級
Trading101
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Duration 20 時間

日本円と株式市場の相互関係

FX取引では、相互関係が重要な役割を果たします。取引計画や何を売買するか決断するとき、こうした取引の成功のカギを握るのは相互関係かもしれません。

一般的に、トレーダーは相互関係を避ける、または相互関係にある市場を恐れます。なぜなら、相互関係の市場はほぼいつでも過剰取引につながり、過剰取引が取引アカウントを台無しにしてしまうので、トレーダーは相互関係を取引アカウントを保護する方法として学ぶためです。

相互関係には複数のタイプが存在し、直接または逆の関係性があります。さらにその相関度によって、トレーダーが戦略を適用します。

例えば、二つの通貨ペアが100パーセントの相関度を享受するときがあります。数年前、SNB(スイス国立銀行)がEUR/CHFペアのペグを1.20レベルに決めました。

クロス通貨であり、SNBがペグを生かし続ける限り1.20以下に動かすことは不可能で、1.20からさらに変動するほど、相関度が低くなりました。また、取引で1.20に近づくにつれ、相関度が強くなりました。

FX取引アカデミーの以前の記事でご説明したとおり、クロス通貨ペアは2つのメジャー通貨ペア間で生じる違いを基にして変動することは、もう知っています。この場合、EUR/CHFのクロス通貨ペアはUSD/CHFとEUR/USDの相違をもとに変動します。

よって、EUR/CHDの取引が1.20レベルに近づくにつれ、2つのメジャー通貨ペアの相関度が強くなります。そしてクロス通貨ペア取引が1.20以上になれば、反対のことが起こります。

しかしFX取引は、通貨ペア間の相互関係だけに影響されるわけではありません。他の市場も、通貨ペアの価格動向に影響します。

これらの中で、米国の株式市場が通貨ペアのリスク有無の原動力となります。日本円が特別な地位にあるため、日本円を含むペアは、米国株式市場で何が起こっているかに大きく依存します。そして、とりわけDJIA(ダウ平均株価)に起こっていることに依存します。

FX取引における日本円

CHF(スイスフラン)のように、日本円はセーフヘイブン(安全資産)通貨と考えられています。すなわち、何か都合の悪いことが起こると、投資家は安全のために逃げ出し、この2つの通貨がもっとも求められます。

さらに同じような条件では、株式市場が下落したときです。よって、米国株式が上昇するとき、日本円は下落する傾向があります。そして米国株式市場が下落すれば、日本円の価値が上昇する傾向にあります。

これは明らかに偶然ではなく、日本円と米国株式市場の相互関係の裏に経済論理が存在しています。実際に、これはFX取引では最も広範でパワフルな相互関係の一つで、日本経済の独自性に根付いています。

日本経済の特殊性

何十年もの間、日本は管理能力が試されるようなデフレスパイラルと闘ってきています。私たちが今日知っている資本主義は、中央銀行およびその金融政策に大いにかかっています。

例えば景気が拡大するとき、緩やかなインフレが役立つだけでなく、成長を促すと報告されています。よって、中央銀行がインフレ水準の周囲に指令を出します。

中央銀行はインフレを、先立つ経済的困難の最初のサインと見ています。または、経済拡大がやってくると見ています。

インフレ水準が目標である2パーセント以下に落ち込むと、中央銀行のほとんどが通貨の金利をカットします。これまでで分かっているように、金利はFX取引で非常に重要な役割を果たしています。

しかし、金利カットが起こる可能性は比較的低いです。2%からゼロまでは、動かすのにそれほど大きな差がありません。最近まで、ゼロ以下に金利水準をカットすることは考えられないことのようでした。

しかし社会が変わり、経済コンセプトも変化したので、新たな問題への対処方法もまた変わりました。

ゼロ以下への緩やかなインフレ(別名デフレ)レベルに直面し、日本は経済が停滞するのを予想しました。緩やかなインフレは成長を促すものの、ネガティブインフレまたはデフレは、経済を容易に後戻りできないよう停滞させます。

よって、日本銀行(BOJ)は初めて金利をゼロに落としました。そして日銀は、何年もずっとそれを続けました。それでもインフレにならず、金利はさらに低く下降していきました。

世界では、先例のない金融政策を実施して消費問題を解決し、移住を奨励して出生率を上げたりなどした地域もあります。しかし日本はその文化の特異性のため、社会は閉鎖的です。

これが非常に低い出生率と、高齢化人口につながっています。経済に関しては、高齢者が出費せずに貯め込む傾向にある、というのは酷いニュースです。よって、インフレが目標に立ち直る見込みはないとは言いませんが、最小限です。

低い金利がカギ

こうした理由で、最近の数十年間、世界のどこかで緩和された経済政策があるとしたら、それは日本でした。当然ながら、世界中どこにでも輸出・輸入している巨大企業を持つ、世界最大の経済大国の一つについて話していますので、世界経済の成長にも影響を与えています。

そして、このことが日本円と米国指標の相互関係につながります。投資家が米国の株を買いたいとき、そうするためのお金が必要です。

したがって、投資家はお金を借りるために外為市場に注目し、金利水準が最低の通貨を探します。結局、それはローンに少しでも少額の金利を払う目的であるときのみに良心的です。

そこで投資家は日本円に注目しましたし、依然として現在も注目しています。下記は相互関係のしくみです。

  • 投資家が株式市場で強気で株を買いたいとき、日本円で借りる。次に、その日本円を米ドルに両替して株を買う。よって、米ドル購入者に余白をつくるために日本円を売ると、USD/JPYが上昇する。言い換えると、投資家が今日、株を買うのに米ドルを買うときの先物取引契約のようなものである。株が上昇すれば利益が出て、米ドルを売って日本円のローンを払う。日本円に金利がほとんどない、またはゼロであるため、投資家はこのプロセスで儲けを出せる立場にある。
  • 反対に、株式市場に弱気な感情が広がると、投資家は株を売りたがる。米ドルで買った株を売り始め、日本円で借りた金額を支払い、そのことでUSD/JPYレートが下がるか、日本円が上昇するようになる。

これが最近の執行の大幅な改善のために、とても迅速に起こっているプロセスです。業者、リクイディティプロバイダーや他の関係者たちは、瞬く間に取引執行を行うような、通貨の架け橋となる洗練されたソフトウェアにアクセスします。

そのため、このプロセスは日本円と米国株式市場の相互関係を長持ちさせる結果となります。

結論

この相互関係を使って投機するのにベストな通貨ペアが、おそらくUSD/JPYです。そのうち、世界のこの2つの地域における金融政策の変化によって、この相互関係も締まったり緩んだりする可能性があります。

USD/JPYは、米国株式市場が上昇したときに最も利益を得て、米国の指標が売却になったときは苦しむことを予期してください。しかし、日本銀行の金融政策動向には常に注目していてください。

日本円の金利が非常に落ち込んでいて、トレーダーがそれを当然としているためだけに、この関係性にも、すべての相互関係と同じく真実味があります。このように長いこと金利が低く抑えられているため、可能性としてどんな変化も考えられないように見えます。しかし、いずれ上昇することがあれば、日本円と米国株式市場の相互関係はなくなっていくことでしょう。