基準線・転換線のクロスの適切な使用方法
この取引アカデミーで既に、テクニカル分析最高の刺激的な方法の1つとして紹介している一目均衡表にはFX取引で複数の使用方法が行われています。
一つには、一目均衡表はすぐれたトレンド指標です。雲は市場の方向について何の疑いの影も残しません。
一方、雲を形成する全ての要素は完全な均衡状態です。過去と将来の支持レベルと抵抗レベルを比較する時は、均衡は現在価格を参照します。
このため、動的でクラシックな支持線と抵抗線のレベルの両方を提供する指標の1つです。さらに、いつ価格が特定エリアで動かなくなるか、トレーダーに前もってわかるという意味で、潜在的な取引の時間を考える指標です。W.D.ギャンだけが価格と時間を使って、取引を予想しましたので、一目均衡表はこの機能を提供する指標の一つと言えるでしょう。
以下、一目均衡表とそれがユニークな原因を簡単にレビューします。
- 先行スパンAおよび先行スパンB。この2つの線が雲の形をつくります。現在価格より26日先にずらして描画され、先行スパンAが先行スパンBを上向きにクロスすると、雲は強気に転じます。弱気のクロスが形成されるのは、先行スパンAが先行スパンBを下回る時です。
- 転換線および基準線.この2つの線は速い移動平均線と遅い移動平均線の役割を果たし、前回の高値の切り上げと安値の切り下げを検討します。
- 遅行スパン.現在価格の均衡に基づき、以前の支持線と抵抗線を示すため定義された線。この取引アカデミーでは将来、遅行スパンについて掘り下げます。
基準線/転換線のクロスの使い方
FX取引では、基準線と転換線のクロスは移動平均線のゴールデンクロスとデスクロスと同じものです。いずれにせよ、アイデアは同じです。
ゴールデンクロスとデスクロスの問題は、新たなトレンドがすでにかなり進行している時に、市場サイクルに非常に遅れて表示されることです。
一目均衡表ではこの時間が大幅に短縮され、取引条件の変化に関する警告を描きだしますので、それが現れると、取引の継続はもはや賢明なやり方ではなくなります。トレンドの反転は教えてくれません。その代わり、基準線/転換線のクロスが現れると、取引条件が停滞し、少なくとも持ち合い状態の期間がきます。
一般で考えられているのとは違い、持ち合い状態は実際には費用がかかります。取引が(トレンド取引の時は一番起こりそうな)スイング取引戦略の一環であれば、関連費用はマイナスとなりそうです(取引日の終了時点でのロールオーバーのたびに、取引口座にはマイナスのスワップ料金がかかります)。
以下、一目均衡表を使うと、取引条件がどう見えるのかを示します。
2本の縦線は、トレンド条件を定義します。ご覧のとおり、エリアの開始点と終点は赤線による青線の上下のクロスで表示されています。あるいは、基準線/転換線のクロスで表示されます。さて、このクロスに焦点をあてるのがなぜ必要不可欠なのかわかりますか?何かが起ころうとしていることを示す最初のシグナルで、目に見える形であるという長所があり、トレーダーは、起こりえるトレンドの変化を見逃せなくなります。
言い換えると、一目均衡表の指標を使って、完璧なトレンド条件に必要となるのは次のものです。
- 強気トレンドでは
- 遅行スパン(緑の線)が価格を上回る
- 転換線(赤線)が基準線(青線)を上回る
- 先行スパンAが先行スパンBを上回る(強気の雲)
- 弱気トレンドでは
- 遅行スパン(緑の線)が価格を下回る
- 転換線(赤線)が基準線(青線)を下回る
- 先行スパンAが先行スパンBを下回る(弱気の雲)
おそらくすでにご存じの通り、トレンドはFX取引ではそれほど頻繁に形成されません。正確に言うと、市場のほとんどの時間は持ち合い相場です(持ち合い相場で費やされる時間は65%を超えます)。
おかげで、完全な取引と完全なトレンド条件を見つけるのは困難です。従って、トレンド条件の特定から持ち合い相場の開始と終点の発見に焦点が移ります。
一目均衡表の指標があれば、基準線/転換線のクロスに焦点が変化します。
FX取引における基準線/転換線のクロス
ある取引を決定するときに唯一の要素として使われる基準線/転換線のクロスはそれほど効果的ではありません。FX取引では、すべての通貨ペアには異なる特性があり、取引回数が多いものもあります。
たとえば、主要ペア(つまり、米ドルを含むペア)は、クロス(つまり、米ドルを含まないペア)にくらべて、1.2倍以上、トレンドを示す傾向があります。
従って、下のような取引は、クロスペアよりメジャーペアで現れる可能性のほうが高いです。これは1.24周辺から現在の1.19レベルとなった、最近のEURUSDの低下です。
上のチャートで分かるとおり、基準線/転換線は実際の下落よりもはるか前に形成されました。正確に言うと、画面上に明らかに強い弱気トレンドが表示されるはるか前の10日前に形成されました。つまり、基準線/取引線のクロスが弱気条件を示したのは、取引の約2週間前です。従って、ロングサイドの取引は推奨しません。
とはいえ、これは単なる完璧な例です。偽のシグナルもよく現れます。
上のAUDNZD クロスペアは、1.13周辺から1.05未満と大きく下落しています。とはいえ、下落の間、AUDNZDペアは完全な取引条件を形成しませんでした。2つの偽のシグナル、または誤った基準線/転換線のクロスさえありました。
ふるい分ける方法はありますか?あります。
正しい解釈を行う鍵は、時間的要素にあります。この記事の始めに、一目均衡表は時間要素を考える指標の一つだと書かれていたのを覚えていますか?
大切なのは、指標では前方に先行スパンAと先行スパンB(または雲)が描画されるという点です。正確に言うと、現在価格の26期間先です。
言い換えると、上のチャートをチェックして、希望するローソク足を1本選んでください。次に、その右側のローソク足を26本数えます。最後に、雲はローソクが形成された時にそこにありました。従って、雲は将来の価格レベルの支持線または抵抗線の役割を果たし、ダイナミックな方法でその価格を追います。
よって、強気の基準線/転換線のクロスのように見えるものが、重要な抵抗線となる価格で形成されたものであることが判明します。それは強気の兆候ではなく、必要となるのは、待って、抵抗線が有効かそうでないかを確認するだけです。
そうであれば、上のチャートで見た通り、現行のトレンドの方向にある次の基準線/転換線のクロスが、ショートサイドのエントリーとなります。
設定については、雲の頂点を使って、適切なストップロスを設定し、次の基準線/転換線のクロスが形成されるまで、取引を続けてください。あるいは、1:2以上、できれば1:3の正しいリスクリワードレシオを使ってください。
結論
FX取引ではあやまったシグナルはよく現れます。完全な強気トレンドであっても、様々なディップ(上昇トレンドの一時的な下落)で苦しむことがあります。言い換えると、きわめて信頼性の高い弱気トレンドでさえも、取引口座を消滅しかねないスパイクが登場します。
従って、トレーダーは多くの時間をかけて、戦略上のシグナルをふるい分け、取引が生き延びると思われる可能性に力を注ぐ必要があります。
トレーダーはこの業界で成功するため、報酬を考えるよりも前にリスクを検討する必要があります。適切なリスクリワードレシオは取引戦略の土台です。次の記事では、採用すべき効果的な資金運用戦略について掘り下げますので、次の記事も引き続きお読みください。