FX取引:上級レベル

上級
Trading101
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Duration 20 時間

完璧な一週間の取引計画の立て方

プランニングは、どんなビジネスでも、または経済でも成功の一部です。次期が始まるずっと前に、企業は入念に予算案を練ります。政府も同様に翌年の経済予算の計画を立て、家族単位でも収支計画を立てます。

では、なぜFX取引はそうではない、と言えるでしょうか?答えは違っているべきではなく、健全な資金管理システムの一部として、プランニングの重要性を多く物語っています。

ここでプランニングについて取り上げている理由は、個人トレーダーの性質のためです。個人トレーダーで通貨または通貨ペアに投資している人を除けば、ほとんどの人がスキャルピングかスイング取引に関わっています。

さらに正確に言うと、ポジションを保持している期間が数分から数時間、または数日間というトレーダーです。週をまたぐことは稀です。

このような取引をする原因は、FX取引の経験が未熟で、資金を失うことを恐れているからです。統計を調べると、個人トレーダーがこのような行動をするのには、多くの理由があると分かります。つまり、日々のFX取引で個人トレーダーが手にする利益は、わずか約6%なのです。

よって、何が起こっているか大局的に分かっていない恐ろしさが、個人トレーダーに「速攻」アプローチをさせてしまうのです。

ここでは、そうしたアプローチが悪いと言っているのではなく、現実をお伝えしているだけです。そのような理由から、そしてポジションを長く保持して取引アカウントの不要なコストが出るのを避けるためにも、一週間の取引計画を立てることは理にかなっています。

米ドルに焦点を当てる

改めて言いますが、焦点は米ドルに当てます。世界の準備金通貨として、米ドルはFX取引量に多くの責任を負っています。

こうした事実に加え、市場を動かすことのできる経済ニュースのほとんどが米国からのものです。なぜなら、米国の連邦準備制度(Fed)が二重の資産運用統制(フェデラル・ファンド・レート決定前に、インフレと雇用創出の両方を考慮)し、米国が市場を潜在的に動かす以外に、さらなる経済データが存在するからです。

したがって、一週間先の取引計画は、経済カレンダーをサッと見ることからはじまります。トレーダーは大切なニュースを絞り込み、それに沿った取引戦略を適用させます。

例として、非農業部門就業者数(NFP)のリリースを考えてみましょう。毎月、第一金曜日に発表され、発表の週は、市場がほとんど常にタイトなレンジで動くのが特徴です。

下図はEUR/USDの時間足チャートです。通称「ファイバー」のこの通貨ペアは、最も取引量が多いペアの一つで、流通も最高レベルであり、一週間の取引では個人トレーダー全員の眼に止まります。よって、比較的高い流通性があるため、NFPレンジを描写するのに完璧な例といえます。

垂直の線が2018年4月のNFP発表週を示しています。一般トレンドは弱気でしたが、激しい上下変動モードになり、強気と弱気の両方を示しています。

スキャルピング側で取引していたなら、短期または超短期期間での利益を狙うことになります。結局レンジはかなり小さく、その週の市場が開いてからNFP発表のあった金曜日までで、1.2344から1.2214の間でした。よって、この一週間の取引では最高値から最安値は100ピップでした。スイングトレーダー向けや、言うまでもなく投資家向けではありませんね?

米ドルに関わる出来事を基にしたアプローチは、取引プランに柔軟性を与えてくれます。例えば、中長期アプローチではトレーダーはドルに対して強気になる可能性がありますが、レンジ形成の可能性があるために、依然としてスキャルピングを基本にして売るかもしれません。

中央銀行の金利決定に注意する

FX取引では、中央銀行が市場を動かす力を持ちます。外為市場だけでなく、株式市場のような他の市場でも、それは同じです。

これは金利と金融政策の移行方法によるものです。今日では、中央銀行が市場を驚かすことは滅多にありません。

フォワードガイダンス原理は、市場参加者が送られたメッセージを確実に理解できるように導入されました。そして、金利決定が発表された際には、そこに驚きはありませんでした。

しかしそのフォワードガイダンス原理にも関わらず、トレーダーは記者会見および暗黙の将来の金利水準に目を奪われてしまいます。

よって記者会見は、他の経済的な出来事にはないような、市場を動かす力があります。良い点は、トレーダーが記者会見の予定を知っていて、取引関連の商品を避けられる選択もあることです。

例えば、カナダ中央銀行の金利決定と記者会見の間にカナダドルや石油市場を取引することは、1週間の取引よりも長期的な視点が必要になります。なぜなら、市場の変動はいかなるストップロスオーダーを無力にしてしまうほど大きいためです。

ペンディングオーダー(指値注文)をできるだけ利用する

これがFX取引計画の最善策です!何よりもまず、ペンディングオーダーを使うことが計画の始まりです。規律と分析が全て整っていることを示しているからです。

トレーダーは売りの指値注文を使ってより高値水準で売るかもしれませんし、買いの逆指値注文を使ってより高値水準で買うかもしれません。または、市場の現価格より低価水準で売買したいという可能性もあります。

FX取引にはこうした可能性があり、レンジが判明した際や、取引理論が正確なエントリーを示した際には、素晴らしいアプローチとなります。例えば、エリオット波動理論はそのすべてをフィボナッチ比率と水準に依存しています。ですから、ある特定の市場リトレースメント(61.8%など)やエクスパンション(161.8%や423.6%など)にペンディングオーダーを使うのです。

もし市場がエントリー価格に達した場合、プラットフォームはその通りに取引を執行します。達していない場合は、依然としてレンジが市場を占めています。

レンジに関してですが、取引プラットフォームによってはOCO(オーシーオー、One Cancel Order)注文を提供しているものもあります。MetaTrader4と5でさえも、OCO特性がある指標をインポートすることができます。

トレーダーはレンジを確定するためにOCOを使用します。さらに正確に言えば、レンジから抜けるポイントを設定するのです。より高値・低値のどちらでも、注文は抜けたときに執行され、反対側の注文はキャンセルされます。

残念なことに、多くの個人トレーダーはペンディングオーダーを使いたがりません。衝動性、行動の一部になりたいという必要性とアドレナリンが、よくない取引決定につながる要因となってしまいます。

大局的な見地を無視しない

月足や週足のような、より広い時間枠をチェックすることは、決してマイナスにはなりません。これは短期や超短期で取引している場合です。

トレーダーは、日本式のローソク足のような、あまり時間を取らないパターンに注目します。よって、ハンマーやはらみ足パターン、毛抜き天井や同時線などに注意を払い、市場が特定の価格に達した場合にペンディングオーダーを発注します。

結論

一週間の取引を計画するのは、週末にかけてです。そしてトレーダーは、一週間先の経済カレンダーを参照し、テクニカル分析のためにより広い時間枠を調べます。

取引計画ができるのも、週末にかけてです。ここで、いくらくらいか、どの通貨ペアか、などの計画を練ります。

次に、月曜に市場が開くまでに取引を開始します。理想としては、ペンディングオーダーを発注し、トレーダーはポジションを追加するか、その日の仕事など他のことに集中します。

ええ、そうです。個人トレーダーはほぼ全員仕事を持っているため、FX取引でさらに稼ぐチャンスを増やす一方で、取引計画は通常の仕事の隙間時間でなければなりません。