FX取引:上級レベル

上級
Trading101
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Lectures 20 レッスン
Duration 20 時間

外為市場での出来高ベース戦略

金融市場の出来高よりもトレーダーの想像力をかき立てるテクニカルコンセプトは、他にありません。多くのトレーダーがFX取引でも出来高に注目し、その次に「市場の正しい側」を示すことになっている取引戦略に目を向けます。

市場の正しい側では、トレーダーは「スマートマネー」または「大手プレイヤー」を参照します。個人トレーダーはFX取引における自分たちの影響力が最小限であることを知っている、または知るべきです。個人トレーダーの売買による価格の変動は微小ですから、それをわざわざ分析するのは価値がないことです。

統計上、FX取引出来高で個人トレーダーが占めるのは、6%未満です。そうなのです、全世界で全個人トレーダーが同時に売買したところで、FX取引へのインパクトは取るに足りないものなのです。

市場の他の参加者の割合は6%をはるかに上回ります。下記のことを考えてみてください。

  • 中央銀行(金融政策の変更を実施する取引部門があり、必要があれば市場に直接介入する)
  • 商業銀行(各銀行に顧客の代理で売買を行う財務部一つ以上ある)
  • FX業者(業者の種類によって、FX業者は自身で取引するか、顧客のポジションで取引を行う)
  • 高頻度取引(日々の取引処理における膨大な量に責任を負い、高頻度取引業界は瞬く間に価格を動かせる)
  • 合併と買収(米国拠点の企業が、例えば欧州企業を買収する際、支払いはユーロで行われる。このユーロを買う必要があるので、米国企業は様々な銀行で編成された企業連合を使い、連合の財務部を通して買収を行う)
  • リクイディティ・プロバイダー
  • 投資企業
  • ヘッジファンド
  • 富裕層向け金融資産運用ファミリーオフィス

上記のリストは個人トレーダーに行きつくまで、延々と続きます。ですから、個人トレーダーにとっては公平なゲームではありません。というのも、上述したような存在は、

  • 取引に莫大な資金がある
  • 取引の決定に役立つリサーチ部門がある
  • 市場で長期間、間違った側にいても対処できる手段がある

よって、「スマートマネー」または「大手プレイヤー」とはベストな表現です。

FX取引の出来高

出来高が「大手プレイヤー」のポジションを見つける上で大切な役割を担う株式市場の取引戦略に触発され、個人トレーダーはFX取引でも同じアプローチを用います。

その意図は注目に値するものの、実存的な問題に直面します。株式市場では、取引数量をひと株あたりの価格で割って出来高を数字で表すことができます。よって、トレーダーは取引株の数量が分かります。

次にわかっている発行済み株数を使って、各企業の時価総額における出来高の規模を見積もります。最後に、任意チャート上で各期間の出来高の影響を査定します。

FX取引では同じことが言えません。FX取引プラットフォームが出来高ベースの指標を多く提供しているにもかかわらず、トレーダーは一つのことを知らなければなりません。その出来高が示しているのは、各業者を通じて実行された取引処理にすぎないという点です。

業者は、任意のタイミングでの平均出来高について案を出してくれるかもしれませんが、それは案に過ぎないのです!市場が非常に大きいため、取引日、取引週、取引月などのあるタイミングで、出来高を計測することは不可能です。

よって、出来高ベースの戦略を使うことは知識に基づく推測に過ぎず、株式市場が示す出来高ベースの戦略からは程遠いものです。

それにも関わらず、FXトレーダーはいまだに、他の市場参加者の先を行く競争上の優位性、有利な立場をもたらしてくれる出来高を探ります。FX取引で示される出来高が何なのかを知らないか、それを信じないため、他の市場と同じ原理を使ってしまうのです。

まったくもって公平に言えば、それが上手くいくときもあります。素晴らしいトレーダーはそうした分析を用いるかもしれませんが、結果はランダムであり、出来高ベースの戦略による結果ではありません。

ここまでで、この記事がFX取引の出来高ベース戦略について説明するのではないということは、おそらくお分かりになったでしょう。その代わりに、出来高を定義し、なぜトレーダーがFX取引に異なるアプローチが必要かを説明します。

FX取引における出来高ベースの指標

FX業者は、任意の一定期間の出来高を表示する取引指標を多数提供しています。どのMT4プラットフォームの初期設定にもある、出来高ベースの指標リストがこちらです。

FX取引のマネーフローインデックス

上の図のリストで最初にあるマネーフローインデックスは、興味深いコンセプトです。価格と数量のコンビネーションで、このオシレーターは出来高加重RSIとしても知られます。

こうした理由で、価格はゼロと100の間(従って正値のみ)を移動し、80から20レベル間は極致的です。RSI(相対指数)で取引した際には、売られすぎ・買われすぎ水準で売買し、強気・弱気ダイバージェンスを上手く利用すると解釈がされます。

蓄積/分配

最も有名な数量ベースの取引テクニックの一つが、VSA(ボリュームスプレッド分析)です。これは素晴らしい方法で、市場が強気・弱気トレンドを開始する前、「スマートマネー」がゆっくりと蓄積されていく時期の見分けに焦点を当てています。

そして「スマートマネー」が消え、個人トレーダーやその他、買われている時は売り、売られているときは買うことに興味のある他の市場参加者に「分配する」時期にあたる分配フェーズに的を絞ります。

オンバランスボリューム(OBV)

OBVもまた、出来高を使うのに面白い案を提供しています。取引出来高が価格に影響しない、大幅な増加エリアを見分けます。

または、VSA戦略の早期の蓄積・分配フェーズを示します。

出来高

出来高指標は単に、チャート上で設定された任意の期間に取引された契約/ロット数を示します。FX取引では重要でない可能性があります。

結論

出来高ベースの分析は、市場の出来高を計測できる条件がそろっていれば、非常に上手く機能します。しかし、どの通貨ペアであってもタイムリーに行うのは不可能です。

よって、どんな出来高ベース戦略も通貨ペア変動の相対的解釈です。再度言いますが、機能しないのではなく、出来高が分かる時に他の市場で予測されるようには機能しない、ということです。

FX取引での需要と供給は、単なる推測です。確実性はありません。そのため、通貨ペア間で不均衡が見つかることが予測されるので、出来高を使用するのは難しいのです。

この記事で触れた出来高ベース指標は、MT4プラットフォームの初期設定にある一部にすぎません。他にも同様の指標が存在し、MetaTrader4プラットフォームへのインポートも可能です。さらに、すばらしい範囲の出来高ベース指標の使用を提供する他のプラットフォームもあります。

しかし、そうしたプラットフォームは、出来高ベース分析が理にかなう他の取引市場も提供します。よって、トレーダーは何をいつ使うかを知っていなければなりません。

この記事でご紹介した全ての中で、もし出来高ベース戦略を1つマスターするなら、VSA(ボリュームスプレッド分析)に焦点を当ててください。時を遡り、価格予測では素晴らしい特徴を持ち、記録すべき多くの例が存在します。

再度言いますが、結果は常に客観的というより主観的なので、ただFX取引に使わないでください。